まとめ
  • 大阪にあるジオラマ食堂は元は週末に鉄道ファンが集うカフェだった
  • きっかけはお店の前で死にかけていた子猫を保護したこと
  • 保護した猫がジオラマの中で遊ぶ姿がSNSで大人気に

近年ネットやメディアで話題の「ジオラマ食堂」。

保護猫に癒されながら食事ができるとあって、猫好きにはたまらないスポットとして人気沸騰中です。そんな「ジオラマ食堂」が現在の形になるまでには驚くようなドラマがありました。

今回は「ジオラマ食堂」を産んだ寺岡さんに「ジオラマ食堂」の生い立ちについて、お話しを聞いてきました!

猫と鉄道ジオラマ?!大阪にある「ジオラマ食堂」ってどんなところ?

2020年に誕生した現在のジオラマ食堂は、2020年以前は週末に鉄道ファンが集うカフェでした。そこから紆余曲折を経て、保護猫がジオラマの上を行き交う、現在の形になったのだそうです。

ジオラマ食堂は現在3部制(平日2部制・1回2時間)で運営しています。それぞれ時間帯で料金が違い、気に入ったら1日いられる料金設定もあります。

ジオラマの上で遊ぶ猫ちゃんたちを眺めたり、一緒に遊んだりできるのがジオラマ食堂の何よりの魅力!ときには猫ちゃんが豪快にジオラマを壊してしまうこともありますが、それを間近で見られるのもまたジオラマ食堂ならではの魅力!と、人気が爆発しているスポットです。

壊れてしまったジオラマって簡単には直せないのでは?と、ちょっと心配になってしまいますが、実はそこにもジオラマ食堂の秘密がありました。現在のジオラマ食堂にたどり着くまでにはどんなことがあったのでしょうか?

“きっかけ”は庭に落ちていた「くさりかけたナスビ」

3年前まで、寺岡さんは猫を飼ったことなどなく、猫との関わりなどまったくなかったのだそうです。当時のジオラマ食堂は、ジオラマを楽しむ鉄道ファンが週末に集まってくるカフェで、平日は保育園を営むという業態でした。

しかし2020年に入ると新型コロナウイルスが流行りはじめ、人が集まる場所に制限がかけられるように。それまでの業態で仕事を続けて行くかどうかの決断を迫られていた時期に“きっかけ”は訪れました

それはシンバとの出会いから始まった

その日は2020年6月8日。新型コロナウイルスの脅威が日本列島を席巻し、人が集まる場所は基本的にドアを開放しておくように指導が入っていた時期。開け放されたドアの外に、それは落ちていました。

寺岡さんいわく「最初くさったナスビの塊だと思った」のだそう。スタッフが片付けようとそのナスビを拾って見ると…。

「猫だ!」拾ったスタッフもびっくりするほど、それは生まれて間もない小さな子猫(画像)だったのです。後からわかったことですが、5月30日に隣のビルの隙間で生まれた子猫だったそう。まだ生後1週間の子猫が、息も絶え絶え今にも死んでしまいそうな状態で発見されました。

その死にそうだった子猫を一晩中世話をした結果、翌日にはなんとか元気を取り戻した状態に。寺岡さんはそこからご家族と相談し、猫についての知識はまったく無いながら、その子猫にシンバという名前をつけ、新しい家族として迎えることに決めました。

母猫がシンバを心配して食堂に顔を出すように

それから数日後に週末を迎え、ジオラマ食堂に鉄道ファンが集っている中、開け放したドアから中をのぞく猫の姿に寺岡さんは気づきます。母猫と思われる猫が子猫を3匹連れていました。

それから毎日母猫はジオラマ食堂をのぞきに来ます。時期は6月下旬で雨の続く時期。

この親子の行動範囲がジオラマ食堂の近くであると推測した寺岡さんは、お店の前に停めたままにしてあった車のバッテリーを外して、車の下で猫が雨宿りできるように準備しました。

