この記事は2024年7月時点の内容です。
- ナマケモノって実は泳げる
- フタユビナマケモノの肋骨は46本あり、木にぶら下がる生活を助けている
- 5日〜1週間に1回、命がけでうんちに行く
- 飼育下最高齢のナマケモノは、ギネス記録に認定されている
- ナマケモノは研究が進んでいないため、まだまだ謎めいたユニークな動物
のんびりゆったりとした動きで魅了するナマケモノ。垂れ目のような模様につぶらな瞳。何を考えていて、いつ動くのか、時間を忘れて眺めていたくなりますよね。
ナマケモノの存在を知っているものの、種類や生態などを詳しく知っている人は少ないのではないでしょうか?
今回はナマケモノ推しライターが、あなたの知らないおもしろい生態をもつ、ナマケモノの世界を案内します。
目次
ナマケモノのおもしろい生態
実はナマケモノってかわいいだけではなく、とてもユニークな特徴をもつ動物なんです!
ここではナマケモノがもつ、おもしろい生態を紹介します。
ナマケモノって実は泳げる
木の上で過ごしている印象が強いナマケモノですが、実は泳ぎが得意。
さらに水の中では、陸上より約3倍も速く動けることを知っていますか?木の上の生活で発達した前足を使って水をかき、1分間におよそ5m進みます。
ナマケモノの生息場所には雨季があり、森まで水があふれてしまうため、生きていくためには泳ぐしかない過酷な環境です。
ナマケモノたちは、雨季になると新しい住みかを探すために泳いで移動します。
哺乳類なのに変温動物
ナマケモノは哺乳類なのに、体温を一定に保つことのできない変温動物です。
寒すぎると、ナマケモノの胃に共生して消化を助けている微生物が死滅し、食べても消化が止まってしまうので、死んでしまうこともあります。
周りの温度に影響されてしまうため、1年中暖かい熱帯を好んで住んでいます。
フタユビナマケモノの肋骨は46本
フタユビナマケモノの肋骨は、胸椎から腰椎にかけて23対。
真肋骨が11対、仮肋骨が12対。46本の肋骨があることが分かっています。これは哺乳類1位の肋骨の多さです。
木にぶら下がって生活する時間が多いナマケモノ。
重力で内臓が背中側に移動するのを防ぎ、木から落下した場合の衝撃を和らげてくれるしなやかさをもつ、独特な構造になっています。
うんちに行くのは命がけ
地上におりることは、ナマケモノにとって危険な行為です。
ナマケモノの死因の半数は排泄時に、ジャガー・オセロット・オウギワシなどの天敵に襲われたためという調査結果もあるほど命がけの行為です。
ナマケモノは体重の3分の1程度の尿や糞をためて、5日〜1週間に1回は排便をするために木を降りてきます。
危険をおかしてまで地上におりる理由は、排泄物を肥料にして木を育てるため、共生している蛾のため、糞のにおいやフェロモンでパートナーを探すためなどの仮説がありますが、解明されていません。
胃が4つの袋に分かれていて、消化に1週間以上もかかる
木の上で柔らかい葉や木の芽を食べて生きるナマケモノ。
1日数gの食事量から、より多くの栄養を取り込むために、胃は4つの袋に分かれています。
代謝が非常に遅いため、1枚の葉を消化するのに最大30日もかかるといわれています。
木に逆さまにぶら下がっていても食事ができるように、食道が曲がっているため、ナマケモノは吐き出せません。
あげるものには、細心の注意を払いましょう。
ナマケモノの生態や寿命を解説
海外では、怠惰やものぐさを意味する「Sloth」と呼ばれているナマケモノ。
名前のとおり、ゆっくりした動きから「ナマケモノ」と名付けられました。
ここではナマケモノの生態や寿命、ナマケモノをペットとして飼えるのかを解説していきます。
中米や南米に生息するナマケモノは6種類いる!
ナマケモノは、中央アメリカから南アメリカ、ブラジル北部の熱帯雨林に生息しています。
ナマケモノを大きく分けると、フタユビナマケモノ科・ミツユビナマケモノ科の2つです。見分け方は名前のとおり、指の本数で以下のように6種類に分けられています。
フタユビナマケモノ科
- フタユビナマケモノ
- ホフマンナマケモノ
ミツユビナマケモノ科
- ノドチャミツユビナマケモノ
- ノドジロミツユビナマケモノ
- ピグミーミツユビナマケモノ
- タテガミナマケモノ
6種の中でもピグミーミツユビナマケモノとタテガミナマケモノは、絶滅危惧種です。
生息地の森林地帯が失われていることや、ペットとしての需要が高いため、乱獲されたことが原因と考えられています。
ナマケモノの寿命は飼育下で約30年
ナマケモノの寿命は、生活環境で変わってきます。種によっても多少の差がありますが、野生では約10〜20年、飼育下では約30年といわれています。
世界最高齢のナマケモノは、ドイツの動物園で飼育されているフタユビナマケモノの「ヤン」。
確認できる限りですが、2021年に51歳の誕生日を迎えています。2020年には「飼育下最高齢のナマケモノ」として、ギネス記録にも認定されています。
ナマケモノって飼えるの?
ミツユビナマケモノ科は、前述したとおり絶滅の危機に瀕しているため、ワシントン条約でペットとして飼うのを禁止されています。
ワシントン条約に違反して取引をした場合は、法的制裁を受ける可能性があることを覚えておきましょう。
ナマケモノをペットとして飼いたい場合は、エキゾチックアニマルを扱うペットショップや専門店から、フタユビナマケモノをお迎えできます。
特別な届け出は必要ありませんが、ペットになることが珍しいナマケモノを診てもらえる病院を探すことは困難です。
ナマケモノを飼育するためには高温多湿な環境が必要になるため、電気代やカビ対策など、一般家庭での飼育は簡単ではありません。
ナマケモノに会える場所
ゆっくり動きおっとりした性格ですが、ペットとして飼うのは難しそうなナマケモノ。
ここからは、ナマケモノに会いに行ける場所を紹介します。
- 【栃木県】那須動物王国
- 【埼玉県】埼玉県こども動物自然公園
- 【千葉県】千葉市動物公園
- 【静岡県】伊豆シャボテン動物公園
- 【高知県】高知県立のいち動物公園
- 【兵庫県】神戸どうぶつ王国
- 【長崎県】長崎バイオパーク
上記のように全国各地にナマケモノと会える場所があります。
日本で飼育されているナマケモノは、指が2本あるフタユビナマケモノです。フタユビナマケモノは、ミユビナマケモノより大きく、動きも速い個体が多いといわれています。
生息地により体毛の色に差があり、暑い地域では金色、寒い地域ではこげ茶色の毛色です。
人目につかない高いところを好み、あまり動かずに過ごしているので地味な印象の動物ですが、ナマケモノのおもしろい生態を知った上で会いに行くと、これまでは気が付かなかった新しい発見があるかもしれません。
おもしろくてかわいいナマケモノに会いに行こう!
今回はおもしろい生態をもつ、ナマケモノの世界を紹介しました!ナマケモノは、まだ研究が進んでいないユニークで珍しい動物です。
次のお休みは、謎めいたナマケモノに会いに行ってみませんか?
以下の記事では、ナマケモノとはまた違ったおもしろい生態をもつウォンバットを紹介しています!ぜひチェックしてみてください!