この記事は2024年6月時点の内容です。

まとめ
  • 動物の口元に手を出さないようにする
  • 動物の近くで大きな声を出さない
  • 動物の近くを走り回らない
  • 動物の後ろ(動物から見えない場所)から急にさわらない

たくさんの動物とふれあえる伊香保グリーン牧場。来場者がいろいろな動物たちとふれあえる牧場ならではの動物への気遣いもあるのだそうです。

今回はたくさんの動物たちを飼育し、来場者とふれあえる牧場のスタッフだからこそ気づけること来場者にも心がけてほしいことについて聞いてみました。

◆取材・監修:飼育スタッフ

動物の飼育担当 田中さん

普段は7人でヤギ・ウサギ・羊の飼育を担当。日頃のから3種類の動物の飼育を担当するも、中でもヤギが一番好きなのだそう。動物たちとのふれあいコーナーも担当。

伊香保グリーン牧場でふれあえる動物は4種類

伊香保グリーン牧場(以下グリーン牧場)では4種類の動物とふれあえます。ふれあえる動物はヤギ・羊・うさぎ・馬の4種類で、この4種類の動物におやつをあげることができます。

そのほかヤギと羊はお散歩させることもでき、うさぎはカゴに入れて抱っこすることが可能です。このように動物とふれあう際に、何か注意しなければいけないことはないのでしょうか?

動物への気遣いを!ふれあう前にしておく必要があること・心構え

動物によって嫌がることや気をつけなければいけないことがあります。それぞれの動物の特徴によって気をつけたい注意点について、グリーン牧場の担当者にお話を聞いてきました。

まずお互いの健康のために、動物にふれる前には必ず手を洗っておきましょう。人間には影響のない菌やウイルスや汚れなどでも、動物には害があることがあります。

また食べ物をさわった手には匂いが付いていて、動物が匂いに誘われてカプッと噛み付いてくることも考えられます。

動物も人間も、お互いの身を守るために、事前にきちんと手を洗い、石鹸の成分もきれいに洗い流してから、動物にふれるように心がけましょう。

うさぎとふれあうときの注意点

うさぎのふれあいコーナーの入口には注意事項の書かれた説明書が貼り出してあります。待ち時間に読んでおくことで、スムーズにふれあいを楽しめるでしょう。

うさぎとのふれあいコーナーではうさぎ1匹1匹を、ちょうど膝に乗るくらいの大きさのカゴに入れた状態でさわらせてもらえます。カゴに入れておくことで、うさぎが糞や尿をした場合でも触っている人が影響を受けないようになっています。

カゴに入れておくことで、うっかり落としてしまうのを防止する役目もあるのだそうです。

ではうさぎにさわる時に気をつけるべき点について聞いてみると……

  • 口元に手を出さない
  • 持ち上げない

この2点に気をつけて欲しいと話してくれました。

不用意に手を口元に持っていくと、カプッと噛んでくることがあるのだそうです。

うさぎは歯の強い動物ですので、ケガを予防するためにも気をつけたいですね。また、怖がりな動物でもあるので、持ち上げると驚いて逃げようとすることがあるのだとか。

慌てて落としてしまうと、うさぎが骨折したりケガをする原因になります。うさぎがケガをしないように注意してあげてください。

ヤギとふれあうときの注意点

ヤギにはおやつをあげられたり、一緒に散歩ができたりと、ふれあえるスポットが複数あります。ヤギとふれあう際に、どんなことに気をつけたらいいのか、ヤギの飼育担当者に聞いてみました。

  • なんでも口でくわえてしまったりするので、食べられて困るものは近くへ持っていかない

ヤギは葉を好んで食べる動物です。そのため葉に似た物はすぐに口にくわえようとするので、食べられて困るものは近くに持って行かないで欲しいと田中さんは言います。

現在使われている紙は成分やインクなどがヤギの体に害があるため、食べさせるべきではない物です。ヤギのためにも人間のためにも、おやつ以外の物を近くに持っていかないように気をつけたいですね。

羊とふれあうときの注意点

羊もヤギと同様にお散歩とおやつやりができます。羊はヤギに比べると動きがゆっくりな傾向がありますが、そんな羊とふれあう際に気をつける必要があるのはどんなことでしょうか。飼育担当者に聞いてみました。

  • お尻を触られるとびっくりしてしまうのでお尻は触らない
  • 少し臆病なところもあるので近くで走ったりしない

この2点を心がけてほしいとのことでした。羊も野生にいると捕食される側の動物のため、臆病な動物です。

大きな音や大きな声、視覚の範囲外である後ろからさわられると怖いと感じます。近くで走る音も、追いかけられているような恐怖を感じてしまいます。

つい興奮して大きな声を出してしまいがちですが、そこは気持ちを落ち着けて、羊を怖がらせないように接してあげましょう。

馬とふれあうときの注意点

グリーン牧場では馬やポニーにおやつをあげたり、乗馬(引き馬)体験をしたりできます。馬とふれあう際には気をつけておきたい点について、馬の飼育の担当者に聞いてみました。

