この記事は2024年7月時点の内容です。

まとめ
  • 犬種によって距離や頻度はかわるものの、どの犬にも適切な量の散歩は必要
  • 被毛や犬種、年齢などによって必要な寒さ対策は異なる
  • 犬が散歩を嫌がる、明確な拒否を表している場合は無理に散歩させる必要はない

犬にとって、毎日の散歩は必須のルーティンです。しかしこれからの肌寒い季節は、人間も犬も体に負担がかかりやすいですよね。冬の散歩では、飼主さんが知識をつけることで愛犬の体や心を守れます

今回は、犬の冬の散歩についてのポイントや注意点を紹介します。体格によって変わる適切な散歩量についても紹介していますので、愛犬との関わり方をよりよいものにするためにぜひ参考にしてください。

犬には散歩が必要な理由と理想的な散歩時間

ここでは犬に散歩が必要な理由や、犬の体格による理想的な散歩時間について紹介します。小型犬や中型犬というくくりの中でも、犬種のルーツや体つきによって必要な運動量は変わるものです。愛犬の運動量が適切なものかを今一度確認してみましょう。

「散歩は必要ない」はウソ!小型犬の場合

「小型犬には散歩の必要はない」といわれがちですが、決してそんなことはありません。チワワのような超小型犬の場合であっても、適切な量の散歩は必要です。散歩は運動のためではなく、社会化(社会化とは、犬が社会・世界に慣れ、生活していく術を学ぶこと)の促進のためでもあるのです。

小型犬の場合は、1回1~2km程度の距離を朝夕の2回おこなうのがベスト。同じ小型犬でも柴犬のように体力があったり、体格がよかったりする場合はさらに増加します。とはいえ何かしらの理由で散歩ができない際は、室内運動だけでも必要な運動量を確保しやすいのが小型犬のメリットといえるでしょう。

犬種によって運動量が変わる中型犬の場合

中型犬に必要な散歩量は、1回2km程度の距離を朝夕の2回といわれています。しかし中型犬はルーツによって必要な運動量が変わるケースも珍しくありません。代表的な犬種は、牧羊犬のルーツを持つウェルシュコーギーやボーダーコリーなどです。

牧羊犬は広大な牧場を走り回る体力を持っているため、個体によっては1回につき1時間程度の散歩が必要な場合も。特にボーダーコリーは知能が高いため、引き運動やフリスビーなど知的好奇心を満足させられる散歩内容が好ましいとされています。

ゆっくり長く歩かせたい大型犬の場合

体力に比例して必要運動量も多い大型犬の散歩は、1回2~4km程度の距離を朝夕2回が適切といわれています。時間に換算すると、1回の散歩で30~60分程度必要です。大型犬の散歩では、激しい運動よりもゆっくりとした散歩が好ましいとされています。

理由は、体が大きい分体重も重く、激しく動きすぎると関節に負担がかかってしまうためです。特に成犬になるまではゆっくり歩くことを覚えさせ、障害や疾患を防止する必要があります。

寒い時期に気をつけたい散歩の落とし穴

ここでは、寒い時期の散歩で気をつけたいポイントを紹介します。私たち人間は寒ければ服を着こめば防寒できますが、犬は基本的に持ち前の被毛で寒さをカバーするしかありません。犬種ごとの特性を学びつつ、飼主さんが適切な寒さケアをしてあげましょう。

室内と外気温の寒暖差に注意

人間と同じように、犬も室内と室外の寒暖差で心身のコンディションが低下してしまいます。体に負担がかかるだけではなく、散歩自体にネガティブなイメージがついてしまうこともあるでしょう。

温かい家を出る前に、廊下や玄関などの気温が低い場所で寒暖差に慣らすことをおすすめします。散歩の直前は、室温を上げすぎないこともポイントです。人間が少し厚着をして丁度いい程度の室温に調整し、外気温との差を減らしましょう。

犬の被毛と適温について知っておこう

犬は犬種によって同じ気温でも体感温度が変わります。愛犬にとっての適温を知るためには、犬の被毛の種類について学ぶことが大切です。

  • アンダーコート……下毛。柔らかく保湿や保温の機能を持ち、冬には防寒の役割を果たす被毛。
  • オーバーコート……上毛。太く剛毛で皮膚を保護する被毛。
  • ダブルコート……アンダーコートとオーバーコートの両方の被毛を持つ犬のこと。比較的寒さに強い。適温は20℃程度。
  • スムースコート……短毛。ダブルコートであっても外気温に影響されやすく、寒さに弱い。適温は25℃程度。
  • シングルコート……アンダーコートがなく、寒さに弱い。適温は20~25℃程度。

