この記事は2024年2月時点の内容です。

まとめ
  • 災害時はペットと一緒に避難することが大切!
  • 避難場所で必要なものは、事前に揃えておくのがおすすめ
  • ペット用ひんやりグッズが役に立つ!
  • マイクロチップなど、いまからできる対策をしよう

災害は、いつ私たちを襲うかわかりません。地震や火災、台風、津波、洪水……。いつ起こるかわからない災害から、大切な家族であるペットを守るためにはさまざまな対策が必要です。

この記事では、災害時にペットの安全を守るために準備しておきたい防災用品や、いまからできる対策、避難所での過ごし方までを解説します。

“もしも”の時、大切な愛犬や愛猫、ペットを守れるようにぜひご覧ください。

地震、火事、津波…災害が起きたら?ペットと防災対策

2011年に起きた東日本大震災では、飼い主とはぐれた多くのペットが迷子になり、命を落としました。そのことから、環境省は2013年に「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成。2018年には「人とペットの災害対策ガイドライン」へと変更・改定されました。

参考:環境省「人とペットの災害対策ガイドライン(PDF)」

災害が起こった際にまず行うことは、飼い主自身や家族の安全確保ですが、ペットの安全確保についても普段から考えておく必要があります。

【準備】まずはここから!今できるペットの災害対策5つ

ここでは、ペットのためにいまからできる災害対策を5つを紹介します。災害に遭ったときに、後悔しないためにもぜひ参考にしてみてください。

1.マイクロチップなど身分を証明するものを装着する

災害時は人もペットもパニックになることで、ペットから目を離してしまったり、ペットが逃げ出してしまったりする可能性があります。万が一、離ればなれになってもまた出会えるように、マイクロチップを装着しておきましょう。

マイクロチップとは、直径1〜2mm・長さ8mmほどの電子標識機器のことです。ペットの体内に装着しておけば、専用のリーダーで読み取ることで身元の証明が可能になります。

ほかにも、首輪に名札・鑑札・狂犬病予防注射済票をつけておくのもおすすめです。

2.ワクチン接種や寄生虫駆除をする

避難所では、周囲に迷惑をかけないことが大切です。ペットと同伴避難する際は、ほかの人や動物の安全を考慮してワクチン接種やノミやダニ、寄生虫などの駆除をしておきましょう。

また、避難中はペットにも大きなストレスがかかり、体調を崩す可能性もあります。ペットが避難先で感染症や病気にかからないためにも、必要な医療にかけておくことが大切です。

3.預け先や避難場所を見つける

災害時は、ペットだけでなく飼主も危険と隣り合わせです。飼主自身に万が一のことがあった場合に、ペットのお世話を頼める預け先を見つけておきましょう

家族や知人、近所の人などに災害時のペットについて、相談しておくと安心です。

また、ペットと一緒に避難できる場所も事前に把握することが大切です。自治体に同伴避難が可能な場所を聞いておけば、いざというときに迅速に避難ができます。

4.「災害救助依頼用ステッカー」を貼る

災害時に、必ずしも飼主が家にいるとは限りません。ペットだけが家にいる状況になったときのために災害救助依頼ステッカーを玄関などに貼っておきましょう。

ペットが家にいるとわかるので、いざというときに役立つ可能性がありますよ。

5.避難することを想定してしつけを行なう

避難場所で周囲の人に迷惑をかけないためにも、ペットの避難を想定したしつけを行なうことが大切です。たとえば、以下のようなしつけがあります。

  • 無駄吠えをさせない
  • ケージやキャリーバッグになれる
  • トイレトレーニング

避難場所でも落ち着いていられるように、家にキャリーを置いて落ち着く場所と認識してもらったり、粗相しないようにトイレのしつけをしたりして対策しておきましょう。

【準備】ペットを守るために。災害に備えて用意するもの

避難所では人への食料配給が優先され、ペットフードやペット用品はなかなか手に入らないことも多いです。環境の変化にペットが不安になることも考えられるため、普段から食べ慣れているペットフードや使い慣れているペット用品を用意しましょう。

