まとめ
  • 小動物は、避難所では犬や猫と同様に扱われるケースが多い
  • 季節にかかわらず、屋外避難になる可能性もある
  • 状況によっては、在宅避難や車中避難のほうが適切
  • 災害に備え、フード・木材・キャリーなどを準備しておこう

日本は、台風や地震などの自然災害が身近な国です。毎年のように、全国的な大雨警報や洪水警報などが発令されますよね。自然災害は、もはや日本での生活の一部ともいえるでしょう。

そんな日本に住んでいる限り、防災への意識は避けられません。今回はペットのなかでも、小動物をはじめとするエキゾチックアニマル(犬・猫・家畜以外の飼育動物)の防災情報を紹介します。小動物にまつわる防災を学び、万が一の事態に備えましょう。

ハムスター・チンチラ・モルモット…小動物の防災は何をすればいい?

日本では多くの人が、犬や猫以外の生き物をペットとして飼育しています。ハムスター・チンチラ・モルモットなどの小動物や、魚や爬虫類などの水槽で飼育する生き物など、その種類は多岐にわたります。

犬や猫と比較して、小動物の防災情報の発信量は少ないものです。小動物は避難所に連れていけるの?」「どんな準備をすればいいの?と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。

自然災害は、すべての人に平等に起こる可能性があります。平時から小動物の防災に関する情報を集め、できる準備を始めていきましょう。

小動物は避難所に連れていける?

ここでは、小動物の避難所について紹介します。小動物が被災した際は、通院用のキャリーバッグ(ケース)か飼育用のケージを持って避難所に向かうことが一般的です。避難所に到着した際に、小動物がどのように扱われるのかを学びましょう。

犬や猫と同じ扱いになるケースが多い

多くの避難所では、小動物は犬や猫と同じ扱いになるケースが多い傾向にあります。つまり犬や猫を同行できる避難所では、小動物も連れていける可能性が高いといえます。

水害・震災など、災害の種類は問いません。また犬や猫の場合は、飼主の情報を確認できるネームプレートの装着が必要です。小動物の場合は、キャリーやケージに収納できるようにしておきましょう。

犬や猫と同じ場所で収容される場合、他の動物から攻撃されてしまう可能性もありますので、小動物の場合は特に収容先の状況の確認は大切です。

屋外での飼育になる可能性もある

犬・猫・小動物を含むペットの避難は基本的に「同行避難」であり「同伴避難」や「同室避難」ではありません。つまり小動物は、人間の避難場所に一緒に入れないと考えましょう。

また犬や猫の場合は専用の保護エリアが用意されるケースもありますが、小動物の場合は屋外避難になる可能性もあります。外気を直接受ける環境になるため、季節や時間によっては特有のケアが必要です。

避難所ごとの運用によってルールが変わる可能性がある

避難所は、施設の意向や被災の大きさなどにより、ルールが変わる可能性があります。たとえば「当初はペットも屋内保護だったが、収容人数や被害の大きさが想定を越え、屋外保護で対応せざるを得なくなった」というケースも考えられるでしょう。

飼主がどれほどペットを大切に考えていても、大きな災害が発生した際に最優先で対応されるのは「人間」です。ペット同行可の施設だからと油断せず、環境やルールが変化した際の対応方法を考えることも必要です。

避難の方法も避難用語もいろいろある

災害の状況や住んでいるエリアによっても避難の仕方は変わってきます。自分の住んでいるエリアの場合にはどんな避難方法があるのか、事前に確認しておくことも大切です。

避難の方法とそれを表現する言葉についても、正しい知識を身につけておきましょう。

混乱しやすい用語を正しく理解しよう

避難用語には似ていても違う意味の言葉があったり、わかっているようで実はわかっていない用語もあるのではないでしょうか。

ここではそんな避難用語について紹介します。

同行避難

ペットと一緒に避難場所まで移動をすること。

ただし、避難先で 飼主とペットが同室で過ごすことや、飼主がペットのお世話ができる環境を指している言葉ではありません。

参考:環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」P5

同伴避難

飼主が避難所で自分のペットのお世話ができる状態での避難

ただし同じ部屋・空間で生活ができるということではなく、ペットの管理については避難所によってルールが異なるため、確認しておく必要があります。

参考:環境省「人とペットの災害対策ガイドライン」P5

同室避難

飼主とペットが同じ空間で避難生活を送ることができること。避難所によってはこういった避難形態の避難所が設けられているところもあるようです。

ただしペットの種類や大きさなどによって避難所でもルールが変わるため、自分のペットがルールに当てはまるのかどうか事前確認が必要です。

参考:港区 ペット同室避難 人と動物が同じ安全な室内に避難できる避難所

在宅避難

規模の大きな災害が発生した際に、避難所に行かずに自宅で生活を続けること。自宅に倒壊・崩落・浸水などの危険がないと判断できる場合のみ、可能になる避難方法です。

日頃から住み慣れた場所で生活を続けられるので、日常とは違う災害時の生活でのストレスを軽減させられるというメリットがあります。

車中避難・車中泊避難

車中避難(車中泊避難)とは車を避難場所として利用することであり、車を利用して避難行動をとることではありません。

車中で生活するため、車内に備蓄用の水や食料を準備しておく必要があります。

居住エリアによって避難の方法も変わる

小動物を含むペットの避難は、被害状況や地域によって対応が異なります。たとえば豪雪の冬の北海道でも、避難所によっては避難所敷地内の屋外スペースに定められています。寒さに弱い小動物たちは、氷点下の屋外では到底生き延びられません。