基本的にはダブルコートのほうが冬の寒さに強く、風邪も引きづらいとされています。ただしダブルコートであっても、スムースコートチワワのような小さく毛が短い犬種は寒さに弱いため、被毛の種類によって一概に決まるわけではありません。

防寒対策は必須!寒さに弱い犬種の多い小型犬の場合

小型犬は大型犬と比べてもともと血管が細く、寒さで血流が悪くなりやすい傾向にあります。そのためどの犬種でも基本的に寒さ対策は必須です。中でも注意したいのが、被毛の防寒性能が低いシングルコートと、外気温の影響を受けやすいスムースコートです。

散歩の際は防寒対策として犬用の温かい洋服を着させてあげましょう。小型犬は体高が低く地面からの冷気を受けやすいため、お腹周りをカバーできる洋服を選びます。

雪の日の散歩では、足を冷やさないために犬用ソックスを履かせるのもおすすめします。極端に嫌がる場合や寒くてあまり水を飲まない場合は、寒さが厳しい1〜2日程度であれば散歩を休むのもひとつの手です。

犬種によって寒さ対策が違う中型犬の場合

中型犬の場合も小型犬と同様に、寒さに弱い犬種であれば洋服を着させて体感温度をケアする必要があります。ただし運動によって体温が上がる場合もあるため、公園やドッグランに付いたら服を脱がせてあげるのもよいでしょう。

犬が寒がっているか、暑がっているかを観察しながら柔軟に対応することが大切です。激しい運動をする際は、雪や氷で足元が滑らないように注意してあげましょう。

比較的寒さには強い大型犬の場合

大型犬は小型犬や中型犬と比べ、寒さに強いといわれています。主な理由は、筋肉量が多いことにより体内で多くのエネルギー(熱)が作られるためです。また体高が高いため地面の冷気を受けづらく、体温を維持しやすいことも挙げられます(実際に、犬を含める多くの恒温動物は、寒い地域に住むほど体が大きく体重も多い傾向にあります)。

冬でも元気な犬種が多いですが、雪が降ったり体が濡れたりするとテンションが下がってしまう場合も。散歩時には愛犬が濡れないようなサポートをしつつ、すぐに拭けるように大き目のタオルを持ち歩くと安心です。大型犬用のレインコートも常備しておくとよいでしょう。

体調のケアが必要な子犬やシニア犬の場合

子犬やシニア犬は体温調整機能が弱く、健康な成犬よりも外気温の影響を受けやすい傾向にあります。そのため日中の温かい時間に歩かせたり、基本は抱っこしながら移動し日向のみを歩かせたりなどの対策をおすすめします。

特に体の機能が弱り始めるシニア犬は、運動機能の低下を防ぐために日常的な散歩が必要です。長時間歩く必要はありませんが、寒さに捉われずにできる限り外に出してあげましょう。身体機能が弱まっている場合は、犬用カートやキャリーバックで移動するのもおすすめです。

帰ってきたら犬の体のケアを忘れずに

冬の散歩後は早めに防寒着を脱がせ、部屋用のものに着せ替えます。防寒着は寒暖差による体調不良を防ぐためであるため、室内が適温であれば必要ありません。雪や雨などで体が濡れていたら、すぐに拭きとりケアをしてあげましょう。

また冬は乾燥しやすい季節です。簡単に体を拭いたら、肉球に犬用の保湿クリームを塗ってあげるとよいでしょう。被毛はよく乾燥させ、肉球や粘膜周りは保湿し、体を温めるのが冬の体調管理の基本です。

犬が散歩を嫌がったら?

犬が散歩を嫌がる際にはさまざまなサインがあります。例えば甘噛み・体を丸める・リードや防寒着に激しく抵抗する・逃げる・震えるなどが挙げられます。明確な拒否を表している場合は、無理に散歩させる必要はありません。

その分室内遊びで運動量を確保したり、窓を開けて冬の空気に触れさせたりなどで対応しましょう。抱っこをしてベランダや玄関に連れて行くだけでも気分転換になります。

ただし散歩を嫌がる時期が続いたら、体調不良や痛みを感じている可能性も。不安であれば動物病院を受診することをおすすめします。

防寒対策をしっかりと!安心して愛犬と冬の散歩を楽しもう

今回は、冬に犬の散歩をする際のポイントや注意点などを紹介しました。人間でも、寒さが苦手な人・得意な人がいますよね。犬は被毛タイプや犬種によって体感温度が大きく変わるため、人間よりも寒さの感じ方に個体差があります。

できるだけ早い段階で、愛犬の心身の変化に気づいてあげることが大切です。正しい防寒対策をすることで、冬の散歩は今よりももっと楽しいものになります。愛犬に寄添った対策を考え、ストレスのない散歩を楽しみましょう!