  • とても繊細なので近くで大きな音を出したり、急に動いたりしない
  • 蹴られる危険があるので後ろには立たない

おやつをあげるのは柵の外からですし、乗馬体験の際にもフィールドには降りることはないので、馬の後ろに立つことはまずないようになっています。

しかし、蹴られてしまうと大ケガにもなりかねないので、忘れないようにしておきましょう。

周囲での大きな音や、急な動きには反応して馬が暴れてしまう可能性があるので、動物の周囲ではゆっくりした動きを心がけましょう

何をしてあげると動物は喜ぶの?

動物の嫌がることを聞いたので、次にどんなことをすると動物が喜んでくれるのか、聞いてみたところ……

  • エサがもらえる
  • 気持ちいいポイントをなでであげる

この2点を教えてくれました。おやつをあげたり、耳の後ろやあごの下などを優しく撫でてあげたりすると動物は喜んでくれるそうです。

お尻や尻尾や耳などはさわられると嫌がる子が多いので、気をつけて撫でてあげましょう。動物の喜ぶこと、嫌がることを頭に入れて動物とふれあうことで、より動物と仲良くなりましょう。

飼育スタッフから来場者にお願いしたいこと

動物の飼育スタッフとして、来場者にお願いしたいことについて教えてもらいました。

  • 近くで走りまわらない
  • 大きな声を出さない

この2点にはぜひお願いしたいのだそうです。

うさぎも羊もヤギも馬も、臆病な子が多い動物のため、大きな声にはびっくりしてしまうのだと話してくれました。

動物に会えて嬉しい気持ちはわかりますが、大きな声でそれを表現するのではなく、優しく静かにゆっくりと、動物に接することを心がけたいですね。

牧場スタッフが語る今までにあった困った出来事

グリーン牧場には300頭以上の動物が飼育されています。これだけ多くの動物たちをお世話にしているスタッフのみなさんに、日頃の仕事で困ったことや驚いたことについて聞いてみました。

動物たちの意外な一面がわかるエピソードも話してもらえたのでここで紹介します。

普段の動物たちのお世話で困ることとは?

動物に餌をあげておくと、ネズミやカラスが動物たちのエサを食べてしまうということがよくあるのだそうです。さぞかし困っているのかと思いましたが、お話を聞くとネズミやカラスがエサを盗ってしまっても、特には対策はしていないのだそうです。

エサが無くなってしまったら追加する、というような感じなのでしょうか。

そんなおおらかさも、動物たちがのんびり生活できる秘訣なのかもしれませんね。

スタッフが経験した羊のびっくりエピソード

たくさんの動物たちと日々接していると、びっくりするようなことが起こることも。飼育スタッフが体験したびっくりエピソードについてお話を聞いてみました。

それは翌日にイベントを控えたある日のこと。イベントの関係で、夕方にいつもと違う小屋に親子の羊を移動させてその日は仕事を終えたと言います。ところが次の日、その小屋にいくと親子の羊がいなくなっているではないですか。

慌ててスタッフ総出で親子の羊を大捜索したところ……。約1キロも先のもともといた小屋に親子で帰っていたのだそうです。

きちんと扉の施錠はしてあったため、親子でジャンプして柵を乗り越え、元の小屋に帰ったとしか考えられないと話してくれました。

1キロもの距離、人間だって道に迷ってもおかしくない距離ですが、迷うこともなくちゃんと元の小屋に帰れるなんて、羊の身体能力の高さにも驚きですが、とても賢い動物なんですね!

喜ぶことと嫌がることを理解してもっと動物と仲良くなろう!

動物にも、されて嬉しいことや、されて嫌なことがあります。その感覚は人間も同じですよね。ときには自分に置き換えて考えてみると、納得できることも多いのではないでしょうか。

動物とふれあうことは楽しいですし、日常とはちょっと違う環境に、人間もちょっと興奮気味になってしまいがちです。もちろん楽しい気持ちを抑える必要はありません。

ただ興奮をそのままに大きな声で話したり、あちこち走り回ったりはせず、少し落ち着いていつもよりもゆっくり動くことを心がけてみてください。それだけできっと、今までよりももっと、動物たちといい関係が作れるに違いありません。

◆施設情報

群馬の伊香保温泉すぐ近く、榛名山麓に広がる大自然の中にある、自然循環型の本格派牧場。動物と触れ合ったり大迫力の「シープドッグショー」を楽しんだりすることができる。
伊香保グリーン牧場
所在地:群馬県渋川市金井2844-1
料金:大人1,500円・子ども(3歳〜小学生)800円
営業時間:9:00〜16:00

同じ飼育員さんに、ヤギに関してのお話も聞きました!ぜひチェックしてみてください。

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