- ハムメディアはハムスター専門の保護団体
- ハムスターの里親になるという選択肢もある
- ハムスターを飼っている人の飼育に関する質問にも答えてくれる
動物の保護団体と聞くと、犬や猫を想像する人は多いでしょう。その中に『ハムスター専門の保護団体』があることを知ってますか?
今回は日本で初めて、ハムスター専門に保護を行う団体『一般社団法人 ハムメディア』にお話を聞きました。
寿命2〜3年といわれるハムスターの保護と譲渡はどのように行われるのか。保護ハムスターの里親になりたい場合はどうすればいいのか。わからないことがいっぱいです。
なかなか知ることのできないハムスター保護の現場について、代表理事のナシオさんが解説してくれます。
◆取材・監修:一般社団法人ハムメディア
犬・猫の保護団体の行う譲渡会や運営のサポートを経験。縁あってハムスターをお迎えしたことをきっかけに、ハムスターの魅力に目覚める。行き場を失ったハムスターの味方になるべく、2017年にハムメディアを発足。ハムスターの保護・譲渡活動や、飼育情報の発信をおこなう。
目次
日本初のハムスター専門保護団体『ハムメディア』とは
ナシオさんは、ハムスターのお世話の仕方や、飼い方を学ぶ中で「飼えなくなったハムスターはどうなるのだろう?」と考えたとき、ハムスターを保護する団体がないことに気づいたのだとか。
行き場を失ったハムスターの味方になるべく、ナシオさんは2017年にハムメディアを発足。保護団体立ち上げから、7年に渡るハムスター保護の軌跡と、ハムスターの現状について熱く語ります。
『ハムメディア』発足の背景
知人に誘われて犬・猫の保護活動のお手伝いを始めた始めたナシオさん。犬や猫よりも飼育のハードルが低いと思い、ハムスターを飼い始めたところ、思っていたよりもお世話に手間がかかることに気づいたそうです。
病気になれば治療が必要で、それには費用がかかることも。そんな時、途中で飼えなくなったハムスターたちはどうなるのかが気になり始めたのだとナシオさんは言います。
ハムスターを飼い始めてから「行き場を失ったハムスターを保護してくれる団体がない!」と気づいたんです。誰もハムスターの味方になってくれる人はいないんだなと。
場所やタイミングが違ったら、うちのハムスターが行き場のない子になっていたかもしれないなあって考えてしまって。
たしかに、ハムスターを保護してくれる団体はあまり聞いたことがないですね。
そうなんですよ。
そこから「誰もやらないなら自分でやろう!」と思い立って、SNSで仲の良かったハムスター愛好家4人で2017年にハムメディアを発足しました。
保護団体がないことに気づいてからの行動力はすごいですね!実際に保護団体設立までできてしまうのは驚きです。
ハムスターを専門に保護する理由
ハムメディアは、ハムスターを専門に保護する団体です。モルモットやチンチラは対象にしていません。なぜハムスターにこだわるのでしょうか?
「自分の手の届く範囲を保護していこう」と、いうことですかね。
ハムスターとモルモットやチンチラは食性が違うため、お世話の仕方も変わります。自分に知見があるのはハムスターのお世話なので「ハムスターだけを保護していこう」と決めました。
警察や弁護士からも?!ハムスター保護の実情
2017年の発足からすでに7年の活動期間があったわけですが、その間の保護活動はどのように行われてきたのでしょうか。
今までに保護したハムスターについてお話を聞きました。
活動を始めた頃は保護依頼自体が少なかったですが、今ではいろいろな方面から引き取りの依頼が来ます。
警察から連絡をもらうこともありますし。最近増えているのは弁護士さんからですね。
弁護士?なぜでしょう?
飼主が拘置所や刑務所に入ってしまってハムスターが家に置き去り、というケースがあるんですよ。
数日置き去りになってしまうだけでも命に関わりますし、3年も経ったら寿命を迎えてしまいますから、そういう場合に弁護士さんから連絡が入ります。
なるほど!そんなケースがあるのですね!それは確かに保護する必要がありますね!
保護・譲渡だけじゃない!ハムメディアの活動内容
ハムメディアの具体的な活動内容について解説してもらいました。ハムスターの保護だけにとどまらない、その活動に迫ります。
ハムスターの保護・預かり・譲渡
ハムスターの捕獲から、保護したハムスターのお世話、里親探しまでを一貫して行うというハムメディア。実際の活動内容はどのようなものなのでしょうか。
2023年は1年の間に4回、同じ場所で遺棄がありました。目撃情報が入って、捕獲に向かうんですが、ハムスターは逃げるのがうまいので1人では絶対に捕まえられません。
周辺のハムスター愛好家と連携して捕獲します。虫取り網を使ったり、食べ物で釣ったり……。
捕獲した後は病院で体調確認です。
捕獲したハムスターはその後、どうするのでしょうか?
