まとめ
  • 春に活動的になる野生生物は、鳥・ウサギ・虫など
  • 冬眠する生物以外にも、独特のサイクルで休眠する生物もいる

春といえば、生き物たちが目覚め始める季節ですよね。冬眠していた生き物や、寒さから身を隠していた生き物たちが動き出し、まさに「生命の季節」と呼ぶにふさわしい賑やかさを感じられます。

今回は、春を代表する生き物たちを紹介します。普段の通勤・通学路でも、ふと道端に目をやると可愛らしい生き物たちに巡り会えるかもしれません。

春の生き物の代表は鳥とウサギと虫たち

春に賑やかになる生き物といえば、鳥・ウサギ・虫たちが代表的です。鳥は冬の間同じ場所にとどまる種類もいれば、寒い時期は暖かい土地へ移動していることもあります。

野生のウサギは巣穴の中で暮らし、虫たちは土の中や木の隙間で越冬するケースも。それぞれの適応方法で冬を超えた生き物たちは、芽吹きの春に一斉に活動を開始するのです。

春を代表する鳥5種

ここでは、日本の春を代表する鳥を紹介します。長い冬が明けると、鳥のさえずりとともに暖かな春が始まります。街路樹や公園の木々に目を向け、小さな鳥たちを見つけてみましょう。

ウグイス

「春の音といえば?」と聞かれたら、多くの人がウグイスの「ホーホケキョ」という鳴き声をイメージするのではないでしょうか。

ウグイスは日本三鳴鳥(さえずりが美しい鳥)の一種で、鳴き声を聞くと春の訪れを感じさせます。早春に鳴き始めるため「春告鳥(ハルツゲドリ)」の別名を持っており、まさに春を代表する鳥といえるでしょう。

スズメ

スズメは古くから日本人に親しまれてきた春の鳥で、源氏物語や枕草子など歴史的な文献にも度々登場しています。

スズメの繁殖は3月頃から始まり、1ヵ月程度で巣立ちになります。春真っ盛りの時期に個体数が増えてくるため、春とのイメージが強いといえるでしょう。

スズメは環境変化により個体数が減少傾向にあるため、今後の保護や共存の手法が注目されています。

ツバメ

ツバメは北半球の広い範囲で繁殖する渡り鳥で、日本では屋久島より北で繁殖します。「チュビチュビチュビ、チュルルルル」という独特な鳴き声を持ち、飛行に適した大きな翼を持っていることが特徴です。

脚は歩行に不向きな短さで、ほとんど地面に降りることはありません。スズメと同様に個体数が減少しており、さまざまな団体がツバメの保護活動を行っています。

ヒバリ

ヒバリは、春の鳥として世界中に親しまれている鳥の一種です。開けた原っぱや麦畑などに生息しており「フィチフィチ、ピージョルピー」と陽気なさえずりを響かせます。

春に繁殖期を迎えたオスの個体は、長いときには20分以上も鳴き声を出し続けるのだとか。

野原に春を告げる鳥とも呼ばれ、そのさえずりはヨーロッパやアメリカ諸国で「清浄な愛を表している」といわれています。

キジバト

キジバトは公園でよく見かけるハト(ドバト)とは違い、首に青白黒のマフラーを巻いているようなオシャレな外見をしています。

日本とユーラシア大陸のみに生息しており、国内では森林部だけではなく都市部で目にすることも。

リズミカルな低めの声で「デーデー、ポッポー」「ホーホ、ホッホー」と鳴きながら縄張りを宣言します。

春に恋する野生のウサギ5種

ここでは、春に活動的になる野生のウサギを紹介します。日本のウサギはニホンノウサギを主軸にしつつ、4種類のニホンノウサギの亜種に分類されていることが特徴です。

分布の境界が不明瞭なケースもあるため、度々再検討が提唱されています。

ニホンノウサギ

日本でノウサギといえば、まず挙げられるのがニホンノウサギです。ニホンノウサギは本州・四国・九州・佐渡など、全国的に分布しているウサギです。

妊娠期間が短いことが特徴で、年に3~5回ほどの出産ができますオスもメスも寿命は3~4年程度で、森林・都市部・荒地・草原など幅広い地域に生息しています。

キュウシュウノウサギ

キュウシュウノウサギは、ニホンノウサギの基亜種(最初に新種として記載されたほうの特徴を持つ亜種)です。東北より南の太平洋側・四国・九州が主な分布地です。

カラーは茶色が基本ですが、北に行くほど体が白くなる傾向にあります昼間はやぶや岩の影で休んでおり、夜に活動を開始することが特徴です。

オキノウサギ

オキノウサギは隠岐諸島に生息するニホンノウサギの亜種で、カンガルーのように足が長いことが大きな特徴です。生息地に天敵がいないため体を隠す必要がなく、冬でも体の色が変わりません。

足の長さは、分布地に傾斜面が多いことから坂道を早く登るために発達したと考えられています。

トウホクノウサギ 

トウホクノウサギは、東北地方から本州の日本海側に生息するニホンノウサギの亜種です。普段はグレーがかった茶色の体色をしていますが、日照時間が短くなると体毛が生えかわり、全身のほとんどが白く変わります

