まとめ
  • アビシニアコロブスはふさふさの白い尻尾が特徴のサルの仲間
  • 主に樹上生活をしており、木の葉を主食にしている
  • 一見目立つ白黒の被毛は実は擬態の機能がある

アビシニアコロブスという動物を知っていますか?名前だけではどんな動物なのかよくわからないという人も多いのでは?

日本全国でも展示している動物園は15施設と、珍しい動物のアビシニアコロブスについて、毎日お世話をしている飼育員の小野寺さんに、その普段の生活や性格を話してもらいました。

アビシニアコロブスはふさふさした尻尾のサルの仲間

アビシニアコロブスは霊長目オナガザル科に属するサルの仲間になります。白と黒のきれいなツートンカラーと、体よりも長いふさふさした尻尾が特徴です。

背中からお尻にかけてマントのような長い真っ白な毛に覆われていますが、特にブラッシングなどはしていなくても、お互いに毛づくろいをするのできれいな被毛が維持できるのだそうです。

アビシニアコロブスとは

元々は赤道直下の熱帯雨林に生息しているサルの仲間で昼行性、普段は樹上生活をしています。体長は50〜70cmですが尾の長さが60〜80cmと、体よりも長い尾を持っています。

リーフイーターといわれるように、木の葉を主食としており、他のサルのように雑食ではありません。

これは体の作りが違うためで、普通のサルは胃が1つなのに対して、アビシニアコロブスには3つの胃があります。1つ目の大きな胃でセルロースを分解し、2つ目の胃でより細かくしたものを、3つ目の胃で吸収します。

妊娠期間は160日前後で、1回の出産で1頭の赤ちゃんを産みます。赤ちゃんを抱っこしたり背中に乗せたりしながら育てる習性があるため、1回出産するとその後2年は子どもを産みません。

野生下では一夫多妻で、雌よりも雄の方が体が大きく、ボスを筆頭に20匹前後の群で生活しています。

東武動物公園の場合は核家族で、マルス(パパ)とリル(ママ)とギラ(兄)とピュオラ(妹)の4匹で仲良く暮らしています。

どんな性格で普段は何をしているの?

アビシニアコロブスは「とにかくおとなしい」性格で、他のサルの仲間たちに比べても格段に穏やかな性格をしているのだそうです。

人に対して威嚇するような様子など気性の荒さを感じさせる行動を、小野寺さんは今まで一度も見たことはないと言います。

日中は食事の時間以外のほとんどの時間を、お昼寝や日向ぼっこをして過ごしているそうです。家族でハンモックに乗って眠っている姿は、眺めているだけでほっこりと和めることうけあいです!

アビシニアコロブスの大好物は?

アビシニアコロブスはリーフイーターで、普段はブナやカシの木の葉のほか、キャベツや白菜などの葉物野菜に、リーフイーター用のペレットなどを食べています。

1回の食事は4頭合わせて2kg弱くらい。キャベツや白菜は糖度があるので甘みがあり、特に好んで食べてくれます。

食性はキリンとかなり似ていて、木の上の方に生えてくる新芽も大好きなのだとか。1日1回は枝のついた葉を山から切り出して来て与えており、6月に新芽の出るアキニレの木の新芽は大好物でよく食べるそうです。

いつも同じ木の葉をあげていると飽きてしまうので、ブナ・カシ・ネズミモチ・シラカシなど種類の違う木の葉をあげるように工夫しているのだと小野寺さんは話してくれました。

アビシニアコロブスのツートンカラーには意味がある

人間の目から見ると白と黒のかなりはっきりした色合いで、とても目立つように見えるアビシニアコロブスですが、実はこの体毛の色には擬態の意味があるそうです。

ジャングルで暮らすアビシニアコロブスの天敵はヒョウなどの肉食動物。ネコ科の動物は視力が弱く、特に色を識別する細胞が少ないため、世界がモノトーンに近い状態で見えています。

その世界の中ではアビシニアコロブスの白と黒の体毛はとても見わけにくいため、この色が保護色の役目をしてくれるのです。

飼育するときに気をつけていることは?

