まとめ
    • リカオンはアフリカに生息するイヌ科の動物
    • 群れで行う狩りの成功率は40〜80%ともいわれる凄腕ハンター
    • オスも育児に参加するイクメン動物
    • 日本では3園でしか見ることができない

提供:よこはま動物園ズーラシア

リカオンという動物を知っていますか?

日本ではよこはま動物園ズーラシアの他には、富士サファリパークと浜松市動物園の3園でしか見られないという珍しい動物リカオン

リカオンは狩りの達人であり、その成功率は40%〜80%とも言われるイヌ科の動物なんです。

今回はそんなリカオンについて、よこはま動物園ズーラシアのリカオン担当飼育スタッフの橋本さんに詳しく話してもらいました。

◆今回インタビューに答えてくれたのは

よこはま動物園ズーラシア飼育スタッフ リカオン担当 橋本さん

金沢動物園や野毛山動物園などを経て現在よこはま動物園ズーラシアのリカオンを5年ほど担当しているというベテラン飼育スタッフ。今まで有袋類やクマ、類人猿などいろいろな動物をまんべんなく担当してきたが、実はイヌ科の動物の担当は初めてという意外な一面も。

アフリカにいるイヌ科の動物の中では最大種

提供:よこはま動物園ズーラシア

リカオンは、本来はアフリカのサバンナで生息している動物なのだそうです。群れで行動し、イヌ科の動物の特徴ともいえる強い絆で結びついた生活をするリカオン。

体重は20〜30kg程度と幅がありますが、おおよそ中型犬〜大型犬の大きさで、寿命は飼育下で8〜12年程度だといわれています。丸い耳がチャームポイントのイヌ科の動物です。

日本ではあまり聞いたことのないリカオンですが、橋本さんにその生態について話してもらいました。

細身でもスタミナは負けない!リカオンの生態

一見細身に見えるリカオンですが、持久力はかなりのものだとか。

スタミナ勝負に強いリカオンの生態について聞きました。

橋本さん
橋本さん

リカオンが狩りに成功するのは、スタミナがあるからというのも理由だと思います。

脚も速くて、時速60kmで2km・時速48kmで5km走り続けることができるといわれています。

1日に10km移動することもあるほど、運動能力の高い動物です。

時にはライオンにも勝つ、サバンナの凄腕ハンター

リカオンも肉食の動物だと思いますが、サバンナには天敵はいるのでしょうか?

橋本さん
橋本さん

ライオンやハイエナなどが天敵になります。

ハイエナはリカオンとよく間違われることがありますが、リカオンはイヌ科の動物で、ハイエナはハイエナ科の動物。

大きさもハイエナはリカオンの倍ほどの大きさです。

絶滅危惧種に選定されている!?

リカオンは現在絶滅危惧種に選定されているそうですが、実際にはどのような状況なのでしょうか。

橋本さん
橋本さん

リカオンは現在絶滅の危機にあります。

生息数がおよそ1500頭ほどまで減っているという報告もあり、状況はあまりいいとはいえません。

交通事故や密猟など、人間の影響も大きく、飼い犬との共通の病気などもその数を減らしている大きな原因の1つと考えられています。

群れの固い結束が狩りの成功率を上げる

提供:よこはま動物園ズーラシア

リカオンの高い狩りの成功率は、群れの結束と切っても切れない関係にあるのだそうです。リカオンの群れの結束について橋本さんに聞きました。

群れで生活し、役割分担をしながら狩りを行う

リカオンは数十頭ほどのパック(群れ)で生活するそうです。

そのパックの中には役割分担がしっかりあり、狩りの際にもその役割が高い成功率の理由になるのだとか。

リカオンの行う狩りの方法について聞きました。

橋本さん
橋本さん

リカオンはスタミナがあるという話を先ほどしましたが、狩りの際にはスタミナのあるリカオンが、リレーしながら獲物を追うスタイルで行います。

1頭が時速60kmで2km獲物を追いかけ、疲れたら別のリカオンが交代して時速48kmで5km獲物を追うという感じです。

どんな動物でも全速力でそう長く走り続けられるものではありませんから、結果的にリカオンの狩りの成功率があがるということです。

ライオンの狩りの成功率はおよそ30%、チータが40〜50%といわれていることを考えると、リカオンの狩りの成功率の高さが驚異的だということがよくわかります。

雌雄平等に狩りも子育ても行う

リカオンの子育てはオスもメスも平等に参加するのだとか。それは一体どのようなものなのでしょうか。

橋本さん
橋本さん

リカオンは群れで生活するため、役割分担が決まっています。

群れの中で一番強いオスとメスが子どもを作り、群れの他のメンバーと協力して子育てをします。

例えば狩りに出るもの、巣穴で子どもを守るものなどの役割があり、巣穴で子どもを守るのは必ずしも母親だけではありません。

肉食の動物リカオンの食事風景

提供:よこはま動物園ズーラシア

野生では自分たちで狩りをしてエサを調達するリカオンですが、動物園ではどのようにエサを食べているのでしょうか?

