まとめ
  • 犬や猫を飼っている人は蚊を媒介した感染症に注意
  • フィラリア以外にも蚊が媒介する感染症が存在する
  • ペット用の虫除けグッズがあると安心

気温が暖かくなってくると、注意したいのが”蚊”ですよね。犬や猫を飼っている人は、蚊に刺されて発症する病気から大切なペットを守る必要があります。

蚊に刺されることで動物がかかる病気は「フィラリア」だけとは限りません。

この記事では蚊が動物にもたらす病気と、動物を蚊から守る対策やおすすめの虫除けグッズについて解説します。

愛犬や愛猫を蚊から守りたい人は、ぜひ記事の内容を参考にしてください。

◆この記事の監修者

ttm 獣医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。

蚊に刺されるとなる病気

ここでは、蚊に刺されることで感染する病気について解説します。

犬猫がフィラリアに感染した際の症状や、マラリア・デング熱などが動物にも感染するかどうかについても紹介するので、ペットを飼っている人はぜひチェックしてみてください。

フィラリア症ってどんな病気?

『フィラリア症』とは、蚊の媒介によって動物の体内にフィラリア(糸状虫(しじょうちゅう))と呼ばれる寄生虫が入り込むことでかかる病気です。

感染経路としては、まずフィラリアに寄生された動物の血を蚊が吸うことで、血のなかのミクロフィラリアという第一段階の幼虫が蚊の体内に入ります。

蚊が別の動物の血を吸うとき、蚊の体内で第三段階の幼虫に成長したフィラリアがその動物の体のなかに侵入し寄生するのです。

犬のフィラリア症とその症状

犬の場合、フィラリアに寄生されると心臓の「右心室(うしんしつ)」や「肺動脈」に成虫がすみつくことにより、血液循環や呼吸器に障害が起こります。

たとえば運動で疲れやすくなったり、階段を登るのを嫌がったりするように。また、乾いた咳をすることもあります。

感染が重度の場合、肺動脈が大量のフィラリアで塞がれたり、後大静脈症候群という状態になることで、最悪死にいたるケースもあります。

薬で予防ができるので定期的な投薬をして、フィラリアから愛犬の身を守るようにしましょう。

猫のフィラリア症とその症状

フィラリア症といえば犬がかかるイメージですが、猫にも感染することがあります。猫がフィラリアに感染した場合、喘息や呼吸困難などの呼吸器系の症状が引き起こされることが多いようです。

あまり重症化はせず症状が現れない猫も多いといいます。犬と同様、定期的な投薬で予防できるので獣医師に相談してみてください。

蚊が媒介する病気と動物の感染

ここではフィラリア以外に蚊が媒介する、以下4つの病気について解説します。

  • マラリア
  • デング熱
  • 日本脳炎
  • ジカウイルス

それぞれの特徴とペットに感染するのかどうか、について知りたい人は参考にしてください。

マラリアは動物に感染する?

『マラリア』とは、亜熱帯や熱帯地方を中心に感染が広がる病気です。ハマダラカ経由でマラリア原虫が体内に侵入し、悪化すれば死にいたることもあります。

マラリアは人と動物の共通感染症である人獣共通感染症です。ただ日本国内でマラリアの増加を示唆する報告はあまりないため、アフリカなどの熱帯地域に行く機会がない人は、そこまで心配する必要はないようです。

デング熱は動物に感染する?

日本でも広がったことにより、ニュースで話題になった『デング熱』。デング熱は人だけでなく犬や猫などの動物にも感染する人獣共通感染症です。

ただ症状が現れるのは人間やサルなどの霊長類なので、犬や猫が万一感染しても発症する確率は非常に低いです。

動物は症状が出なくても、その血を吸った蚊に刺されると人が感染する可能性もあるため、人だけでなくペットの蚊対策をしておくと安心です。

日本脳炎は動物に感染する?

