- ケヅメリクガメはアフリカのサバンナや南米に生息する動物
- ケヅメリクガメは実は歩くのが速い
- 五月山動物園のチェカくんはお尻をなでられるのが大好き
- 個体差がしっかりあって、ケヅメリクガメは感情表現の豊かな動物
ケヅメリクガメという動物を知っていますか?あまり馴染みのない名前のカメですが、日本の動物園でも20園ほどで飼育しているため、見たことのある人も多いと思います。
今回は日本で2番目に小さな動物園・五月山動物園で、ケヅメリクガメの飼育を担当している松田さんにお話を聞きました。
◆取材・監修:飼育スタッフ
目次
ケヅメリクガメとは?
ケヅメリクガメはカメ目リクガメ科に属しており、名前の通り陸上で生活するカメです。
カメの中でも大型で、ゾウガメ2種類に次いで大きくなるカメです。体重は大きい個体で50kg、甲羅の大きさも大きいもので70cmになります。
お尻の部分に爪状の突起(ケヅメ)があることから、この名前がついているケヅメリクガメの生態について、松田さんに詳しく聞いてみました。
どこに生息しているカメなの?
日本では見かけないケヅメリクガメは、本来はどこに生息していてどんな生態のカメなのでしょうか?
野生のケヅメリクガメは、アフリカのサバンナや南米などの乾燥した地域に生息しています。
薄暮性なので朝はボーっとしていることが多いですが、日中は散歩をしたり動き回り、夜は眠ります。
時々「ググー、グフー」と鳴くことがあります。運が良ければ鳴き声を聞けるかもしれません。
サバンナにはカメも生息しているというのはちょっと意外な気がしました。カメは水辺の生き物という認識は思い込みなんですね。
ケヅメリクガメの食事風景
ケヅメリクガメはどんなものを食べているのでしょうか?ケヅメリクガメの好きな食べ物などについて教えてもらいました。
園では小松菜・チンゲン菜・白菜などを中心に葉もの野菜やにんじん・りんごなどをあげています。食いしん坊なので生の青草を1日に1〜2kgくらいは食べていますね。
食べているときの満足そうな顔はとてもかわいいんです。
タンポポや野草も好きですが、一番好きなのはトマトだと思います。トマトをあげると目をキラキラさせて食べにきます(笑)
トマトを1年中あげられるように、ふれあい広場の裏にトマト畑を作りました。
目をキラキラさせるケヅメリクガメ。想像するだけでかわいいですね!そのために畑を作ってあげるなんて、飼育スタッフのケヅメリクガメへの想いが伝わってきます。
50年以上生きることもあるって本当?
ケヅメリクガメの寿命について松田さんに質問したところ……。
野生下では30年くらいだと思いますが、飼育下だと50年くらい生きる個体はいますね。
五月山動物園のケヅメリクガメのチェカくんは17歳で体重が46kgだそうです。まだまだこれからも元気で活動してくれますね。
ケヅメリクガメの飼育環境とは?
アフリカのサバンナに生息するケヅメリクガメを日本で飼育するために、どんなことに気をつけているのでしょうか。
松田さんに聞いてみました。
野生下と飼育下の違い
野生下では寿命が30年くらいと飼育下より短くなってしまうというケヅメリクガメ。
その理由についてお話を聞きました。
野生下ではエサがコンスタントに採れないこともあり、生息環境も過酷です。
何より事故に遭うことが寿命を縮める1番の原因だと思います。
なるほど。ケヅメリクガメは過酷な環境で生きている動物なんですね。
日本でケヅメリクガメが快適に生活するためにしていること
サバンナで生きているケヅメリクガメを日本で飼育するために気をつけていることについて教えてください。
気温が30℃以上になるとバテるので、熱中症対策のためにプールに水を張って水浴びさせたり、甲羅を濡らしたりして温度管理に気をつけています。
カメは鼻から水を吸い込んで飲むんです。注意してみてみるとわかりますよ。
暑さだけではなく寒さにも弱いため、冬眠してしまわないようにランプヒーターで25〜28℃の温度に保つよう管理する必要があります。
爬虫類は全般的に温度管理が必要なのだと松田さんは話してくれました。
飼育スタッフだから知っているケヅメリクガメ
毎日ケヅメリクガメに接しているからこそ知ることのできる、ケヅメリクガメの生態について松田さんに話してもらいました。
ケヅメリクガメの意外な一面がたくさん聞けて驚きの連続です!
