まとめ
  • 動物を拾ったら、迷子札をチェックして健康診断を受ける
  • 野良の犬や猫は、警察や保健所に連絡をしないまま飼うとトラブルに発展する場合も
  • 飼えない人にもできることはある!「何もしない」を選ばないように準備しよう


多頭飼育崩壊・遺棄・迷子・脱走。私たちは、さまざまな理由から「行き場を失った動物たち」に出会う可能性があります。もし道端で飼主不明の動物と出会ったときは、パニックにならずに適切に対処することが大切です。

今回は、動物を拾ったときにまずやるべきことや、里親を探す方法などを獣医師の監修のもと、紹介していきます。「何をすべきかわからないから」と目を背けずに、自分にできることを学んでおきましょう。家でペットを飼えない人でも、できることは必ずあるはずです。

犬や猫以外の動物の保護についても解説していますので、“もしも”のためにも参考にしてください。

◆この記事を監修してくださった獣医師プロフィール

ttm 医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。

犬や猫を拾ったときにやることリスト

以下に、犬や猫を拾ったときにやることをリストで記載しています。

  • 迷子札を確認する
  • 動物病院で健康チェックをする
  • 保健所・自治体・交番に問合せる
  • 保護される可能性がある地域の施設に連絡する
  • 飼育するか里親を探すかを判断する

動物の飼育に慣れている人でも、飼主がいない動物に突然出会うと、誰でも慌ててしまうものです。

正しい知識を学ぶことは、動物の命を守るための適切な対処につながります。もしもの場合にベストな選択をするために、あらかじめ保護の基本知識を覚えておきましょう。

迷子札を確認する

犬や猫を拾ったら、最初に迷子札を確認します。迷子札とは、飼主の連絡先や住所が記載された装飾品です。多くの場合は首輪に装着されていますが、稀に胴輪に装着している子もいます。

迷子札には飼主の個人情報が記載されており、確認することでペットの連絡先がわかります。迷子札が装着されていない場合は、犬の場合は鑑札が付いているかを確認しましょう。鑑札とは、ペットを市区町村に登録した際に配布される札です。鑑札に記載された番号を行政に報告すれば、飼主に連絡が入ります

動物病院で健康チェックをする

動物を保護したら、動物病院で健康チェックを受けさせましょう。ケガをしている場合はもちろん、一見すると健康そうに見えても重大な病気が隠されている場合があります。とくに犬や猫の場合は、ノミやダニが存在していると人間にも被害が及ぶ可能性があります。

動物病院の健康チェックは、基本的に自己負担です。移動の際は爪や牙で傷つけられないようにキャリーに入れ、体温が低い場合は温めてあげてください。手元に保温グッズがない場合は、自動販売機のホットドリンクのペットボトルでも構いません。

 

ただし拾った動物が鳥の場合は、遠目から見守るのが正解の可能性もあります。詳しくは下記の記事を参考にしてください。

【あわせて読む】

野鳥のヒナは見守って!「愛鳥週間」に学ぶ野鳥とのつきあい方

保健所・自治体・交番に問合せる

健康チェックを終えたら、保健所・自治体・交番に問合せを行います。飼主がペットを探している場合、すでに保健所や交番に連絡が入っている(遺失届が提出されている)可能性があります。

保健所・自治体・交番のどの場合でも、最終的に保護されるのは動物愛護センターです。動物愛護センターでは、保護期間が過ぎれば殺処分になってしまいます。しかし迷子の動物をそのままにした場合でも、命の危険があることには変わりません。

保護される可能性がある地域の施設に連絡する

上記の施設以外でも、保護される可能性がある施設があれば連絡を行いましょう。とくに発見者自身がすぐに保護できない場合は、動物が脱走する可能性を加味します。

周辺地域の動物愛護センター・動物保護センター・警察・保健所にくまなく連絡を入れておけば、飼主が情報を取得しやすくなります。可能であれば、地域の動物病院やペットショップなどにも連絡を入れておきましょう。

飼育するか里親を探すかを判断する

動物を保護した場合、自身で飼育するか里親を探すかを判断する必要があります。もしもすぐに飼育できない場合でも、病院の診察後に野に放すことは絶対に避けてください。

 

飼えない人は警察や保健所に連絡のうえで、動物を持ち込みます。下記の記事では、子犬や子猫を家に迎える際のポイントを紹介しています。今回の記事とあわせて参考にしてください。

【あわせて読む】

【獣医師監修】子犬・子猫の迎え方|お迎えするときに気をつけること【準備編】

動物の保護で注意したい3つのポイント

ここでは、動物の保護で注意したいポイント3つを紹介します。動物の飼育では愛情が何より大切ですが、愛情だけでは健全な環境で育てられません。必要な知識を正しく学んだうえで、動物にとって居心地のよい環境をつくっていきましょう。