ここでは避難場所に行くときに必要な持ちものと、台風などで自宅から出られないときにあると便利なものについて紹介します。

災害時は店舗の商品がすぐに売り切れてしまうこともあるため、いまから準備しておきましょう。

1.ペットの健康や命に関わるもの

  • 普段食べているフード・水(5〜7日分ほど)
  • 食器(フードボウル、水入れなど)
  • 薬・療養食
  • 首輪・リード
  • トイレ用品(シーツ・うんち袋・おむつ・猫砂など)
  • キャリーバッグ・ケージ

ペット用のフードや水は、最低5日分は用意しておくと安心です。安全に食べられるようにフード・水用の食器も準備しておきましょう。災害用には、折り畳めるタイプの食器が便利です。

首輪やリードは脱走を防止するための生命線です。キャリーやケージを含め、普段の生活で慣れさせておくことが大切です。トイレシートや猫砂は少なくとも1包装・1袋分用意します。猫の場合は猫砂を入れる用に小さな段ボール箱などの簡易的な箱を用意できれば安心です。

2.飼い主・ペットの情報

  • ペットの写真
  • ペットの情報が記載しているもの(動物病院や飼主の情報など)
  • ワクチン接種証明書・鑑札・健康状態などの記録
  • 迷子札

避難所内での脱走防止を兼ね、上記のアイテムは必ず用意しておきましょう。特に犬の場合は、狂犬病ワクチンを接種した証明となる鑑札や駐車済票がなければ、避難所に受け入れてもらえないことがほとんどです。

もし紛失してしまった人は、お住まいの保健衛生課の窓口で再交付の手続きをしてもらいましょう。またペットの写真を用意することで、避難所内で脱走してしまった際の手がかりとして活用できます。

3.おもちゃやペット用品

  • お気に入りのおもちゃ
  • 飼い主さんの靴下や服
  • ブラシ・爪切り
  • タオル(5枚以上)
  • ペット用のウェットティッシュ
  • ペット用の消臭スプレー
  • ガムテープ(ケージの補修など)
  • 洗濯ネット(猫の移動時など)

避難所での生活によるストレスを少しでも軽減するために、ペットが普段から遊んでいるおもちゃや飼い主さんの匂いのついた靴下などを用意しましょう。避難所ではペットと24時間一緒に過ごすことは難しいため、離れているときでも安心できるアイテムがあるとメンタルケアができます。

また災害用のペットブラシや爪切りなども用意しましょう。できれば普段使っているものと同じ商品があるとよいでしょう。避難所というイレギュラーな環境でも、できる限り普段のと同じような生活を再現することが大切です。

ペットと在宅避難の際にあると便利なもの

台風などで、自宅から出られない状況になる場合もあります。

災害時に自宅で待機しているときに怖いのが、停電と断水です。夏シーズンの台風で停電すると、エアコンが機能せずペットが熱中症になる恐れがあります。

そこで、ポータブル充電器や小型のソーラーパネルがあると、扇風機などの電化製品を動かせるため便利です。

ほかにも、電気がなくても使えるペット用のひんやりグッズを持っておくのもおすすめ。例えば水だけで冷える首に巻く用のクールバンダナや、触るとひんやりするブランケットなどがあると、熱中症の対策が可能です。

お近くのホームセンターやショッピングモールなどに売っているため、いまから準備しておきましょう。

【災害時】災害が起きたら、基本は「同行避難」をしよう

地震や台風など、災害が起こったらペットも一緒に避難していいのか迷う人もいるでしょう。実際に、東日本大震災が起こったとき、ペットが置き去りにされてしまうという問題も多くありました。

しかし、ペットは大切な家族の一員。避難場所で迷惑になるかもしれないと置いていくのではなく、一緒に避難できるよういまから対策しておくことが重要です。

同行避難とは?