ケヅメリクガメを飼育していて困ったこと
ふだんチェカくんのお世話をしていて困ることは何かありますか?
チェカは破壊魔で、うさぎとカメを一緒に遊ばせることがあるんですが、うさぎ小屋をよく壊すんです。
チェカがうさぎ小屋に入ろうとして、入れないのに無理に入るので結果的に小屋が壊れてしまうんです(笑)
うさぎの小屋を壊せちゃうんですか?
かなりのパワーがあるんですね。
甲羅は固いので、けっこうな頻度で壊しますよ。1年に5〜6回ありますね。
後から小屋を直すのが大変です(笑)
なるほど。うさぎ小屋を壊せる破壊力はすごいですね。
修理するのも骨が折れそうです。
飼育して初めて知った意外な一面
松田さんは、ケヅメリクガメの飼育を担当してみて気づいた意外な一面があったと言います。それはどんなことなのでしょうか。
土を掘るのが好きなんですよ。けっこう力も強いので、気づくと20cmくらいの穴になっていることもあったりして。
本人は満足気なんですが、掘ってしまった穴を埋める作業がなかなか重労働なんです(笑)
あの大きさの体の入る穴を埋め戻すのは確かに大変そうです(汗)。
飼育スタッフおすすめのケヅメリクガメのかわいいポイント
毎日一緒にいて感じるチェカくんのかわいいポイントってどんなところでしょう?
ケヅメリクガメには個体差がはっきりあって、顔つきや甲羅の色なんかも違います。
頭もいいので名前を覚えていて、呼ぶと寄ってきてくれます。
チェカの場合は甲羅のうしろ、お尻のところをなでられるのが大好きで、なでてあげるとお尻をふりふりして「もっとなでてー」ってアピールしてくるんです。
その姿がとってもかわいいんですよ。
チェカくんがお尻をふりふりしてくれるなんて、ずっとなでてあげたくなっちゃいますね!
ケヅメリクガメの甘えん坊な一面が垣間見えるお話です。
飼育スタッフが教えるケヅメリクガメのここを見て!
ケヅメリクガメを観るならここを観てほしい!というポイントを松田さんに聞いてみたところ、意外なお話が聞けました。
さっきもお話ししましたが、ケヅメリクガメは顔つきに違いがあるので、チェカの顔をちゃんと観てほしいですね。
ほかにも、歩くスピードがとても速いんですよ。初めて見る人はみんな驚きます。
歩いているところはぜひ観てほしいですね。
カメといえば足の遅い動物の代名詞のように言われていますが、そんなこともないんですね。
あまり感情表現もないイメージですが、どうなんでしょう?
意思がはっきりしていて、やりたいことを邪魔すると足を踏まれます(笑)
地味ですが、ちゃんと感情表現してくれますよ。
え!?
足を踏まれるっていうのはわざと飼育スタッフの足を踏んでくるんですか?
わざとだと思います。
足の小指をピンポイントで踏んでくるので。
これがけっこう痛いんですよ(笑)
ケヅメリクガメに足を踏まれるってなかなか貴重な経験ですよね……。
ゆうゆうとマイペースに生きるケヅメリクガメに癒されよう!
トマトが大好きだったり、なでるとお尻とふりふりしてくれたり、意外と足が速かったりと、ケヅメリクガメの生態についてお話を聞きました。
カメというとなんとなく感情が見えにくい動物のように思っていましたが、トマトに目をキラキラさせたり、なでられると喜んだり、気に入らないと足を踏んで意思を伝えてきたりと、とても感情を表現してくれる動物なんだということもわかりました。
動物園でケヅメリクガメを見ることがあったら、感情表現の豊かな一面に注目して観ると新しい発見があるかもしれません。
◆施設情報◆
五月山動物園
所在地:大阪府池田市綾羽2-5-33(五月山公園内)
料金:無料
営業時間:9:15~16:45(ふれあい広場やイベントなどが雨天など天候条件により休止することもあります)
休園日:火曜日(火曜日祝日の場合はその翌日)
五月山動物園のエミューの飼育スタッフにもお話をお聞きしました!飛べない鳥、エミューの謎に迫ります!