個体によって差はありますが、大きな音を立てるとアビシニアコロブスが驚いてしまうので、作業などをする際は注意をしているそうです。

特にピュオラは臆病な性格なので、アビシニアコロブスの居室内で作業を行う際の工具の音は出来るだけ最小限に済ませます。なるべくすばやく、短時間で作業が終わるように工夫をしていると話してくれました。

アビシニアコロブスを見るときはココを見て!

毎日のアビシニアコロブスの生活を見ている小野寺さんだからこそ知っている、アビシニアコロブスの生態の中でも、特におすすめの動きや姿について聞いてみました。

実際にアビシニアコロブスをその目で見ることがあったら、ぜひこのポイントについてしっかりと観てきてください!

注目ポイントはココ!

やはり何と言ってもアビシニアコロブスの魅力は美しい白と黒の被毛にあります。生まれたばかりのアビシニアコロブスの赤ちゃんは、実は全身真っ白な色をしていて、育つにつれ3ヵ月を過ぎた頃からだんだんと黒の色がはっきりとし始めます。

背中からお尻にかけてマントのような長い白い被毛が生えており、体長よりも長い尻尾の先端部分も長い白い被毛に覆われています。この白い長い被毛のお手入れはさぞ大変なのだろうと思ってお話を聞いたのですが、人間は何も手を加えていないと聞いて驚きました。

サルはお互いに毛づくろいをする動物なので、家族で毎日毛づくろいをしているせいか、ブラッシングなどで人が手を加えなくても、あの美しい被毛が保てるのだそうです。アビシニアコロブスを観る機会に恵まれたら、ぜひ美しい被毛を眺めてみてください。

飼育員おすすめのアビシニアコロブスの見どころ

アビシニアコロブスは普段から穏やかな性格ですが、おおよそ月に1度、マルスが縄張りを主張する様子が観られます。もしそれが観られたら、じっくり観察して欲しいと小野寺さんは言います。隣の展示室にいるブラッザグエノンに対抗して、縄張りを主張する様子が観られるのだそうです。

日頃からアビシニアコロブスが声を発することはとても稀で、聞くことができたらそれはとてもラッキーなこと。低いゴロゴロというような鳴き声で鳴く姿を見ることができたら、その声に耳を傾け、じっくりと観察してください。

これは野生化で行われる雄同士のテリトリーの主張行為で、ジャングル全体に響くような低いゴロゴロという声が聞こえる範囲でそれぞれの縄張りを主張します。声の聞こえる範囲にはお互いに入らないように群が棲み分け、それぞれのテリトリーを守るのです。

仲良く暮らすアビシニアコロブスの家族を観察しよう

白と黒の鮮やかなツートンカラーの被毛に包まれた、サルの仲間であるアビシニアコロブス。サルの仲間ですが葉食性(リーフイーター)でカシやブナの木の葉を好んで食べ、1日をハンモックで眠って過ごす穏やかな動物です。

まだまだ日本の動物園では珍しい動物のため、観る機会に恵まれたらじっくりと観察したいですね。

◆今回インタビューに答えてくれたのは

東武動物公園モンキーワールドの飼育担当 小野寺さん

アビシニアコロブスのほか、フサオマキザル・シシオザル・ブラックグエノン・マントヒヒなど、モンキーワールドの動物の飼育を担当するサルのエキスパート。

東武動物公園

所在地:埼玉県南埼玉郡宮代町須賀110

休園日6月の水曜日、元日、1月の火・水曜日、2月火・水・木曜日

入園料:大人1,800円・中人1,500円・小人800円・シニア1,100円

アクションパスセット:大大人5,100円・中人4,800円・小人3,800円・シニア3,800円

東武動物公園のビルマニシキヘビの飼育員さんにもインタビューしました!ぜひあわせて読んでみてください!

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