まとめ
  • 大きい個体は60kgにもなるカピバラは、世界最大のネズミの仲間
  • カピバラは時速50kmで走れる
  • お風呂が大好きで、3時間以上もお風呂に浸かっていられる
  • 実はカピバラは笹が大好物


近年あちこちの動物園で人気のカピバラ。世界最大のネズミの仲間だということは知っていますか?のんびりとしたイメージの強いカピバラですが、イメージ通りの動物なのでしょうか?

実際のカピバラの生態について、伊豆シャボテン動物公園・カピバラ担当飼育スタッフの中野さんにお話を聞いてきました。

カピバラを日本で初めてお風呂に入れた伊豆シャボテン動物公園

冬になるとカピバラが、お風呂に入って気持ちよさそうにしているポスターをよく見かけませんか?あのポスターの仕掛け人こそが伊豆シャボテン動物公園なのです。

日本で初めてお風呂に入るカピバラを展示した動物園でもあり、現在は伊豆シャボテン動物公園のほかに、長崎バイオパーク・埼玉県こども動物自然公園・那須どうぶつ王国・いしかわ動物園の5園で5園国露天風呂協定を結んで共同でイベントを開催しています。

中でも冬に行われる長風呂対決は、毎年メディアを巻き込んで盛り上がる人気のイベントです。

いろんな動物とふれあえる伊豆シャボテン動物公園とは?

伊豆シャボテン動物公園は、放し飼いにされているクジャクやリスザルなど、30ヶ所以上で可能なエサやり体験ができ、他の動物園ではあまり経験できないことができる参加型の動物園です。

園内には140種類以上の動物がおり、そのほとんどが小動物。ふれあったりエサをやれたりといった、動物との距離のない体験ができる動物公園になっています。

日本有数のカピバラの飼育頭数を誇る!

伊豆シャボテン動物公園のカピバラたちはとても相性がよく、多産なこともあり1回の出産で4頭産む個体もいるのだそうです。そのため繫殖のタイミングが重なると露天風呂展示場だけで20頭を超えることもあるとか。

本来カピバラは、オスが1頭にメスが数頭にその子どもたち、という群れを作って生活しています。群れ同士を一緒にすると、オス同士がケンカをしてしまうため、群れはできるだけ別々に飼育するのだそうです。

中野さん担当の群れのリーダーはふたまるくんというオスで、体重は50kgを超えているのだとか。日なたぼっこが大好きで、あまりお湯に浸かることはないのだそうです。

カピバラってどんな動物?

このところメディアでもよく見かけるようになったカピバラ。力の抜けた愛らしい見た目と、露天風呂に浸かってのんびりとくつろぐ姿はみる人の心を癒してくれます。

ではそのカピバラの生態について、中野さんに聞いてみました。

世界最大のネズミの仲間・カピバラの生態と性格とは?

カピバラはモルモットやハムスターと同じネズミの仲間で、齧歯目(げっしもく)に分類されています。

齧歯目の中では世界最大の種で、体の大きい個体は60キロ近くになるのだそうです。

「水辺に生息しており、指先には水かき、体が濡れてもすぐに乾くようにかなりゴワゴワした毛並みを持っていて、たわしをさわっている感覚に似ているとよく言われます。

運動神経もかなり良く、本気を出すととても速く走る事ができるんです。意外にすばしっこい動物なんですよ」

カピバラはたわしのような感触の動物だというのは意外でした。見た目からはあまり想像できない感触なんですね。

カピバラってみんなお風呂が好き?

「伊豆シャボテン動物公園では露天風呂を毎年開催していますが、お湯に浸かることはみんなとても大好きです。

長風呂対決などのイベントを他の動物園と一緒に開催したりしています。一番長い記録では約3時間40分浸かったカピバラもいるので、私たち人間よりもはるかにお風呂が大好きなんだと思います」

3時間40分というのはちょっとびっくりするような記録ですね。

カピバラはみんなお風呂好きな性格をしているのだとすると、長くお湯に浸かっていて肌がふやけたり毛が抜けたり、皮膚に影響は出ないのか、ちょっと心配になったので聞いてみたところ……。

「カピバラは本来水辺で生きている動物です。カバなどと一緒で、目と鼻と口が一直線上に並ぶように顔の造りができています。

水から目と鼻と口を出してずっと水の中にいられるように体ができているのです。ですから長時間水の中にいたからといって、皮膚がふやけたり毛が抜けたりというような心配はありません」

中野さんは笑顔でそう説明してくれました。

カピバラはどんな物を食べるの?

野生のカピバラはイネ科の植物・果物・木の皮などを好んで食べているそうです。伊豆シャボテン動物公園のカピバラたちはキャベツ・白菜などの野菜・リンゴ・ニンジン・チモシーと呼ばれる牧草などを食べていると中野さんは話してくれました。

「毎日お世話していて個人的に感じるのは『笹が一番好きなんだ!』ということ。お昼寝をしていても日なたぼっこをしていても、お風呂にのんびり浸かっていても、笹の音がすると飛び出して走ってきます(笑)。

通常のエサよりも時々あげる笹が大好きなんだと実感します」

笹と聞くとパンダをイメージしてしまいますが、カピバラも笹が大好物だというのは意外でした!

のんびりしてるだけじゃない!カピバラの意外な性格

カピバラは本来、野生で生きる動物であり捕食される動物のため、とても臆病な動物です。驚くとパニックになったり、予測できない動きをすることがあります。

驚いた時にはカピバラが2本足で立ち上がることもあると中野さんは言います。

本来は野生で生きている動物であるカピバラ。そんなカピバラの特徴と、上手にふれあうために必要なことについて聞いてみました。

実は時速50kmで走れるって本当?