『日本脳炎』は、コガタアカイエカに刺されることによって感染します。人間だけでなく、犬や猫などの哺乳類や鳥類、ハ虫類など多くの動物に感染する人獣共通感染症ですが、動物は感染しても症状が出ることはほぼありません

ただ、ひとたび脳炎を発症すると神経障害が残ったり、亡くなったりする確率が高い恐ろしい感染症です。犬から人へ感染はしないといわれていますが、ペットの命に関わることもあるため注意しておきましょう。

ジカウイルスは動物に感染する?

『ジカウイルス』も、蚊を媒介して感染する病気のひとつです。発症すれば、発熱や筋肉痛、頭痛などが起こるといわれていますが、デング熱よりも症状は軽度です。

日本での流行は確認されていませんが、ジカウイルスはもともとサルがもっている人獣共通感染症です。犬や猫に感染するかどうかは今のところよくわかっていません。

日本のほとんどの地域にジカウイルスの媒介蚊である、ヒトスジシマカがいるため、刺される可能性が高いヤブや木陰に行くときは、対策するようにしましょう。

害虫からペットを守るための対策

ここでは、害虫からペットを守るための対策について紹介します。夏になると虫が活発に動き回るため、今のうちに対策方法を知っておくと安心です。

犬を虫刺されから守るための対策とは

犬の場合は外に出る回数が多いため、虫刺され対策はしっかりしておきたいですよね。犬の肌に直接つけるスポットタイプの虫除けなら、蚊だけでなくノミやダニにも効果的で持続期間も長いです。

また散歩中も蚊対策をしたい人は、首輪タイプや、首輪やリードなどにつけられるクリップタイプの虫除けがあると安心でしょう。

ただ、犬の体質によって合う合わないがあるため、市販の虫除けを使用する際はかかりつけの動物病院で確認してから使うのがおすすめです。

猫を虫刺されから守るための対策とは

一般的に猫は家のなかで飼うため、室内の蚊対策を心がけましょう。

虫除けとして知られている蚊取り線香は、ペットにもあまり害はないといわれています。また、コードレスタイプのペット用ノーマットも販売されているので、愛猫のいたずらが心配な人はこちらもおすすめです。

しかしペット用と書いてあっても、なかには猫に有害なアロマが含まれている製品もあります。猫に害がある成分が含まれていないか、しっかり確認してから購入するようにしましょう。

動物の虫除けグッズ3選

最後に動物の虫除けグッズを3つ紹介します。暖かくなって虫が増え始める前にそろえておくと安心なので、ぜひチェックしてみてください。

蚊よけネット 130日間用【アース】

アースから発売されている『蚊よけネット 130日用』は、お部屋の虫除け対策に便利です。火や電気を使わずに吊るすだけなので、ペットがいる部屋でも安心して使えます。

値段が890円(2023年3月6日時点)で130日間効果があるので、1日約6.8円で虫除け対策ができるのも魅力です。

ペット用 ノーマット タフボディ 60【アース】

『ペット用 ノーマット タフボディ 60』は、犬や猫などペットにも安心して使える室内の虫除けアイテムです。倒れにくいタフボディのほかに、コードレスタイプもあります。

本体とボトルセットで1,500円(2023年3月6日時点)と、人用よりも少し値段は高いですが、ペットの体に優しい虫除けを探している人におすすめです。

バグオフスプレー 300mlPET NEEM

『バグオフスプレー 』は天然成分が使われているため、ペットに直接つけても安心の虫除けスプレーです。散歩やお出かけ前にシュッと振りかけるだけで、蚊対策ができます。

定期的な予防薬だけでは不安な人は、ペット用虫除けスプレーを1本持っておくと安心でしょう。価格は2,108円(2023年3月6日時点)と高めですが、300mlと大容量なので長く使えるアイテムといえます。

対策をしっかり行って、ペットを虫から守ろう!

この記事では、犬や猫を蚊から守る対策とおすすめの虫除けグッズについて解説しました。

フィラリアを始めとして、蚊から感染する病気はたくさんあります。「うちの子は大丈夫」と思っていても、蚊はどこにでもいるため、いつ刺されるかわかりません。

事前にできる対策を行って、大切なペットを虫から守ってあげてください。

 

参考:

NIID 国立感染症研究所

人畜共通感染症としての日本脳炎について

ジカウイルス感染症に関するQ&Aについて