まとめ
  • まずは本当に捨て猫・野良猫かどうかを確認する!
  • 猫を保護するときは怪我に注意する
  • 子猫を拾ったら、まずは温めてあげよう
  • 飼えない場合は、1人で抱え込まず周囲を頼る


「道端で捨て猫と出会って放って置けなかった…」「子猫を保護したけど、次に何をすればいいの?」猫を保護しなければいけない状況は、突然訪れるものです。

保護したはいいものの、次にどのような行動に移せばよいかわからない人も多いでしょう。この記事では、猫を拾う前や拾ったあとにやるべきことを紹介します。

獣医師の監修のもと、猫を飼えない人も冷静に対応するための方法も解説しているので、突然の出来事にも備えられるようにぜひ参考にしてください。

◆この記事を監修してくださった獣医師プロフィール

ttm 医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。

猫を拾う前に!迷い猫や地域猫でないかを確認しよう

「外にいるのはかわいそう…」と思い、猫を保護したくなる人もいるでしょう。

犬の場合は野放しにせずに飼う「係留義務」があるため外にいるのは普通ではありませんが、猫の場合、外を歩いているからといって一概に野良猫・捨て猫とはいい切れません

外飼いをしていたり、地域の人や保護団体がお世話をしていたりする可能性もあります。知らずに保護をしてしまうと、所有権を侵害したことになりトラブルに発展することもあるのです。

ただ、以下に当てはまる状況だと保護したほうがよい場合もあります。

  • 骨折や出血など大きな怪我をしている
  • ガリガリに痩せている
  • 箱に入れて捨てられている
  • 紐やリードでつながれたままでいる

人に慣れているかは飼猫かどうかの判断材料にはならないため、状況を見て判断するのが大切です。

首輪や捜索ポスター・迷子情報がないかチェックする

猫に出会ったら、まず首輪がないかを確認しましょう。首輪がある場合は、飼猫である可能性が高いです。

また、周囲の電柱や壁に、猫の捜索ポスターがないかチェックするのも大切です。ポスターがない場合でも、SNSやインターネットの捜索掲示板に書き込みがあるケースもあります。

迷子のペットの捜索掲示板例:迷子ペット.NET

猫の特徴と見つけた場所で検索し、該当する迷子情報がないか探してみましょう。

近くに母猫がいないか確認する

子猫を見つけた場合は、心配ですぐに連れて帰りたくなりますよね。

しかし、子猫を見つけた場合は近くに親猫がいてお世話をしている場合も多いです。もし母猫がいるのに子猫をさわってしまった場合、母猫が警戒して育児放棄されてしまうこと

子猫を発見した場合はさわらず、1〜2日ほど少し離れた場所から以下を観察をしてください。

  • 母猫がお世話をしにきているか
  • 子猫が弱ってきていないか 

もし母猫の姿が見当たらず、子猫がぐったりしている、怪我をしている場合は手袋をつけて保護をします。保護時はタオルやカイロなどで保温し、動物愛護センターや警察への連絡と動物病院の受診をしましょう。

参考:熊本市ホームページ「子猫を見つけても さわらないで‼」

「地域猫」ではないかチェックする

外にいる猫は野良猫ではなく「地域猫」である可能性もあります。地域猫とは、地域のルールのなかで管理されている猫のことを指します。

地域猫の場合、世話をしている餌やりさんがいるため、突然保護をして猫がいなくなってしまうと「猫に何かあったのではないか…」と心配させてしまうでしょう。

以下の項目に該当していれば、地域猫である可能性があります。

  • 耳がカットされている「さくら猫(※1)」である
  • 猫がいる近くに地域猫や管理者の掲示がある
  • 公園内や公園の付近にいる(地域猫の管理場所であることが多い)

判断が難しい場合は、猫がいる場所周辺に住んでいる人に捨て猫・野良猫かを聞いてみてもよいでしょう。

※1:さくら猫:不妊手術済みである印として、耳の先をさくらの花びらの形にカットした猫のこと。手術後に地域でお世話をしていることが多いため注意が必要

猫を拾うときに気をつけるべきこと

猫を拾う際は、怪我を負うこともあるため注意して行いましょう。猫も突然、人に近づかれると怖いものです。恐怖心から引っ掻いたり、噛んだりすることもあります。

もし、猫による怪我を負った場合は菌や感染症を考慮し、病院に行くことをおすすめします。特に、近年はSFTS(重症熱性血小板減少症候群)という病気が猫や犬から人に感染する事例が発生しています。人の死亡例もあるため、注意しましょう。

参考:国立感染症研究所「ペットからSFTSウイルスに感染し, SFTSを発症した事例報告」

参考:厚生労働省「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について」

保護すると決めたら、軍手や長袖などで肌を覆うのがおすすめです。もし猫が明らかに体調が悪そうな場合は上記のSFTS感染も視野に入れ、マスクやゴーグルをつけたほうが安心です。