飼い主が被災したときには、ペットとの同行避難が原則となります。同行避難とは、災害発生時に飼育しているペットを同行させ、避難所まで安全に避難することです。同行避難はペットの安全を守るためだけではなく、飼い主の安全を守るためでもあります。

過去には、避難所に避難した飼い主が後からペットを迎えに行こうとした際に、災害に巻き込まれてしまった事例もあります。被災当初からペットとともに避難することは、守れる命の数を増やす行為でもあるのです。

避難所にペットが同伴できるか確認しよう

同行避難ではペットと同じ避難所に向かいますが、避難所でペットと一緒に過ごせるとは限りません。避難所はさまざまな人が集まるため、動物が苦手な人やアレルギー症状が出る人もいます。特にアレルギー症状が重い人にとっては、動物と一緒の環境で過ごすことで命に危険に関わる場合もあるでしょう。

また衛生面、騒音面などからも、人と動物の生活区域をわけることが一般的です。また避難所の中には、最初からペットの受け入れを禁止している場所もあります。事前にペットとの同行避難を受け入れている避難所を調べ、ルートを確認しておきましょう。

ペットが避難所に入れないときは?

もしペットが避難所に入れないときは、まずはペットの安全を確保する必要があります。多くの場合、遠方の親戚や友人に預けるか、自家用車の中で過ごすかを選択します。

慣れない環境での生活はペットに大きなストレスを与えるため、普段から車中避難の訓練をしたり、事前に預けられる相手を確保したりすることが大切です。

【避難時】ペットと避難所での過ごし方と注意点

ここでは、ペットと避難所で過ごす際の注意点についてご紹介します。

飼い主としては「できる限りストレスフリーに過ごさせてあげたい」と思うものですが、避難所には動物が苦手な人や心に傷を負っている人なども集まっています。お互いに気持ちよく過ごすための配慮を心がけましょう。

1.迷子にならないための対策

ペットが避難所で迷子にならないためには、平常時から避難所での生活を疑似体験させておくことが有効です。避難所で大きなストレスがたまったりパニックを起こすと、キャリーを開いた瞬間に逃げ出してしまうこともあるでしょう。

普段からキャリーやケージ内での生活に慣れさせておいたり、定期的に人が多い場所に連れ出したりすることで脱走を防止します。また飼い主の連絡先を記載した迷子札を首輪に装着し、避難所内で逃げ出してしまったときの対策をしておきましょう。首輪が外れないために、サイズが緩くないかの確認も大切です。

2.周囲への配慮

避難所では多くの人たちとの集団生活になるため、周囲への配慮が必要です。多くの場合、避難所では原則として「人の居住場所」と「ペットスペース」に分かれています。ペットスペース以外では決してペットを出さないように心がけましょう。

避難所によっては、同行避難者とペットスペースが近くに設置されていることも多い傾向にあります。飼い主はペットのトイレの処理はもちろん、可能な限り体臭ケアも行います。またペットスペースから出る際は服に付着した体毛を落とし、動物アレルギーを持つ避難者に配慮しましょう。

3.ストレスや体調への配慮

言葉がわからないペットにとって、避難が必要になるほどの大きな被災時はパニックを誘発しやすいものです。環境が変わってもストレスを最小限にできるよう、日頃からキャリーでの生活や基本的なしつけに慣れさせておきましょう。

犬の場合は「待て」や「おいで」などのしつけを覚えていると、パニック時でもスムーズなコントロールが可能になります。居住地が変わってもトイレシートの上で排泄ができるようしつけておくことも大切です。猫の場合は、キャリー=安全なスペースと覚えさせておくだけでもストレスを減らせます。

けがや病気を抱えているペットのためには、避難所とは別に設置される負傷動物救護所の場所を確認しておきましょう。負傷動物救護所には獣医師が配属されるため、避難所でケアしきれない症状に対応してもらえます。

災害から愛するペットを守るために事前の準備を!

この記事では災害時にペットの安全を守るために必要なグッズや、対策を紹介しました。

大地震や火災が発生すると、命の危険を感じるあまり普段は冷静な人でも思わぬ行動に出てしまうことがあります。パニック状態でもすぐにペットと避難ができるように、必要なものは一ヵ所にまとめておくことが大切です。

ペットがキャリーに入ることを嫌がると避難が遅れ、飼い主にもペットにも危険が及びます。まずは必要品を用意しつつ、避難に必須となるキャリーに慣れさせることから始めましょう。

被災時の行動をシミュレーションすることで、もしもの際にもお互いに慌てずに行動できます。ペットの命と安全を守るのは飼い主さんの責務です。周囲への配慮を守りつつ、ペットの心身の健康を守れる行動をとっていきましょう。

以下の記事では、災害時に迷子札についてまとめています。

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