リカオンの動物園でのエサについて、橋本さんに話してもらいました。

動物園では何を食べているの?

肉食のリカオンのエサはどのようなものなのでしょうか。

橋本さん
橋本さん

普段のエサは馬肉・牛のレバーやハツ・鶏の頭・丸鶏のぶつ切り・鶏の胸肉などをあげています。

1日、リカオン1頭あたり約1.5kgのエサを食べています。

横浜の冬の寒さは厳しく、カロリーの消費が大きいため、冬は普段の食事にプラスして50gほどドッグフードを与えています。

リカオンは食事の気配を感じると待てなくなる⁉

野生では自分たちで狩りをして獲物を獲るリカオンですが、動物園でのエサについて何か気をつけていることはありますか?

橋本さん
橋本さん

エサの時間になったらあまり待たせないということでしょうか。

エサの気配を感じるとテンションがめちゃくちゃ上がるんです。

その状態で長い時間待たせてしまうと、ケガの心配もあるので、リカオンがエサに気づいたな、と思ったらすぐ出すようにしています。

ご飯の前にテンションが上がるのは動物の本能ですよね。

ちょっとかわいいなと思ってしまいます。他にも何かエサに関して気をつけていることはありますか?

Tierコラム編集部
Tierコラム編集部
橋本さん
橋本さん

野生ではエサの獲れない日ももちろんあります。動物園では毎日エサが食べられるので、週に1回「骨付き肉の日」を設けています。

人間の女性の手首くらいの太さで、肉が少しだけついた状態の骨をあげるんです。

その日の食事は骨だけ、という日を作っています。

動物園ならではのリカオン飼育秘話

提供:よこはま動物園ズーラシア

ズーラシアではリカオンの繁殖にも成功しています。そんな動物園ならではの飼育にまつわるお話を聞きました。

同性同士は仲が悪い⁉️

ズーラシアでは現在メス4頭とオス5頭の合計9頭のリカオンが生活しているのだそうです。

動物園という環境では、ケンカなどが発生すると逃げ場がなく、苦労することもあるのだとか……。

橋本さん
橋本さん

オスだけ、メスだけという分け方で飼育していた時期もあるのですが、同性同士の方がギクシャクすることが多いですね。

野生のパック(群れの単位)では子どもが生まれた場合、オスはパックに残って、メスが離れることが多いんです。

飼育下で同居をするには相性が重要です。本当に仲が悪いと柵越しでもケンカになるので、そういう子たちは柵越しでも顔を合わせないように飼育しています。

上下関係がしっかり決まると落ち着きますが、力関係が拮抗しているとケンカになりやすいですね。

リカオンの赤ちゃんは人に懐くことはある?

提供:よこはま動物園ズーラシア

ズーラシアではリカオンの繁殖と人工哺育に成功しています。実際の繁殖の様子や、人工哺育で育ったリカオンについて話してもらいました。

橋本さん
橋本さん

リカオンは1回の出産で平均6頭、多いと10頭以上の子どもを産むといわれています。

動物園で産まれた子は人に懐いたりするのでしょうか?

Tierコラム編集部
Tierコラム編集部
橋本さん
橋本さん

ズーラシアで産まれたリカオンは人工哺育だったこともあり、飼育スタッフに慣れてはいるようですが、懐くということはないですね。

他のリカオンは警戒していてスタッフに寄ってくるというようなことはないですが、そのリカオンは距離感が近い感じがします。

リカオンを観るならココが見どころ!

提供:よこはま動物園ズーラシア

リカオンのお世話を毎日している飼育スタッフがおすすめするリカオンの見どころについて話してもらいました。

飼育スタッフの語るリカオンの意外な一面

リカオンという動物について、いろいろわかってきましたが、ここではリカオンの意外な一面について橋本さんにお話を聞きました。

橋本さん
橋本さん

脚力が強いので、ジャンプ力がすごいんです。壁を利用して150cm以上の高さまでジャンプできます。

いわゆる三角飛びですね。

2mくらいのところに足跡がついていたりして「え、こんなところまで飛んだんだ!」と思うこともあります(笑)。

リカオンの展示を観る際には、壁についた足跡も必見です。

スタッフイチオシ!リカオンのお食事タイム

リカオンの姿を観るならその運動能力をぜひ観て欲しいと橋本さんは言います。

橋本さん
橋本さん

普段はまったりしているリカオンですが、食事の気配を感じると興奮するのか、展示場の端から端まで走ったりしてテンションが上がります。

たまに鳴き声を聞く事もできるかもしれません。遠くまで響く鳴き声は、聞く機会があったらぜひ耳を澄ませて聞いてください。

サバンナを駆け巡るリカオンは仲間思いの賢い動物

提供:よこはま動物園ズーラシア

日本にいるとあまり馴染みのない動物、リカオンについてお話を聞きました。

運動能力が高く、群れで行う狩りのスペシャリストだということがわかりました。イヌ科の動物というのも、なんとなく親近感を感じますね。

日本で観ることのできる動物園は少ないですが、観る機会があった際にはぜひこの記事を思い出して、リカオンの生態をじっくり観察してください。

 

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