まとめ
  • 毒のある花は意外と多い
  • 特に注意の必要な花・植物10種類を紹介
  • よく知っている花にも毒があるものが多いので注意が必要
  • 普段の生活で拾い食いをさせないしつけも大切

春は「芽吹きの季節」と呼ばれるように、さまざまな花や植物が私たちを楽しませてくれます。目でも香りでも楽しい季節ですが、犬の飼主にとっては要注意です。春は愛犬にとって、健康面で不安を抱かせる時期でもあるのです。

今回は、愛犬の春の散歩で注意したい花や植物を紹介します。人間にとっては美しい花々でも、愛犬が誤って口にした場合は重大な事故につながる可能性があります。身近な花たちの危険性を学び、愛犬の健康を守っていきましょう。

◆この記事の監修者

ttm 獣医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。

意外にたくさんある毒のある花・植物

ここでは、愛犬の体に健康被害を与える可能性がある花・植物10種類を紹介します。どの植物も決して珍しいものではなく、お散歩ルートや公園で一般的に目にすることが多い種類です。

危険度を3段階で表記しています。

  • 【危険度★★★】誤食の可能性があり、食べると死亡する可能性が高いもの
  • 【危険度★★】誤食の可能性があり、食べても死亡する可能性は低いもの
  • 【危険度★】食べると死亡する可能性はあるものの、誤食の可能性が低いもの

今一度お散歩ルートを思い出しながら、ここに紹介する植物が生えていないか確認してみましょう。一部の花や植物は、春や夏など短期間にのみ生えている場合もあるため注意してください。

毒のある春の花 その1・スズラン【危険度★★★】

「毒を持つ花」と聞いて、まずスズランを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。スズランは5月を中心に咲く花で、花びらの部分が小さいため飼主が誤食に気づきにくいのも特徴です。スズランは切り花を挿しておいた水にも毒性があり、スズランそのものを誤食しなくても中毒をひきおこす可能性があります。

症状は頭痛や嘔吐・下痢・腹痛・運動失調・徐脈・不整脈・心不全血圧低下・めまい・心臓麻痺などがあげられます。犬の体重1kgあたり0,3mgが致死量といわれており、その毒性はなんと青酸カリの約15倍なのだとか。一口で致死量を超えてしまう場合もあるため、絶対に接触を避けたい植物です。

毒のある春の花 その2・チューリップ 【危険度★★★】

春の花といえば、桜と同様に人気なのがチューリップですよね。チューリップは3~5月をピークに咲き、品種や気候によって開花時期が前後します。

愛らしい見た目とは裏腹に、犬にとっては花びらから球根まで全体に毒性があります。誤食時は下痢や嘔吐、大量のよだれ・腎不全・呼吸困難などを引き起こす可能性があり、注意が必要です。腎不全が発生した場合、死亡率が高くなります。

チューリップだけでなく、ユリ科の植物はすべて犬に中毒をひきおこす可能性があるため、注意が必要です。

毒のある春の花 その3・ スイセン【危険度★★★】

スイセンは11月頃から4月にかけて咲き、桜が散り切る頃と同時期に枯れる花です。甘く優しい香りが人気ですが、犬が誤食した際は下痢や嘔吐、腹痛などの症状が現れます。

よだれが大量に出ることもあり、場合によっては血圧低下や心不全・昏睡・麻痺などの重篤な症状が現れることも。球根は特に毒性が強く、少量食べただけでも死に至ることがあります。

群生に限らず単体で咲いていることも多いため、注意したい植物です。

毒のある春の花 その4・カラー【危険度★】

カラーはコップのような器状のシルエットが特徴的な、エレガントな春の花です。本格的な見ごろは6月とされていますが、4〜5月にかけても各地で見かけることがあります。

カラーはサトイモ科に属する植物です。サトイモ科の植物は、犬にとっては葉や茎や根茎に毒性があり、接触により汁液が皮膚に触れることで痒みやかぶれを引き起こします。体内に取り込むことで口や喉の炎症をひきおこし、下痢や嘔吐・腹痛・呼吸困難に見舞われ、重篤な場合は死に至ることもあるのです。ただし、刺激が強いため犬が多量に食べることはないでしょう。

毒のある春の花 その5・ヒヤシンス【危険度★★】

ヒヤシンスはチューリップと同様、ユリ科の植物です。3~4月にかけて咲き誇る花で、他の植物との寄せ植えでも親しまれます。公園はもちろん、家庭のベランダや軒先などで咲いていることも珍しくありません。

カラフルで可愛い見た目ですが、チューリップと同様、全体に毒性があり、特に球根が危険です。全体を通してリコリンという毒を持っています。犬の誤食では嘔吐や下痢・胃腸障害・腎障害などを引き起こす可能性があります。花粉を舐めただけでも症状が出る場合があるため、極力近づかないよう心がけましょう。

毒のある春の花 その6・アジサイ【危険度★★★】

梅雨の風物詩であるアジサイの見ごろは6~7月ですが、5月になると既に新芽が広がりグングン育っていきます。5月を開花時期としている種類もあるため注意が必要です。

誤食の際は、過呼吸やふらつき・痙攣・興奮・麻痺などの症状が現れます。症状の原因は、アジサイの蕾や葉っぱなどに含まれるアミグダリンという物質が中毒症状を引き起こすと言われていますが、毒性成分は明らかになっていません。ためです。

