まとめ
  • 「地域猫」とは、近隣住民が協力して管理している猫を指す
  • 耳がカットされている「さくら猫」は地域猫の可能性が高い!
  • 人と猫の共存が実現する「地域猫活動」


野外、あるいは保護猫カフェなどで、耳の先が欠けている猫を見たことはありませんか?

「ケガ?病気?」そんな不安を持った人もいるかもしれません。実は耳が“桜”のようにカットされている猫は「さくら猫」と呼ばれ、避妊・去勢手術がされている猫なんです。

そんなさくら猫の中には「地域猫」と呼ばれ、近隣の住民が世話をしながら暮らしている猫もいます。

「地域猫ってどんな猫?」「野良猫とは何が違うの?」などの疑問をお持ちの人もいるでしょう。この記事では、地域猫の特徴や地域猫にするメリットについて解説します。記事を読めば地域猫についてわかるので、ぜひチェックしてください!

「地域猫」とは|近隣住民が共同管理している猫のこと

近所に猫が歩いているのを見たことはありませんか?もしかしたら、その猫は「地域猫」かもしれません。地域猫とは、近隣住民が共同で管理している猫のことです。

飼猫とは違い、特定の飼主はいません。また、外で暮らしている点は一般的な野良猫と同じですが、近隣住民でごはん場所やトイレスペースが管理されており、猫による人々の暮らしへの影響が起きにくいとされています。

参考:日本動物医療センターJAMC「どう違う?野良猫vs地域猫」

参考:ネコノート 保護猫支援のneco-note「お耳が欠けている「さくら猫」とTNRの話」

桜の花びらのような耳のカットが特徴の「さくら猫」

地域猫の多くは、耳が桜の花びらのようにカットされています。耳をカットされている猫は「さくら猫」と呼ばれることも

猫の耳をカットする理由は、避妊・去勢手術が終わっていることを、見ただけでわかるようにするためです。オスの猫は右耳、メスの猫は左耳の先っぽがV字にカットされます。

猫は繁殖力が高いため、避妊・去勢手術をしないとどんどん頭数が増えてしまい、病気・事故・人による虐待など不幸を被る猫も増えてしまいます。

また、野良猫と間違えられて捕獲されるケースもあるようです。人に捕獲されるのは猫にとって大きなストレスにもなるため、何度も捕まえられないように「この猫は手術済みで、お世話をする人もいる」という証として、耳をカットしているのです。

参考:公共財団法人 どうぶつ基金「さくらねこ♥TNRとは (TNR先行型地域猫)」

TNRについて

地域猫になるまでの過程で行われることが多いのが、TNR活動です。意味は、Trap(捕まえて)Neuter(避妊・去勢手術を行い)Return(元いた場所へ返す)というもの。

TNRを実施するときは、目的や連絡先を書いた紙を実施場所の近くに貼り、地域住民に知らせることが大切です。

手順は、まず餌やりなどである程度猫を人に慣らして捕獲機を設置し猫を捕まえます。そして、猫が落ち着いたら動物病院で全身麻酔をかけ、避妊・去勢手術を行います。手術が終わると猫を元いた場所に戻し、術後の経過観察やごはん、トイレのお世話を行う流れです。

TNRを行えば、その地域で猫が増えることがなくなり、人も猫も穏やかに生活できるようになります。都道府県や自治体によっては、猫の避妊・去勢手術費用を一部負担してくれるところもあるようです。

TNR活動に興味がある人は、助成金が出るかどうかを住んでいる地域の市役所に問合せてみてください。

参考:公共財団法人 どうぶつ基金「さくらねこ♥TNRとは (TNR先行型地域猫)」

野良猫を助けたいと思ったら?