預かりボランティアさんにお世話をしてもらいながら里親探しをします。およそ1歳半を過ぎて里親が見つからない場合は、サポートファミリーハムスターとしてハムメディアで終生飼育していきます。
ときには遠方からの引き取り依頼が来ることも。遠方からの依頼の場合はSNSを使って里親探しのお手伝いをしているそうです。
ハムスターの飼育に関する情報サポート
ハムメディアでは、ハムスターの保護以外にも、実際にハムスターを飼っている人からの質問に答える活動もしているのだそうです。
里親になってくれた人からの、ハムスター飼育に関する質問に答えることで、飼育のサポートを行なっています。
現在は、ハムスターを飼っている人であれば、里親になった人ではなくても質問に答えています。
それはハムスターを飼っている人にはとても心強いですね!
保護ハムスターの里親という選択肢
保護したハムスターはまず病院に連れて行って、体調を崩していないか、ケガをしていないかを確認するのだそうです。その確認が終わり、体調に問題がなければ順次里親募集が始まります。
では、ハムスターの里親になりたい!と思ったら、どうすればいいのでしょうか。
保護ハムスターの里親になるには?
ハムスターの里親になるのには、資格や条件があるのでしょうか。ここでは保護ハムスターの里親について、ナシオさんに解説してもらいました。
里親の申し込みはハムメディアの公式サイトから。対応可能地域は、各ハムちゃんの個別ページに記載されている『この子のいるエリア』から、約1時間半以内にお届け可能な地域としています。
里親になるための費用や、資格などは必要なのでしょうか。
里親としてお申し込みいただけるのは、譲渡時に会員になっていただける方になります。会費は入会時のみ2,000円発生し、1年間有効となります。
申し込んだあと、トライアル期間は2週間になります。2週間の間に4回の報告ができることがトライアルの条件です。
譲渡後も、1年間は1ヶ月に1回は報告してもらうようにしています。
里親になるための条件は以下のようになっています。
- ハムスターを無理なく飼育できる収入がある
- ペット可の住宅に住んでいて、室内飼育ができる
- 同居している人の飼育承諾が取れている
- 単身者の場合には後見人が必要
- ハムスターの飼育書を1冊以上持っている
- ハムスターの飼育経験はなくてもOK
- トライアル期間中に最低4回の報告ができる
里親になるための詳しい条件はこちらに掲載されています。
プロが教える!ハムスターの生態と正しい飼育方法
里親になることを考える際、ハムスターについての知識は必要不可欠です。ここではハムスターの生態について教えてもらいます。
ハムスターは寒さにも暑さにも弱い動物です。室温の管理はとても重要で、20〜25℃に維持してください。
野生のハムスター(海外のケース)は1日に10km以上走ると言われています。そのくらい運動量のある動物なので、回し車は必需品です。
体の大きさを考えると、すさまじい距離を移動するのですね!
その運動量を維持するとなると、食事の量も多そうですが……。
小さいときは喜んで食べてくれるものでいいと思います。雑穀類、ひえ・あわなどもいいでしょう。
実はひまわりの種はカロリーが高いので、1日1粒くらい。あげすぎには注意が必要です。
人間に例えると、ひまわりの種は1粒でホールケーキ1個くらいのカロリーです。あげすぎたらどうなるか、想像つきますよね。
ホールケーキを毎日食べてたら、あっという間に病気になってしまいますよね……。ひまわりの種をあげすぎてはいけないのは、意外でした。
用意するべきグッズ
- ケージ
- 体が隠れるサイズのハウス
- かじり木
- 水飲み
- 回し車
- トイレ
- 床材(紙製)
回し車は、回している時の姿勢を見てサイズを判断します。背中が反ってきたらもう少し大きな回し車に変えてください。
大きすぎてもうまく回せないので、体の大きさに合ったものを選ぶことが大切です。
ハムスターの食事
- ハムスター用ペレット
- 雑穀類(ひえ・あわ)
- ひまわりの種(1日1粒程度)
ハムスターは基本的にペレットはあまり好きではありません。ひまわりの種に慣れてしまうとなかなかペレットに切り替わらないことも多いと思います。
大人になっても切り替わらない場合は、ペレットをふやかしてあげると匂いが強くなるので食いつきが良くなります。
ハムスター保護や飼育サポートもするハムメディア
2017年の発足から、ハムスターを専門に保護を続けているハムメディア。今では警察からも信頼され、連絡が入るほどの団体になっています。
里親になった人にはもちろん、ハムスターを飼っている全ての飼主からのハムスターの飼育に関する質問にも答えてくれる団体です。
Tier編集部スタッフも大注目のハムメディア。今後の活動から目が離せません。
以下の記事では、ハムスターの飼育方法について紹介しています。