まとめ
  • 保護犬は人間不信になっている子が多い
  • 最初は無理に撫でようとしたりせず、かがんでゆっくり手の匂いを嗅がせてあげる
  • 大きな声を出したり急な動きをしない、目をじっと見つめない
  • 時間はかかってもちゃんと犬は心を開いてくれる

那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場では、企業のSDGs(※1)として犬を保護する活動・SOS(The Small life One can Save)活動を行なっています。

その那須ハイランドパークのSOS活動担当大島さんに、保護犬と接する時のポイントや、犬に信頼してもらうにはどうすればいいのかを聞いてみました。

保護犬を家族として迎えようと考えている人や、保護犬を迎えたけれどどうすればいいのか悩んでる人に向けてのアドバイスも聞いたので、ぜひ参考にしてください。

保護犬ってどんな犬?どこで会えるの?

日本では、犬に狂犬病の予防接種を毎年1回、受けさせる義務があります。狂犬病の予防接種を受けることのできない飼主のいない犬は保健所に捕獲されてしまい、最悪のケースでは殺処分になってしまうこともあります。

そんな飼主のいない犬を引き取り、飼主(里親)を探してくれるのが動物保護団体であり、そこで保護された犬を保護犬と呼んでいます。ここではそんな保護犬や、保護犬とどこで会えるのかについて紹介します。

保護犬とは?

保護犬として犬が保護されるまでには、いくつかのパターンがあります。

  • 誰にも飼われたことがなく、野犬として産まれて保護団体に保護されたケース
  • 飼主の事情で手放されてしまったケース
  • ブリーダー崩壊など飼育放棄されたケース
  • 保健所に捕獲された犬が保護団体に引き取られたケース

大切に育てられてペットショップに並んでいる犬と違い、保護犬は大なり小なり人間から嫌な思いをさせられた経験のある子がほとんどです。

悪気はなくても、犬のことを考えての捕獲であっても、人間に追いかけられて、無理やり捕まえられる恐怖は想像に難くないと思います。あるいはずっと信頼していた飼主から、ある日突然捨てられてしまう犬の気持ちを想像してください。

いろいろな経緯から、人間に対して不信感を持ってしまう犬。でも犬に不信感を持たせたのも人間です。その気持ちを理解して、少しずつ信頼を勝ち得る努力が必要だということもわかって欲しいと思います。

那須ハイランドパーク・那須高原りんどう湖ファミリー牧場のSOS活動での取組みとは?

那須ハイランドパークには那須ハイランドパークを、日本一わんこフレンドリーの遊園地にする」という想いがあります。犬と一緒に乗れるアトラクションを数多く設置し、犬を連れて遊べる遊園地を目指してきました。その流れの延長線上に、犬の保護活動があったのだと大島さんは話してくれました。

大島さんは常に行政の愛護センターのHPをチェックしているといいます。広い敷地と鳴き声を気にしなくていい立地を生かして、現在30頭前後の犬を保護しており、里親が決まって空きができた際に、新しい犬を保護するためです。

SOS活動のスタッフはドッグトレーナーから、犬のしつけの仕方の研修を受けており、新しく保護した犬のしつけを行っています。

SOS活動の公式HPでは新しく仲間入りした子や、お見合い・トライアル・卒業などのたびに毎回お知らせが追加されます。とても丁寧に犬に向き合っていることがよくわかるHPになっているので、ぜひ一度のぞいてみてください。

保護犬に会いたいときはどうすればいいの?

SOS活動では、保護犬と里親希望者が会うことを「お見合い」といいます。このお見合いを希望する場合、まず公式HPの里親募集中に並んでいる子の中で、気に入った子をクリックします。

お見合いやトライアルの決まっている子はその先には進めませんが、そうでない子はお見合いの申込みボタンがあるので、そこからお見合い希望の項目を記載してお見合いを申込みます。

お見合いを申込むと、スタッフから連絡が入り、希望した子についての詳しい説明が受けられます。そこで説明に納得できると、お見合いに進み、気に入った犬に会うことになります。

実際に保護犬と会うときの注意点

保護犬はペットショップにいる犬とは違います。保護犬は少なからず人間不信になっている犬が多いと、保護犬の説明のところで紹介したように、保護犬がペットショップにいる犬のように人間に尻尾を振って飛びついてくれることはまずありません。

スタッフが愛情を持って接してくれているため、人に対して慣れた犬もいると思いますが、まずは犬が人間を怖がったとしても、その気持ちを汲んであげる広い心を持って接してあげてください

お見合いを希望したらするべきこと

里親になるためには、SOS活動の定めたいくつかの条件があります。

譲渡条件

この条件を読み、里親になるために必要な内容を理解しておく必要があります。

家族はみんな犬を飼うことに同意しているか、飼い始めた犬を最期までちゃんと面倒をみる覚悟はできているか。犬は毎日散歩をさせる必要があります。毎日の散歩は可能なのか、犬を飼うための環境はできているのかなど、スタッフも相談に乗ってくれるので、1つ1つ確認していきましょう。