また1年中気候が安定している沖縄県でも、そもそもペットの受け入れ自体が不可である可能性があります。

同行避難・同伴避難・同室避難のできる避難所やペット不可の避難所など、どこへ避難することができるのかをまず確認しましょう。

避難先の状況によっては、家で過ごすほうがペットにとって良いケースもあるため、状況に合わせて在宅避難や車中避難などの選択肢を検討することが必要です

参考:江別市「ペットの災害対策について」

参考:那覇市「ペットとの防災対策について」

小動物の防災で準備しておきたいこと

ここでは、小動物の防災において最低限準備しておきたいことを紹介します。人間の防災と同様に、準備をしすぎて後悔することはありません。ぜひ次の休日にでも、ペットの防災に必要な品を買いそろえておきましょう。

ごはんと水のストック

小動物の防災の基本は、ごはんと水のストックです。とはいえ特別な事情がない限り、水は人間用の水道水で構いません。小動物のフードは犬や猫とは異なり、救援物資での確保が困難です。普段食べているフードを緊急用として常備しておきましょう。

カイロ・木材・トイレ砂などのストック

小動物の寒さやストレスをケアするために、ペット用カイロ・木材・トイレ砂などのストックも準備してください。とくに木材は断熱効果もあるため、ペットの健康を守ります。夏場は冷却グッズを備え、できる限り適切な環境を保ちましょう。

遠方の預け先の確保

小動物を飼育する際は、被災時に備えて遠方の預け先を確保してください。近所に預け先を確保している人は多いかと思いますが、自然災害の場合は相手も被災している可能性が高いため、ペットを預かるどころではないでしょう。災害被害の小さい預け先があることで、安心して頼めます。

移動用キャリー・バッグの準備

避難時に備え、小動物用の移動用キャリー・バッグの準備をしましょう。ハムスターやモルモットなどの小動物用キャリーでは、持ち運びやすくウォーターボトルが備えられている物も販売されています。

▼おすすめの小動物用キャリー

アイリスオーヤマ ハムスターキャリー|Amazon

危険が少ない場所にケージを設置する

災害時における小動物の被害を最小限に抑えるために、普段からケージが落下する心配がなく、火災などの危険が少ない場所へケージを設置しましょう。

ケージより高い場所には重い物を置かないようにしたり、周囲の家具が倒れないように固定したりなどの工夫も大切です。

避難先周辺の動物病院の確認

無事に小動物と避難ができた場合でも、急な環境変化や感染症などにより、ペットの体調が悪くなってしまう場合があります。

日頃から、自宅を管轄する避難所周辺の動物病院を調べておきましょう。スマホの電源が入らなくなったときでも、獣医師に診察してもらえる可能性があります。

同行避難を避けた方がいいケース

ここでは、小動物を避難場所に連れて行かない基準について解説します。小動物は人間が想像する以上に、温度や水質などの環境変化に弱いものです。

同行避難をすることで動物の健康を害する心配がある場合などは同行避難は避けた方がいいでしょう。

同行避難を避けた方がいいケースは以下の通りです。それぞれを解説していきます。

  • 適切な温度をキープできない場合
  • 騒音や臭いの心配がある場合
  • 盗難・脱走の可能性がある場合

適切な温度をキープできない場合

避難所で適切な温度環境をキープできないと判断した場合は、在宅避難や車中避難を検討しましょう。たとえばハムスターにとっての適温は20〜25℃であり、種類によっては10℃を下回ると冬眠し、命の危険につながります。

寒すぎるのはもちろん、暑すぎても熱中症や脱水のリスクが上がります。とくに屋外飼育になってしまう場合は、避難所の持ち込みは選択肢から外しましょう。

騒音や臭いの心配がある場合

小動物は、音や臭いに敏感な生き物です。温度環境の問題がクリアできても、騒音や臭いの心配がある場合は、避難所の持ち込みは避けたほうがベターです。

とくにドアの開け閉めや階段の上り下り、人の足音が多い場所では、1日中ストレスに晒されてしまいます。ペットの心理的なケアのために、1番適した場所はどこかを考えましょう。

盗難・脱走の可能性がある場合

災害時は、ペットの脱走の話題が尽きません。避難所では、多くの人や物が行き交います。体が小さい小動物たちが一度でも脱走してしまうと、二度と会えなくなってしまう可能性が高いでしょう。

盗難や脱走の可能性がある場合は、避難所に持ち込まないほうが安全なケースもあります。

とくに飼主から目の届きにくい場所に設置する場合は、在宅避難や車中避難を検討しましょう。

万が一の事態に備えて、最寄りの避難所のルールを確認しておこう

今回は、小動物の防災について紹介しました。どれほど防災の準備をしても、実際に災害が発生するとさまざまな不便に気づくものです。だからこそ平常時にできる準備を行い、後悔のない避難につなげることが大切です。

災害はいつ発生するかわかりません。万が一の事態に備え、最寄りの避難所のルールを確認しておきましょうペットに関するルールを事前に把握できれば、普段の準備もより効率的なものになります。

 

以下の記事では、犬猫の防災について、詳しくまとめています。いざというときに慌てないよう、チェックしておいてください。

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