マットを敷いたりして猫の居心地が良くなるような心配りも忘れません。そのおかげで母猫と子猫たちは車の下に居つくようになりました。

7月中旬になると、近くの保護団体の人が訪ねて来て、車の下にいる猫を保護して里親を探したいとの申し出を受けたそうです。

しかし「せっかく親子で頑張って生きている猫たちを、バラバラにするのは忍びない…」そのときはそう思ったのだと、寺岡さんは当時を振り返ります。

7月19日には保護団体の人の手も借りて、母猫と子猫3匹の保護をすることに。猫たちに母猫(サラ)・姉妹猫(ライア・ナラ)・雄猫(レオ)と名づけ病院に連れて行き、母猫の避妊や病院の健診などを経て、4匹の猫と、それよりも少ない数のお客さんというジオラマ食堂が始まりました。

ジオラマの上で飛び跳ねる猫の動画をSNSに投稿

当時は新型コロナウイルスの影響やトラブルが重なり、保育園で預かっていた子どもの数も5分の1に減少。大阪で仕事を続けるか、東京で仕事をするか悩んでいたという寺岡さん。時間に余裕ができたこともあり、ジオラマの上で飛び跳ねる猫たちの動画をSNSにアップすることにしました。

元々鉄道好きが高じて自分でジオラマを作る仕事もしていた寺岡さんなので、猫が壊したジオラマの修理もお手のもの。壊されるところを動画で撮ってまた修理する、そんなことを繰り返していた9月の末に、福岡デイリー新聞から取材の依頼が入りました。

ネットで拡散されバズり始める

デイリー新聞の取材を受け、記事がWebニュースに掲載されると、瞬く間にYahoo!ニュースに転載され、ついには共同通信のニュースに登場するまでに。猫が悪者(ジオラマ)をやっつける!という構図でバズったジオラマ食堂は軌道に乗り始めます。

翌年の5月には近くのビルで生まれた猫の親子(のちに母猫は昨年保護したサラの姉妹猫であることが判明)を保護し、総勢14匹の猫を保護するまでになりました。その頃には毎月テレビや雑誌の取材が殺到するようになっていたそうです。

クラウドファンディングでシェルターの準備を開始

その年の6月には保育園で使っていた部屋の1つが使われていないことから、本格的に猫のシェルター運営を決意。保護施設と猫のペットホテルのためにクラウドファンディングを行うことを決めます。

順調に資金が集まり、その結果2021年10月にペットホテルの開業にこぎつけました。ペットホテルはお盆とお正月がメインの稼働時期で、それ以外の時期はシェルターとして利用するという業態でペットホテルを始めると、またマスコミに取り上げられ、スタッフの数も増えていきました。

里親募集も軌道にのり、2022年7月には伊勢に2つめの施設を予定するほど順調だったジオラマ食堂に、転機が訪れます。

ジオラマ食堂の転機とは?そこから得た学びとは?

SNSから火がつき、順調に保護猫の数を増やして来たジオラマ食堂に、思わぬところで訪れた転機に寺岡さんも奔走することになります。猫たちを守るために下した決断と、そこで得た学びから生まれた、今に繋がるジオラマ食堂の保護規定について、ジオラマ食堂のストーリーは後編に続きます。

 

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◆今回インタビューに答えてくれたのは

ジオラマ食堂代表 寺岡さん

東京でのアパレルの仕事を経て、趣味の鉄道撮影を活かしたジオラマ製作の仕事などを行い、日本国内でも有数の規模のジオラマを手がけるまでに。そこからジオラマを展示したカフェの経営を始め、現在に至る。

ジオラマ食堂公式HP

ジオラマ食堂official【公式】 Twitter

ジオラマ食堂 〜ジオラマと猫〜 youtube

所在地:大阪府大阪市天王寺区寺田町2-5-16-102
定休日:水曜日

料金:要予約

ランチタイム(12時〜14時):おとな2,500円・こども2,000円

日替わり定食・ワンドリンク

ティータイム(15時〜17時):おとな2,300円・こども2,000円

日替わりスイーツ・ワンドリンク

団らんタイム(18時〜20時):おとな2,500円・こども2,000円 ※金曜と土曜のみ

和・洋・中から選べる定食・ワンドリンク

もふもふチケット月・火・木・日(12時〜17時):おとな4,500円・こども3,500円

14時〜15時はふれあい広場で休憩・ランチとスイーツ・それぞれワンドリンク

もふもふチケット金・土(12時〜20時):おとな6,500円・こども5,500円

14時〜15時・17時〜18時はふれあい広場で休憩

ランチとスイーツと定食・それぞれワンドリンク

※こどもは小学生以下・3歳以下無料