保護犬の特性

保護犬は基本的に怖がりな子が多いです。ほとんどの子が怖がりだと言っても過言ではないでしょう。ちょっとした物音や聞き慣れない音・風の音・雷の音・車のエンジン音・バイクの走行音など、人間にとっては毎日聞き慣れた、気にもならないような音を怖がります。

普段と違う匂いや、見慣れない人、何に対して怖い思いを抱くのかもさまざまです。人の急な動きや大きな声も犬にとってはとても怖いのです。犬によっては子どもの声や、子どもそのものを怖がる犬もいます。

犬の目をじっと見たりするのも犬を警戒させます。犬にとって目をじっと見つめる行為はケンカの合図になる場合も。慣れてきてアイコンタクトが取れるようになれば問題はありませんが、初対面の犬の目をじっと見つめるのは避けたほうが無難です。

顔は犬の方を向けていても、耳のあたりに目線をおくなどして、目をじっと覗き込まないようにしてあげましょう。人もそうですが、目線の上から手を出されるのは犬も怖いのです。

犬と接するときは出来るだけかがんで、動作はゆっくり、低い姿勢でまず手の匂いを嗅がせて、自分に敵意がないことを教えてあげてください人は怖くないのだと、安心させてあげられれば、保護犬と仲良くなることができるでしょう。

保護犬と上手に付き合うために

SOS活動で保護している犬も、8割が人に慣れていないと、大島さんは言います。SOS活動でも人に慣れるための訓練はしていますが、犬が人に慣れるまでには時間がかかります。最初に驚かせてしまうと、犬がその人を怖い人だと認識してしまう可能性があります。

  • 怖がりな子には最初は無理に撫でようとしないこと
  • 大きな声を出さないこと

この2点には注意してほしいと思います。

里親になってからも、すぐに犬が人に懐いてくれる訳ではありません。信頼関係は一朝一夕には築けません。毎日少しずつ「ここにいていいんだよ。ここがキミの居場所なんだよ」ということを伝えて安心させてあげてください。

実際に保護犬を引き取った人の体験談

犬の保護団体から生後3ヵ月の子犬を引き取ったTさん。引き取った子犬は保護団体のスタッフさんも「ここまで人間を怖がる子も珍しいです」というほど、人が怖くて仕方のない子でした。

犬は大好きで、ほかの保護された犬とは仲良くしているものの、人が近くにくると一目散に逃げるような状態の子犬。引き取った当初はケージの隅にうずくまって全く外に出てきません。最初の1ヵ月は怖がらせないように、毎日ドッグフードと水をあげるだけの日々でした。

1ヵ月が過ぎた頃に、他のボランティア団体の人から「ある程度家に慣れたら無理にでも抱っこするクセをつけたほうがいいですよ」とアドバイスを受け、実行することに。そのとき言われた注意点がありました。

  • 一度抱っこしたら、多少暴れてもすぐには離さない
  • できればそのままその子が眠ってしまうまで抱っこし続ける
  • 可能ならばそのまま眠らせて起きるまで抱っこしてあげる
  • 眠っても大丈夫なんだと、その子に安心させてあげる

それを数回繰り返すうちに、本当にだんだん人に慣れてきました。

散歩も初めは怖がって外に出ることも嫌がりましたし、ドックランに連れて行けば穴を掘ってその中に逃げ込んで出てきません。そのときにドックランにきていた人に協力してもらってなんとか連れて帰ってきたことも2〜3回ありました。

それでも3ヵ月もすると手からご飯を食べてくれたり、そばによってきてくれるようになり、半年もすると抱っこも全く嫌がらなくなりました

3歳になった今では、自分から甘えてきてくれますし、お腹を出して撫でさせてくれます。信頼関係を築くまで確かに時間はかかるかもしれませんが、辛抱強く待ってあげれば、必ず心を開いてくれる日は来ます

どんな子もいつかはきっと心を開いてくれる!じっくり待ってあげましょう

保護犬は心に傷を持っている子が多いです。ペットショップの犬を想像していると、人に懐かない可愛気のない犬だと感じてしまうかもしれません。でもどの子もみんな本当は人に構ってほしいとどこかで思っているのです。

でもそれを素直には表現できなかったり、過去に体験した恐怖から逃れられないでいたりするだけなのです。

じっくり腰をすえて、真摯に向き合っていれば、いつかはきっと無二の信頼関係が築けるに違いありません。それまで諦めずにじっくり付き合ってあげてください。

※1:SDGsとは「持続可能な開発目標」と訳され、現在世界で問題になっている貧困・人権・差別・環境破壊などを、2030年までに解決するべく全世界で行なっている取組みのこと

◆今回インタビューに答えてくれたのは

那須ハイランドパークSOS担当 大島さん

当初はりんどう湖ファミリー牧場に勤務。2021年にりんどう湖ファミリー牧場でもSOS活動を開始するにあたりSOS担当に就任。日々都や県の動物愛護センターの情報を調べ、犬の保護活動に邁進している。

SOS公式HP

那須ハイランドパーク

所在地:栃木県那須郡那須町高久乙3375

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