まとめ
  • 人間にとって身近な花の多くは、ペットにとって有害
  • 安全な花でも誤食・誤飲によるリスクがある
  • 個体によるアレルギー反応のリスクもある
  • 不安を感じたら自己判断せず、獣医師に相談しよう


ペットを飼育している人のなかには、インテリアとして花や観葉植物を活用している人も多いのではないでしょうか。しかし一般的に販売されている花のなかには、ペットにとって有毒な種類が数多く存在しています。

今回は、ペットにとって危険な花や、購入した花を飾る際の注意点などを紹介します。道端に咲いている花やギフトでもらいやすい花のなかにも、危険な種類は多いもの。ペットにとって有害な植物を覚えて、安心してインテリアを楽しみましょう。

ペットにとって危険な花・植物

ここでは、ペットにとって危険な花や植物のなかでも、とくに代表的な種類を紹介します。記載した種類以外にも危険な品種は多く存在しているため、購入の際は花・植物の固有名詞で検索したうえで判断しましょう。

チューリップ

春の花の代名詞であるチューリップには、ツリピンという有毒成分が含まれています。摂取すると下痢や嘔吐などの中毒症状が現れ、皮膚に付着するだけでも炎症を起こしてしまう可能性があります。

購入を控えるだけではなく、公園や花壇などの散歩でも気をつけてあげましょう。

ユリ

ユリは、犬や猫の中毒症状を引き起こす代表的な花です。摂取すると嘔吐・食欲不振・痙攣・腎不全などのリスクがあります。

とくに猫への被害は大きく、少量を口にしただけで重度の急性腎不全になってしまうことも。生けた水だけでも中毒が起こる可能性があるため、インテリアとしての購入は控えましょう。

シクラメン

シクラメンに含まれているシクラミンという成分は、ペットにとって有毒です。摂取すると嘔吐・下痢・胃腸炎などのリスクがあり、大量摂取すると命を落としてしまう場合もあります。とくに旬のクリスマスシーズンは花屋の店頭に多く並ぶため注意が必要です。

ヒヤシンス

ヒヤシンスには、リコリンとシュウ酸カルシウムという毒性が含まれています。摂取すると、下痢・嘔吐・発汗・呼吸困難などの症状が現れ、少量でも致死量になるリスクがあります。花粉にも毒性が含まれているため、ペットの飼育環境では購入を控えましょう。

アロエ

観葉植物に人気のアロエも、ペットにとって毒になります。アロエに含まれるサポニン・バルバロイン・アントラキノンなどの成分は、ペットの消化不良・下痢・嘔吐などを引き起こします。ヨーグルトやドリンクなどの加工食品の誤食・誤飲にも要注意です。

アサガオ

アサガオにはファルビチンやコンボルブリンなどの有毒成分が含まれており、摂取すると下痢・嘔吐・血圧低下・腹痛・幻覚などの症状が現れます。とくに種子の毒性が強く、夏場は庭先や花壇などで見かけやすいため注意しましょう。

スズラン

見た目は可愛らしいスズランにも、コンバラトキシンやコンバロシドなどの有毒成分が含まれています。摂取すると嘔吐・下痢・腹痛などの症状が現れ、心不全などの重篤なリスクもあります。生けた水を舐めるだけでも危険であるため、接触を避けましょう。

カーネーション

母の日でおなじみのカーネーションには、サポニンという成分が含まれています。誤食で胃腸障害、接触で皮膚炎のリスクがあるため、購入は控えましょう。カーネーションを含むナデシコ科のすべての植物には、同様の成分が含まれています。

比較的ペットに安全な花

ここでは、ペットにとって比較的安全な花を紹介します。ただし毒性が低いというだけで、すべての花が100%安全というわけではありません。花自体を食べたり体調に違和感があったりする際は、自己判断せずにすぐに動物病院で診察を受けましょう。

バラ

バラは、ペットにとって比較的安全な花の一つです。ただし安全な部位は花・茎・葉であるため、実や種子を取り扱う際は注意してください。また人間同様に棘によるケガのリスクがあるため、生ける際は取り除いてあげると安心です。