食事や寝床など、飼育環境の整備

動物を拾ったら、動物の種類や成長過程に合った食事・寝床を用意します。たとえば子犬に最適な室温は23~27℃前後ですが、体温調節機能が整う生後2週間頃までは、28~32℃が適しています。月齢によって与えるフードの種類や形状も異なるため、健康チェック時に獣医師に相談しましょう。

人間や先住ペットへの健康面の影響

動物を自宅で保護・飼育する際は、人間や先住ペットへの健康面の影響を考えます。獣医師から許可が出るまでは、病気やノミ・ダニの感染を防ぐために、先住ペットとの接触は避けましょう

皮膚糸状菌症をはじめとする「人間にも感染する疾患」の可能性も考慮して、ふれる際も使い捨て手袋を用意すると安心です。明らかに体調が悪い動物を保護した際は、マスクやゴーグルもしておくと安心でしょう。

動物の種類にかかわらず、警察・動物愛護センターに連絡を

動物は野良に見えても飼主がいる場合があるため、警察・動物愛護センターに連絡する必要があります。とくに「犬と猫以外の動物」を拾った場合は、警察への届け出が優先的に求められます

犬や猫の場合は警察への届け出の義務はないため、動物愛護センターに優先的に連絡しましょう。ただし探している飼主が入れ違いで警察に連絡している可能性もあるため、最終的には警察・動物愛護センターともに連絡を行うことが大切です。

飼えない人でもできる!里親の探し方

ここでは、動物を拾ったときの里親の探し方を紹介します。動物を拾うハードルを上げている要素の一つが「里親探しは難しい」というイメージではないでしょうか。里親探しにはさまざまな方法があります。飼えない場合もぜひ勇気を出し、できることを一つひとつ試していきましょう。

まずは友人・知人・親戚・同僚に相談

里親探しの第一歩は、身近な友人・知人・親戚・同僚への相談です。顔や人となりがわかる相手であれば、比較的安心して任せられますよね。自分の人脈だけでは難しい場合、周りにも「思い当たる人がいたら連絡をください」と自身の連絡先を渡すのもよいでしょう。

SNSを使って探す

SNSは、現代における里親探しのメジャーな方法の一つです。複数の里親サイトに登録して情報を掲載するのもよいでしょう。ただしSNSでは、虐待やネグレクトを目的とした悪質なユーザーも存在しています。アカウント情報を確認したうえで、直接顔を合わせたり飼育環境を確認したりできる相手を選びましょう。

譲渡会に参加する

自治体や動物愛護団体によっては、里親を探すための譲渡会を開催しています。譲渡会によるお渡しでは厳しい審査が行われているため、安心して任せられる点が魅力です。譲渡会によって条件が異なるため、事前に参加概要をリサーチしておきましょう。

 

202年1月に開催予定の譲渡会は以下の記事にもまとめています。

【あわせて読む】

【2024年1月】保護猫・保護犬の譲渡会情報|都内・首都圏

ポスターを貼る

拾った地域を中心にポスターを貼ることでも、里親が見つかりやすくなります。私有地の場合は許可をいただいたうえで、商店街や動物病院などに貼らせてもらいましょう。スーパーや銀行、郵便局などの人通りが多い施設がおすすめです。

地元のフリーペーパーや新聞を利用する

地元のフリーペーパーや新聞も、里親探しの方法の一つです。迷子犬や捨て猫の情報を記載しているメディアを探し、情報の記載をリクエストしましょう。

 

下記の記事では、拾った動物の飼育が難しい場合の対応について、さらに詳しくまとめています。ぜひ参考にしてくださいね。

【あわせて読む】

猫を拾ったらどうする?やるべき4つのこと・飼えない場合の対応

「拾う=終生飼育」以外の道も。まずは自分にできる行動を

今回は、動物を拾ったときの対処法を紹介しました。

「動物を拾うためには大きな覚悟が必要」と思っている人も多いのではないでしょうか。もちろん命を保護する以上は、責任感が求められます。しかし最も危惧するべきは、責任感の大きさに臆するあまり、行動を起こせないという事態です。

動物を拾うと、終生飼育か里親探しかを迫られます。どちらを選んでもリスクが生じるのは事実であり、「リスクを背負うくらいであれば最初から関わらないようにしよう」と思う人もいるかもしれません。

しかしその場で動物を見過ごすと、命を失う危険性がさらに高まります。数時間後には事故で亡くなってしまうかもしれません。または飼主がすぐ近くで探しているのに、さらに遠くに逃げてしまうかもしれません。

職場・家族・友達が引き取れないか連絡したり、段ボールでも構わないのでひとまず保護をするなど「できる人が、できることを、できる範囲で行う」ことが大切です。

なかには、里親を探す過程の限定的な保護すら難しい人もいるでしょう。それでもなお、小さな命を守るためには「何もしない」だけは選ばないように心がけたいものです。

自治体に「迷い猫や犬がいる」と連絡するだけでも、立派な「あなたにだからできること」なのです。