かつては里山でよく見られましたが、狩猟の歴史や生息地の減少などで個体数が減ってきています。

サドノウサギ

サドノウサギは、佐渡ヶ島のみに生息しているニホンノウサギの亜種です。生息地では冬の降雪量が多いため、後足が雪に埋まらないために長いことが特徴です。

佐渡の固有種として親しまれてきましたが、個体数が増えすぎて間引きしようとテンを放った結果、テンの増加に追いやられどんどん減少してしまいました。現在では準絶滅危惧種に指定されています

春に出てくる虫たち5種

ここでは、春に出てくる虫を紹介します。「虫はちょっと苦手……!」という人も多くいるかと思いますが、ぜひ今回を機に虫たちの不思議な生態にふれてみましょう。

虫の写真や画像は掲載いたしませんので、安心してご覧になってくださいね!

モンシロチョウ

モンシロチョウは春から秋にかけて見られる虫で、野原や畑に生息しています。花の蜜を主食とし、キャベツやアブラナなどに卵を生みつけて繁殖します。

モンシロチョウとよく似たチョウにスジグロシロチョウがいますが、背中に黒いスジがないのがモンシロチョウ、スジがあるのがスジグロシロチョウです。

テントウムシ

テントウムシは春を代表する虫の一種ですが、世界ではなんと合計6,000種以上の種類が確認されています。そのうち日本で確認できるのは、見つけやすいナナホシテントウやヒメカメノコテントウを含めた約180種類です。

太陽に向かって真っすぐに飛んでいく習性を持つため「天道(太陽の神様)虫」と呼ばれています。

アゲハチョウ

アゲハチョウは4~10月に見られる虫で、羽化する(成虫になる)時期によって「春型」と「夏型」に分かれます。

春や夏に生まれた「夏型」は冬眠せずに羽化しますが、秋に生まれた「春型」はサナギのまま冬を越して春に羽化します。

丈夫な鎧で冬の寒さを越えた後、春に成虫となって空を飛び回るのです。黄色と黒のコントラストが美しく、優雅にはばたく姿は春の虫の代名詞ともいえます。

ダンゴムシ

ダンゴムシは落ち葉や石の下などに生息しており、危険を感じると体を丸めて身を守る習性が特徴的な虫です。

なお一般的に目にするダンゴムシの正式名称は「オカダンゴムシ」です。ダンゴムシとよく似た見た目で体を丸めないものは「ワラジムシ」として区別されています。

ミツバチ

ミツバチは、花の蜜を加工して巣に蓄えて蜂蜜にする習性を持つ虫です。世界に9種存在しており、中でも有名な種類は養蜂に用いられるセイヨウミツバチです。

蜂は刺すイメージが強いかもしれませんが、実はミツバチは人間を刺すことはほぼありません。巣を直接刺激しなければ攻撃してこず、基本的に大人しい性格をしています。

冬眠明けたら春だった動物たち5種

ここでは、越冬の手段として冬眠をする動物を紹介します。人間からすると、長期間飲まず食わずで過ごせる動物たちは少し神秘的に感じますよね。きたる春のために長い眠りにつく動物たちについて学んでみましょう

クマ

クマの冬眠では、体温を4~6℃ほど下げて約7ヵ月間眠り続けますクマは8種類の属に分かれますが、その中で冬眠するクマはヒグマ・クロクマ・ヒマラヤグマ・シロクマです。

自然にできた岩の隙間や木の根元の穴などを活用しますが、小さな刺激でも眠りから覚めてしまうため冬期の山林では注意が必要です。

ハリネズミ

ハリネズミの冬眠は特殊で、クマのようにずっと眠っているわけではありません。起きている間に冬ごもりの準備を進めつつ、森に作られた隠れ家で静かに暮らします。

6~7ヵ月を冬眠期間として過ごしますが、非常に鈍い動きながらも行動することが可能です。そのため冬眠よりは休眠という表現が近いといえます。

ヘビ

変温動物であるヘビは、気温に合わせて体温を調整して冬を乗り越えます。

外気温が下がると温度変化が少ない土や水に潜り、エネルギーを節約するためにじっと静かに過ごすことが特徴です。ヘビの冬眠は気温が10℃以下になると行われ、11~3月下旬ごろまで眠っています。

カメ

カメはヘビと同様の変温動物ですが、種類によって冬眠の有無が分かれます。

寒い地域に生息しているカメは冬眠しますが、暖かい地域のカメは冬眠しません冬眠する場合は、ほとんどの種類が地面の下で静かに過ごしています

コウモリ

コウモリの冬眠サイクルは独特です。合計の冬眠日数は約18日ほどですが、実際に眠るのは数時間~数ヵ月と非常に幅があるのです。

体温は外気温ほどにまで低下し、呼吸は1分に1回程度にまで減少します。

春の生き物を探しに出かけよう!

今回は、春に活動的になる生き物たちを紹介しました。

春はさまざまな生き物たちが元気に動き回る季節です。ぜひこの機会に草原や公園・街路樹・花壇など、身近な自然環境に意識を向けてみましょう

 

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