「近所に野良猫が居て、かわいそうだから何かしてあげたい」と考えている人もいるでしょう。しかし、避妊・去勢手術をしないまま無責任にえさだけ与え続けると、猫の数が増え住民の迷惑になったり、不幸な猫を増やしかねません。

野良猫を助けたいと思ったら、まずはご自身でTNRの実施を検討してみてください。

TNRの方法

まず、猫を捕獲できるように猫と仲良くなりましょう。

捕獲できそうな段階になったら避妊・去勢手術のための病院を探します。一般の動物病院でも可能な場合もありますが、できれば避妊・去勢手術専門の病院や、TNR活動に協力的な動物病院を探すことをおすすめします。

自治体によっては飼主のいない猫の避妊・去勢手術の費用負担をしてくれるところもありますので調べてみましょう。

ひとりだと不安という人は、地域の動物愛護団体に相談したり、以下で紹介する地域猫活動に参加したりしてみてもよいでしょう。

参考:公共財団法人 どうぶつ基金「【自分で飼育できない方向け】野良猫と出会った時にできる対策法とは?」

飼主のいない猫と共存する「地域猫活動」

飼主のいない野良猫が、地域で生きやすくなるように「地域猫活動」が行われています。地域猫活動とは、猫を今以上に増やさずに「地域猫」として人と共生できるようにするための活動のことです。

野良猫はそのまま放置しておくと1年で10匹以上出産することもあり、さらなる糞尿被害や喧嘩などの騒音問題に発展することも。そうすると、近所では猫を嫌う人と猫のお世話をする人の間で、対立が起きる可能性もあります。

地域猫活動は、野良猫や地域の人間同士のトラブルの改善をはかり、平和な町をつくる一役を担っているのです。

地域猫活動の具体的な内容

地域猫活動における、具体的な活動内容は以下のとおりです。

  • 地域にいる野良猫の数や状態の確認・把握
  • 避妊・去勢手術の実施
  • 共同のごはん場所やトイレの設置・掃除
  • 寄生虫や感染症の発生源にならないよう、猫の健康を管理
  • 近隣住民への活動報告
  • 新しい飼主探し

地域住民の合意のもとで、主に地域猫活動のグループが避妊・去勢手術やルールに則ったえさやりや排泄物の管理などを行っています。

地域猫活動に興味がある人は、自治体や地域猫活動を行っているボランティア、動物愛護団体のホームページなどをチェックしてみてください。

参考:福岡県保健医療介護部生活衛生課「地域猫活動ガイドライン」

地域猫活動のメリット

地域猫活動は、地域で暮らす猫と人の双方にメリットがあります。

人のメリットは以下のとおりです。

  • 決まった場所で餌やりを行うことで、出したゴミ袋をあさられない
  • トイレを設置して管理することで、庭や駐車場の糞尿被害を抑えられる
  • 避妊・去勢手術によって、さかりや喧嘩などの鳴き声が少なくなる
  • 地域でのコミュニケーション活性化につながる

また、猫にとっては以下のようなメリットがあります。

  • 避妊・去勢手術によって、発情や喧嘩などによるストレス・怪我が減る
  • 感染症の予防につながる
  • 飢えから解放される
  • 数がだんだん少なくなるため、不幸な経験をする猫が減る

地域猫活動の注意点

メリットが多い地域猫活動ですが、トラブルを起こさないための注意点もあります。

  • ごはんやお皿を置きっぱなしにしない
  • トイレ掃除はこまめに行う

ごはんを置きっぱなしにしてしまうと、食べ残しにハエやカラスが集まったり、暑い季節では腐敗して悪臭につながったりします。また、トイレを設置しても掃除をせずに放置していると、悪臭によって近所の人から苦情がくるでしょう。

地域の全員が快適に過ごせるように、ごはんやトイレなどの管理は徹底して行う必要があります。

地域で協力して、できることからはじめよう!

この記事では、地域猫について解説しました。地域で暮らす人と猫が、うまく共存していく解決策として編み出されたのが「地域猫活動」です。

なかには、近所に野良猫がいて何かしてあげたいと考えている人もいるでしょう。また、猫による糞尿被害や騒音被害に悩んでいる人もいるかもしれません。

そんな人は、お住まいの場所で地域猫活動が行われていないか、チェックしてみるのがおすすめです。地域の人と協力した、人と猫に優しい町づくりにぜひ目を向けてみてください。

 

以下の記事では、ふるさと納税で地域ねこ活動を行う世田谷区の取り組みについて紹介しています。ぜひ参考にしてみてください!

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ふるさと納税で地域ねこ活動を行う世田谷区の取り組み