この記事は2024年7月時点の内容です。
- 犬のベッドや寝場所に直接温風が当たらないようにする
- 特定犬種の場合、犬の背中が冷えないような対策をする
- ホットカーペットを利用する場合は高温にならないように注意する
冬になると増える犬が動物病院を受診する理由とその対策を、ふじわら動物病院の院長として数多くの犬を診てきた藤原先生に聞いてみました。今回はその対策について詳しく解説します。犬を飼っている人はぜひ参考にしてください。
◆取材・監修:獣医師プロフィール
目次
取り返しのつかないことになる前に、やっておくべき対策とは
日常生活の中に、犬にとっての危険が潜んでいるということが藤原先生のお話からわかってきました。ではその危険から愛犬を守るためには、どのような対策をしておくと愛犬を危険から守れるのでしょうか。藤原先生のおすすめする冬の対策を紹介します。
これだけはやっておきたい冬の飼育環境の整備
<理由編>で解説してきた「冬に増える思わぬ事故やケガ」から愛犬を守るために、気をつけておきたい点をまとめてみましょう。
- 犬のベッドや寝場所に直接温風が当たらないようにする
- 電化製品のコードを隠す・ガードする
- ホットカーペットを利用する場合は高温にならないように注意する
- 使い捨てカイロは使い終わったら確実に捨てる習慣をつける
- 冬の散歩に出る際には急激な温度変化に気をつける
- 散歩中に道路を舐めさせない
- 特定犬種の場合、犬の背中が冷えないような対策をする
ここにあげたのは犬全般に言える注意点です。しかし犬は種類によって体格が大きく変わる生き物。次からは犬の体格別にみる対策について紹介します。
常に部屋全体を温めることを心がけたい小型犬の寒さ対策
小型犬の場合、もともと血管が細いため、寒さで血管が収縮すると血流が滞りやすくなります。毛細血管に血液が行き渡らないことで、耳の先が壊死してしまうこともあるほどです。
ホットカーペットなどを利用して体を温めるのも悪くはないですが、できることなら部屋を全体的に温めてあげましょう。部屋が温まっていれば寒さで体を丸めることも無くなりますし、同じ場所だけがずっと温まっていることによる低温やけども防げます。
またホットカーペットを利用する場合は、部屋全体にホットカーペットを敷き詰めるのではなく、犬が暑さを感じた時に逃げられる場所も用意してあげてください。
そしてホットカーペットを利用している場合は、定期的に皮膚のチェックをする習慣を。フケが急に増えたり、皮膚に赤みが増していると感じたら低温やけどの可能性があります。病院の受診を検討しましょう。
誤食やいたずらに注意!大型犬のための冬対策
大型犬の場合、雪の日でも散歩に行かないという選択肢はないですよね。
大型犬と言われる犬種の中には、雪が降ると喜んで駆け回る犬も少なくないと思います。そんな冬の散歩の必需品ともいえる使い捨てカイロ。人も、大型犬と一緒に散歩に行くときの小型犬も、使い捨てカイロを利用することは多いでしょう。
そのときに使ったカイロの後始末はしっかりしていますか?まだ暖かいからと、そのままにして忘れてしまっていた、なんてことはないですか?そのうっかりが、愛犬の命を危険に晒してしまうかもしれません。
カイロを丸呑みしてしまったら、それが自然に排出されることは少ないと藤原先生は言います。手術でお腹を切開しなければならず、全身麻酔も必要になります。寒さ対策も必要ですが、使用済みのカイロは必ず人が責任を持って捨てる習慣をつけましょう。
また大型犬が自由に歩き回れる部屋も、電気コードにカバーをするのも忘れないでください。大型犬は力も強いですから、あっという間にコードなど噛み切れてしまいます。うっかり感電したらいくら体が大きくてもひとたまりもありません。
急激な温度変化に注意!パピー期・シニア期の犬の寒さ対策とは
冬は外気温と室内の温度差が大きくなります。呼吸器や心臓に持病があったり、シニア期に入った犬の場合や、まだ体が出来上がっていない子犬の場合は、急激な温度変化によってヒートショックを起こすことがあります。
犬がふらついていたり、走ったわけでもないのに呼吸が荒くなったら注意が必要です。ヒートショックは命を落とす危険もある状態。すぐに病院に連絡をしましょう。
寒くても犬には散歩は必要です。たまに行かない日があるのは仕方ないかもしれませんが、適度な運動は犬の健康には欠かせません。持病やシニア期の犬に運動をさせたいけれど外が寒すぎるという場合には、室内ドッグランを検討するのもいいでしょう。
冬の散歩に出る時はいきなり外に出すのではなく、少しずつ温度の低い部屋で体を慣らしながら出ることを忘れずに。トイレなどの場所が寒いというのも実は落とし穴です。トイレの場所も冬場は温めるか、場所を変えてあげる必要があります。
寒い季節のお散歩や通院の際の抱っこには気をつけてほしいと藤原先生は言います。例えば片道30分を抱っこ紐やスリングに入れた状態で、身動きができずにじっとしているのは犬にはとてもストレスフルな状態です。往復で1時間以上同じ姿勢が続くと、関節などを痛めてしまう危険性もあります。
抱っこ紐やスリングを利用するときは、犬がある程度動ける余裕のあるものを使い、時々歩かせたり姿勢を変えたりと、犬の体を動かすように心がけましょう。
背中の血流に注意!冬の椎間板ヘルニア対策
軟骨異栄養性犬種に分類される犬種
- ダックスフンド(スタンダード・ミニチュア・カニンヘン)
- コッカスパニエル
- ウェルシュコーギー
- ペキニーズ
- シーズー
- ビーグル
- フレンチ・ブルドッグ など
遺伝的に椎間板ヘルニアになりやすい軟骨異栄養性犬種の場合、背中から腰にかけて冷えないように対策してあげる必要があります。ホットカーペットだとどうしてもお腹は温められても背中が冷えやすくなってしまうため、部屋全体を温めてあげましょう。
外に出るときも、服の上から背中の部分にカイロを貼るなどして、背中の血流が悪くならないように気をつける必要があります。寒いからといってむやみに抱き上げたり、背中に負担のかかる姿勢で抱っこするのもNGです。運動をすることで筋肉をつけたり、リラックスできる暖かいお部屋を用意してあげるように心がけましょう。
椎間板ヘルニアなど、腰を痛めた犬の特徴としては、体のどこを触られても痛がるという特徴があります。
- びっこを引く
- 動きたがらなくなった
- 段差が上がれなくなった
- 触ると嫌がるそぶりを頻繁に見せる
- 急に悲鳴のような鳴きかたをする
このような兆候があったら、病院の受診をおすすめします。
冬は部屋ごと暖かくして犬も人も快適に乗り切りましょう!
人がいるときはもちろん暖房を使うけれど、犬だけでお留守番のときは暖房を切ってしまう…そんな風に生活している人も多いと思います。
燃料費などの高騰で冬の暖房費がかさむのも気になるでしょう。しかしそこでお金を惜しんだことで、愛犬の命を危険に晒してあとで後悔してももう遅いのです。今からできる対策を立てて愛犬と快適な冬を過ごすための準備をしておきましょう。