また、拾う際は目隠しがわりにタオルを被せて、首ねっこを持つと安全に保護できるでしょう。

猫を拾ったらやるべき4つのこと

猫を拾っても慌てないために、やるべきことを4つ解説します。ぜひ参考にしてみてください。

1.子猫を拾った場合は、まず温めてあげる

子猫は人の赤ちゃん同様、体温調節がうまくできません。そのため、拾ったらまず体を温めてあげましょう。

箱やケージの中に湯たんぽや、お湯を入れたペットボトルにタオルを巻いたものを入れてあげるのがおすすめです。また、ペット用のホットカーペットを敷いてあげるのもよいでしょう。

その際、低温やけどや温度の低下に注意してください。

2.動物病院に連れて行く

外にいる猫を拾ったら、まずは動物病院に連れて行きましょう。病院では、以下のような項目を診察してもらってください。

  • マイクロチップの有無
  • 避妊去勢の有無
  • エイズや白血病感染のチェック
  • ノミ・ダニ・お腹の虫び駆除
  • その他、外傷がないかどうか確認

病院費用の相場としては、初診料の1,000〜3,000円程度に加えて、虫の駆除に2,000円程度、感染症検査に5,000円程度がかかります。

全部で大体1万円弱かかることが多いですが、保護主さんと猫の安全のためには必要経費だと思うことが大切です。

動物病院によっては病院のホームページなどを利用して里親探しを手伝ってくれるところもあります。自分で飼えない場合は診察を受ける際に相談してみても良いでしょう。

動物病院が開いていない場合

夜遅くや早朝に猫を拾った場合、動物病院が開いていないこともありますよね。そのときは、いきなり部屋に放つのではなく、病院に行くまでお風呂場やダンボール、ケージに入れて虫や体の汚れが部屋に広がらないようにしましょう。

また、すでに先住猫やほかの動物を飼っている場合は、感染症のリスクを考慮し、ふれあわないようにすることが重要です。

3.飼主が探していないかを確認する

猫を拾ったら本当に飼主がいないのかどうか、改めてチェックしましょう。住んでいる地域の動物愛護センター(名称は場所によって異なる)に連絡したり、迷子猫の掲示板サイトを見たり、SNSで検索したりして迷い猫でないか確認します。

また、捨て猫や野良猫に見えても飼猫である可能性もあるため、トラブル防止のために最寄りの警察署に「猫を拾った」と伝えて、拾得物届を提出するのもおすすめです。

4.猫が暮らせる環境を整える

そのまま飼う場合や、引き取り手を探すなら猫が暮らせる環境を整えてあげましょう。猫を飼う際に必要なものは、以下のとおりです。

  • トイレ用品(トイレ本体・猫砂・トイレシート)
  • ご飯と水入れ用のお皿
  • 爪研ぎ(ダンボールや麻素材など)
  • ケージ(2段 or 3段がおすすめ)
  • 猫用おもちゃ

猫は環境に敏感な生きものです。なるべくストレスを与えないよう、快適な空間を作ってあげてください。

 

子猫を迎える際のポイントは以下の記事でも詳しく説明していますので、あわせて参考にしてください。

【あわせて読む】

【獣医師監修】子犬・子猫の迎え方|お迎えするときに気をつけること【準備編】

猫を拾ったけど飼えない場合の対応

「猫を拾ったけど、うちでは飼えない…」という人もいるでしょう。飼えないときにできる対応を3つ紹介します。

1.自分で里親を探す

保護したはいいものの仕事やアレルギーなど、猫を飼えない事情がある人は里親を探しましょう。家族や知り合いなど、近くに猫を飼いたい人がいないか確認してみてください。

また、ネットで猫の特徴と写真を載せて飼主を探す方法もあります。ただ、なかには危ない目的で引き取ろうとする人もいるので、自宅訪問や身分証のチェックは欠かさないようにしましょう。

▼保護猫募集サイトの例

2.動物愛護団体に相談する

「自分で里親を探すのは不安」という人は、地域の動物愛護団体に相談してみてください。

多くの愛護団体ではすでに保護している猫の数が多く、キャパオーバーなこともあるため、引き取ってもらえる可能性は低いですが、里親探しを手伝ってもらえることもあります。

保護してもらえないからと、動物愛護センターに猫の保護をお願いすると、短い期間で殺処分される可能性があるため注意が必要です。

3.保護猫カフェに相談する

猫を拾ったら保護猫カフェに相談するのもひとつの方法です。保護猫カフェとは、文字通り保護猫がいる猫カフェのこと。

オーナーさんや店員さんが保護活動をしている場合もあるため、相談に乗ってくれるでしょう。場合によっては引き取ってくれる可能性もあるため、一度話をしてみるのもおすすめです。

 

以下の記事では東京都内の保護猫カフェを紹介しているので、参考にしてみてください。

【東京】猫を飼いたい人必見!里親にもなれる保護猫カフェのおすすめ5選

猫を拾ったら慌てず対応しよう!

この記事では、猫を保護したときにやるべき行動を紹介しました。外に猫がいても保護してはいけない場合も多いので、まずは落ち着いて対応をしましょう。

猫を拾ったのも何かの縁なので、適切な対応をして迎えてあげてもよいですね。自分で飼えない場合でも、できることはたくさんあります。

トラブルを避けるためにも、ぜひ今回の内容を頭に入れておいてください。