- 介助犬を見かけたら、基本的には温かく見守ってあげよう
- お仕事中の介助犬を撫でたり、声をかけたりしない
- 介助犬のできないことで障がい者が困っていたら手を貸してあげよう
手や足に障がいを持った人をサポートする介助犬。街中や移動中など、その姿を見かけたことはありませんか?
そんなとき「どう対応したらいいのかよくわからない」「介助犬の仕事を邪魔しないようにサポートするには、どうすればいいんだろう」そう考える人も多いと思います。
ここでは介助犬を連れた人に出会ったときの対応について、日本介助犬協会の渡邊さんにお話を聞きました。
介助犬を連れた障がい者への対応も合わせて話してもらいましたので、介助犬に出会うことがあったら、この記事を参考にサポートしてください。
◆取材・監修:日本介助犬協会
大学卒業後、人と犬に関わる仕事がしたいと、人のことを学ぶためにデイサービスに就職。その後、日本介助犬協会の研修生を経て、広報職員として就職。現在おおよそ30人の協会職員とともに、介助犬の普及活動に力を入れている。まだまだ介助犬に対して誤解があったり、知らない人も多いので、もっともっと介助犬について知ってほしいと語る。
目次
そもそも介助犬って何をする犬?
介助犬とは手や足に障がいのある人をサポートする犬のことです。
「介助」と聞くと高齢者をイメージする人も多いようですが、介助犬がサポートするのはおもに20〜60代の障がい者です。
それは介助犬の目的が、障がい者の「社会参加・社会復帰のお手伝い」だから。20〜60代の人の生活をよりよいものにするために介助犬を役立ててほしいと渡邊さんは話します。
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日本全国で活躍する介助犬は2024年4月現在・59頭
「介助犬についてはまだまだ誤解があったり、認知してもらえていない」と話す渡邊さん。
2024年4月現在、日本国内で活躍している介助犬は59頭いるのだそうです。
2002年5月に身体障害者補助犬法が成立して以来、介助犬は肢体不自由者をサポートするために、あらゆる場所への同行が認められています。
介助犬と出会ったら、どんな対応をするのがベストなのか、渡邊さんに聞きました。
介助犬を見かけたらどうすればいいの?
買い物をしていたり、バスを待っていたりといったときに、隣に介助犬を連れた人がいた。ふと気づいたらそんなシチュエーションだったとしたら、どうすればいいのかすぐにわかるという人は少ないでしょう。
ここでは介助犬と障がい者の両方に対応する方法を解説してもらいました。
介助犬にとってはお仕事の最中だということを忘れない
電車・バス・飛行機などの移動中に介助犬を見かけたり、ショッピングモールや映画館などで介助犬と会うこともあると思います。
そんなときの対応について、渡邊さんに聞きました。
電車や飛行機などの交通機関では介助犬は障がい者の足元に伏せていることが多いと思います。気づかれないことも多いほど、おとなしくしていますが、見かけたらそっと見守ってもらえるとありがたいですね。
ショッピングモールなどで買い物をしているときや公園などではどうでしょうか?
もちろんどんな場合でも、介助犬に対しては同じですね。仕事中の介助犬に対しては見守るというスタンスでお願いしたいです。
介助犬が気になったら、使用者さんに話しかけていただけたらと思います。
人懐こくてかわいい介助犬をなでてあげたい!と思っても、いきなり介助犬をなでるのは止めましょう。介助犬はお仕事中ですから、さわったり声をかけてしまうと気が散ってしまいます。
介助犬に対して絶対にやってはいけないこと
介助犬を見かけた際に、やってほしくないことがあると渡邊さんはいいます。
- 犬に声をかける
- 犬の目をじっと見つめる
- 犬にさわる
- 口笛を吹く
人がこのような犬の気をひく行動をとってしまうと、犬が障がい者を引っ張ってしまう可能性も。転倒などの事故につながる危険があるのだそう。
介助犬のお仕事を邪魔しないためにも、介助犬を見かけたときの対応を覚えておきましょう。
基本的に仕事中の介助犬には『声をかけない・さわらない』を徹底していただきたいです。
ただ、介助犬の使用者さんにも声をかけてはいけない、というわけではないので、お話ししてみたいと思ったら使用者さんに声をかけていただくのは大丈夫です。
たとえば子どもを連れているような場合、自分は理解していても、子どもが急に介助犬をなでに行ってしまうようなこともあるかもしれません。子どもは予測のできない動きをすることもあるので、とくに周囲に介助犬がいる場合には、子どもの動きには注意をしてください。
自分の子どもはもちろんのこと、そうでない場合でも、必要に応じて介助犬の注意を引きそうな子どもは止めるようにしましょう。
介助犬を連れた人が困っていたら…
渡邊さんのお話で、介助犬への対応は理解できました。それを踏まえたうえで、介助犬は障がい者の行動のかなりの部分をサポートしてくれる存在ですが、介助犬ではどうしてもできないこともあるのだそうです。
「そんな時にはぜひ、周囲の人の手をかしてほしい」と、渡邊さんは話します。
たとえばスーパーなどで高いところにある品物を使用者さんが取りたがっているときや、生鮮食料品を取りたいと思っているとき、エレベーターのボタンを押したいときなどは介助犬では対応できません。
そんなときには周囲にいる人に、手を貸してもらえるとありがたいですね。
ただやみくもに見守るのではなく、その場面がどういう状況なのかを正しく見極める必要があるということですね。
そうです。そのとき障がい者が何に困っているのか、求めているのかを判断することは難しいと思うので「何かお手伝いしましょうか?」と声をかけていただけるとうれしいです。
介助犬では対応できない場合には、ぜひ人の手を貸してあげてください。
どんなに介助犬が優秀でも、人でなければできないことがありますよね。そんな場面に遭遇したら、迷わずに手を貸してあげましょう。それだけで介助犬も障がい者も、サポートすることができるかもしれません。
街で介助犬に会ったら、温かく見守ろう!
介助犬を街で見かけたときの対応について話してもらいました。介助犬を見かけたら、基本的には声をかけたりさわったりせずに温かく見守ることを渡邊さんは説明してくれました。
「介助犬に興味がわいた!」という人はぜひ、介助犬の見学会などのイベントにも参加してみてください。
今まで知らなかった新しい景色が、見えてくるかもしれませんよ!