ガーベラ

ガーベラは、動物にとっての毒性が含まれていない貴重な花です。誤食をしても成分自体にリスクはないため(消化不良や腸閉塞などには注意)、安心して飾れます。香り自体も控えめなため、繊細な猫でも受け入れやすい花といえるでしょう。

胡蝶蘭

お祝い事に用いられやすい胡蝶蘭も、ペットにとって安全な花です。毒性はほぼゼロといわれており、安心して飾れます。他の花と合わせる際は注意が必要ですが、胡蝶蘭自体はペットを飼育している人へのギフトとして贈っても問題ありません。

花を飾るとき・購入するときの注意点

ここでは、花を飾ったり購入したりする際の注意点を紹介します。もちろん、ペットにとって安全な花を購入することが前提です。不安を感じる際は一旦購入を控え、安全性が担保されたうえで判断しましょう。

店員にペットを飼育していることを伝える

花屋で商品を購入する際は、ペットを飼育していることを店員さんに伝えると安心です。なぜなら店頭に並んでいる花のなかには、特殊な薬品や塗料を使っているものもあるからです。

たとえば本来の色以外に染色された花や、ブリザードフラワー・ギフト用のラメ装飾・香料の追加などがあげられます。とくにパッケージングされていない花の場合は、安全かどうかを必ず確認しましょう。オーガニック製法の商品であっても同様です。

ペットがさわりにくい場所に飾る

購入した花は、ペットがさわりにくい場所に飾りましょう。とくに好奇心が旺盛なペットや食いしん坊のペットの場合は、思わぬ誤食・誤飲につながる可能性があります。安全な花であっても、誤食の量によっては健康被害につながるリスクがあります。

ペットが上れない高さの場所や、地震が起こっても花瓶が倒れない場所、サークルの外側の場所など、接触しにくいエリアへの設置を心がけてください。

とくにガラス製の花瓶は思わぬ事故につながるため、万が一の事態に備えてセラミック製やプラスチック製を選ぶと安心です。

危険を予防するために飼主ができること

ここでは、危険を予防するために飼主ができることを紹介します。適切な配慮を行えば、ペットと花の共存は可能です。室内だけではなく室外における花との接し方にも注意し、安全なペットライフを過ごしましょう。

季節や環境ごとにお散歩のルートを変更する

ペット(とくに犬)を飼育する際は、季節や環境ごとにお散歩のルート変更を検討してください。なぜなら同じ散歩ルートでも、季節によっては危険な植物が生えている可能性があるからです。

たとえば夏場のアサガオ、母の日付近のカーネーション、クリスマスのポインセチアやシクラメンなどは、ペットにとって毒になります。

また新しく引越しをした人が、玄関先や庭で危険な花を育て始めるかもしれません。安全に散歩を楽しむためにも、1年を通して環境の変化には注意を払いましょう。

猫は室内飼育を徹底する

他の動物でも同様ですが、とくに猫を飼育している人は室内飼育を徹底してください。なぜなら猫には自分の体を舐めるグルーミングの習慣があり、室外飼育では体に付着した有毒成分を舐めてしまうからです。

もちろん室内飼育でも有毒成分を舐める可能性はゼロではありませんが、室外飼育と比べたときのリスクは激減します。

また室外飼育の猫は身体能力の高さから、他所のお庭に侵入してしまう可能性もあります。猫は室内飼育を徹底し、事前に危険やトラブルを防止しましょう。

ペットに危険な花を知り、安全にインテリアを楽しもう

今回は、ペットにとって危険な花の代表例や、花のインテリアを楽しむ際のポイントを紹介しました。

花屋の店員さんによっては、ペットの安全性における知識が曖昧な場合も珍しくありません。不安を感じる際は、かかりつけの獣医師に相談しましょう。またペットの個体によってはアレルギーが発生する可能性もあるため、小さな違和感を見逃さずに早めに対処できるように心がけてください。

 

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