毒のある春の花 その7・アネモネ【危険度★★★】

小さく可憐な花が特徴的なアネモネは、4~5月が見ごろです。早いものだと2月から育っているものもあるため、寒い時期から注意を払いたい植物の一種といえます。

アネモネを含む、キンポウゲ科の植物は、全体的に毒性が非常に強いため注意が必要な植物です。アネモネの持つプロトアネモニンという有毒成分は、不整脈をおこすことがあります。心臓に障害をもたらす毒も含んでおり非常に危険です。また直接肌に触れただけでも水ぶくれや火傷を引き起こす場合もあるため、犬も人も接触を避けるべきでしょう。

毒のある春の花 その8・ハナミズキ【危険度★】

4~5月に見ごろを迎えるハナミズキは、赤い実の部分に毒性があるといわれています。具体的な有毒成分はまだ判明していませんが、犬が口に含むことで口内炎を引き起こす可能性があります。

また葉っぱに触れるだけで皮膚がかぶれてしまうという報告も。特にハナミズキが咲く公園や広場では、小さな葉っぱを完全に避けることは困難です。お散歩ルートにハナミズキが咲いている場合は、ルートを大きく変更することも視野にいれましょう。

毒のある春の花 その9・キョウチクトウ【危険度★★★】

キョウチクトウは、名前はあまり有名な花ではないかもしれません。しかし実際には公園や植木などでよく見られる、ピンクや白の花が美しい植物です。

花の見ごろは6月からですが、キョウチクトウには枝や葉っぱ、根っこの部分まで全体的に毒性があります。誤食の際は嘔吐・下痢・脱水状態・震えなどを引き起こし、最悪のケースでは死亡してしまうこともあるのです。牛やヤギなどではキョウチクトウによる中毒死の報告は比較的多いです。

毒のある春の花 その10・スイートピー【危険度★】

冬の花として有名なスイートピーですが、実は見ごろは4月上旬頃まで続きます。可憐な見た目とは違い非常に強い毒性を持っており、決して犬を近づけてはいけない植物です。

種子には、神経毒を引き起こすと言われているアミノ酸が含まれます。毒性のアミノ酸が含まれており、重篤な神経麻痺を引き起こす可能性があります。犬が摂取した量によっては神経麻痺による運動失調をおこしたり、死亡する可能性が指摘されています。脊髄神経が麻痺してしまい、歩行困難になってしまうこともあるのです。

春の散歩は危険がいっぱい!愛犬を守るためにするべきこと

ここでは、春の散歩において愛犬を守るために心がけたいポイントを紹介します。危険な植物の知識を身につけることはもちろん、日常的なしつけを徹底することでも愛犬の健康を守ることができます。

普段から拾い食いなどをしないしつけ

散歩中の愛犬の誤食を防ぐためには、普段から拾い食いをしないしつけを行う必要があります。例えば「待て」や「ストップ」などの命令をしたときに、すぐに動きが止まるよう教えましょう。

「待て」「来い」「ダメ」などの基本的なサインは、愛犬の命や健康を守る重要なコミュニケーションです。「お手」や「伏せ」などよりも先に重点的にしつけ、事故を防ぎましょう。

飼主も危険な花や植物を覚えておいて、近くに寄らせない

愛犬にもしもの事態が起こったとき「知らなかった」ではどれだけ後悔しても足りません。私たちが思っている以上に、人間の生活は動物にとって危険なモノやコトであふれています

道端に咲いている花はもちろん、室内で楽しむ植物についても危険性を学んでおきましょう。ガーデニングを楽しむ場合は、犬が立ち入らないエリアでのみ行うことを推奨します。

散歩の間は基本的に愛犬から目を離さない

思わぬ誤食を防ぐために、散歩の間は基本的に愛犬から目を離さないように心がけましょう。特に長いリードで散歩をさせる場合は、目が行き届きにくいので注意が必要です。

深い草むらに入ってしまうと、愛犬が何をしているのかを見失ってしまいます。特に顔周りは必ず飼主から見える位置をキープしましょう。

もしも間違って口にしてしまったら病院へ

どれだけ気を配っていても、突然の事故は誰にでもあり得ます。もしも愛犬が花や植物を食べてしまった場合は、すぐに動物病院で受診してもらいましょう。

有毒成分や食べた量によっては、数時間後に症状が現れることも珍しくありません。「食べても元気そうだから」と自己判断せず、迅速な対応を心がけてください。

毒性のある植物を学び、安心安全な散歩コースを探そう

今回は、犬にとって毒性のある花や植物について紹介しました。

愛犬の健康を守るために最も重要な考えは、楽観視しないことです。「多分大丈夫」「病院は明日でいいか」「元気そうだから気にしなくていいか」……。飼主の判断次第では、たった一口の誤飲・誤食が最悪のケースにつながります。

とはいえ、この世のすべての植物を覚えることは非常に困難です。身近な植物の毒性を学びつつ、まずは基本的なサインを徹底的にしつけることを心がけてください。

いけないことはサインで止める、もしものときはすぐに病院に行く。これらを徹底することが、愛犬の寿命や健康につながるでしょう。

以下の記事では、動物にとって危険な匂いをまとめています。動物への知識を深め、ペットが安心して暮らせる環境を作りましょう。

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