「本当です。カピバラたちは南アメリカ東部を中心に生息しています。その地域には日本には生息していないカピバラたちを捕食してしまうジャガーを始めとした肉食獣、ワニやヘビなどの大型爬虫類、空にはコンドルなどの大型猛禽類が天敵として暮らしています。

そんな天敵たちから逃げ、生き延びるためにも野生のカピパラ達は時速50キロで走れるようになったと言われています」

50kmって自転車より速いですよね。カピバラと競争しても、人間は絶対勝てないってことがよくわかりました。

カピバラとふれあう時の注意点

伊豆シャボテン動物公園では、カピバラにエサをあげたり、なでたりしてふれあうことができます。カピバラとふれあう機会があったら、ぜひ覚えておいてほしいことがあると中野さんは言います。

  • 大きな声を出さない
  • 大きな音をさせない

簡単に言ってしまうと「カピバラをおどかさない」と、いうこと。

「野生でのカピバラは常に捕食者から身を守り、警戒しながら生きています。驚くということはカピバラにとっては命の危険をともなうのが常ですから、驚いた時にパニックになり、制御が利かなくなることがあります。

本来カピバラは捕食される動物なので臆病なのです。それを忘れずにカピバラに接してほしいと思います」

中野さんが言うように、近くで急に大きな音がしたり、大きな声で耳元で話されたら、人間だってびっくりするし、いい気持ちにはならないですよね。

自分がされてイヤなことは人にも動物にもしない。当たり前のことですが、楽しくなってテンションが上がってしまうと、ついつい忘れがちになるものです。

特に小さな子どもを連れているときには、お互いのために、基本を忘れないことを心がけたいですね。

飼育スタッフおすすめのカピバラのかわいいポイントとは?

露天風呂に浸かっているときの気持ちの良さそうな顔は本当に見ているだけで癒されますよね。それ以外にもきっとカピバラのかわいい姿は見られるはず!

そこでカピバラをいつも見ているスタッフだからこそ知っている、カピバラのかわいさ、見どころについて中野さんに話してもらいました。

カピバラの赤ちゃんはいつ頃生まれる?

かわいい姿と言えば思い浮かべるのが赤ちゃんではないでしょうか?

カピバラの赤ちゃんが見られる特定の季節があるのかどうかについて、中野さんに聞いてみました。

「季節は特に決まっていないので、いつ頃というのは明言は難しいですね。相性がいいと1年に2回産むカピバラいたりします」

季節は決まっていないということは、逆に言えばいつでも見られる可能性があるということですね!年に2回もその可能性があるのなら、楽しみはかなり広がりそうです。

カピバラの可愛い仕草・見どころとは?

毎日カピバラを見ている中野さんが、カピバラをかわいい!と感じるのはどんなときなのか、日頃のカピバラの姿や性格を交えて教えてもらいました。

「カピバラたちは意外にも声で感情が分かります。怒っているときや驚いた時は『ゴッッ!!』と鳴き、嬉しい時や甘えている時は『キュルキュル~』と声を出します。

特に甘えているときの鳴き声は、撫でている時に出してくれたりするので、その姿を見ると可愛くていとおしい気持ちになります。

露天風呂の展示場ではお客様にエサやりを行ってもらっていますが、その時も嬉しいとキュルキュル~の声が聞こえてくることがあるので、注目していただければと思います」

ふれあうチャンスがあったら、カピバラに『キュルキュル~』って言われたいですね!

毎日違った魅力を見せるカピバラに癒されよう!

最後に来園者に向けて中野さんにコメントをいただきました。

「のんびりくつろぐ姿や、美味しそうにご飯を食べる姿や生まれたばかりの赤ちゃんなど、色の違いなどは大差のないカピバラですが、それぞれに個性があり愛らしい動物です。

この機会にぜひカピバラたちの魅力に気づいていただければと思います」

毎日違う表情を魅せてくれるカピバラたち。今度のお休みは、それぞれ性格や個性の違うカピバラに癒されに行くというのはどうでしょう?

その時には中野さんのお話をぜひ、思い出してみてください。

◆今回インタビューに答えてくれたのは

カピバラの飼育担当 中野さん

カピバラの専属スタッフになって1年と少し。担当になってみて初めて「カピバラってこんなに人に慣れるのか!」と感動したそう。カピバラは本来は野生で生きる動物。普段はどんなにおとなしくても、カピバラが本気になったら人は勝てないし、どんな動物も「絶対安全な動物」はいないというのが信条。動物の特性や生態を理解して、動物を脅かすような接し方はしないでほしいと熱を込めて語る。

伊豆シャボテン動物公園

園内には放し飼いにされている動物が多数いて、30ヶ所以上で動物にエサやり体験ができる来園者参加型の動物公園。1500種類以上のシャボテンを展示している国内でも有数の植物園でもある。

所在地静岡県伊東市富戸1317-13

料金

大人・平日(中学生以上)2,700円 土日祝および繁忙期 2,800円

小学生・平日 1,300円 土日祝および繁忙期 1,400円

幼児・平日 700円 土日祝および繁忙期 700円

営業時間:9:30〜17:00 ※季節により変動あり

 

楽しい動物とのふれあいですが、注意したいポイントもいくつかあります。あわせてチェックしてみてください。

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