日本でもダイビングツアーなどで人気のウミガメの記念日を知っていますか?6月16日は、「世界ウミガメの日」です。英語では、「World Sea Turtle Day」といいます。

ウミガメは、幸運を運ぶ「海の守り神」として親しまれ、世界中で愛されています。ウミガメのなかでも、オサガメは1億年以上も前から地球上に息づく生き物です。古来から生息しているウミガメですが、現在は絶滅の危機に瀕しています。

今回は、世界ウミガメの日が制定された理由や、ウミガメが絶滅危惧種になってしまった経緯を、ウミガメに会えるおすすめの水族館とともに紹介します。

6月16日は、ウミガメ生物学の父、Archie Carさんの誕生日

ここでは、世界ウミガメの日が作られた意味や由来を、ウミガメの生態と合わせて紹介します。

世界ウミガメの日をきっかけに、ウミガメのことをもっと知ってみましょう。

2000年に世界ウミガメの日を制定

世界ウミガメの日は、2000年にアメリカの保護団体が団結して制定しました。ウミガメを大切にする気持ちを育み、その保護を呼びかけることが目的です。

記念日の6月16日は、アメリカの爬虫類学・生態学者であり、ウミガメ研究の世界的権威、Archie Car(アーチー・カー)博士の誕生日に由来しています。

Car博士は、1959年に世界で初めてのウミガメ保護団体「Sea Turtle Conservancy(STC)」を設立し、生涯にわたって世界のウミガメの生態研究や保護活動をしてきた人物です。

世界に生息するウミガメは7種類。クロウミガメも入れて8種とする場合もありますが、現在その多くが絶滅の危機にさらされています。

ウミガメはなぜ絶滅危惧種になってしまったの?

IUCNレッドリストでは、7種のうち6種類のウミガメが、「絶滅の危険性が増大している」以上の絶滅危惧種カテゴリーに分類されています。

  • ケンプヒメウミガメ・タイマイ:(CR)絶滅の危機に瀕している、もしくはごく近い将来に野生で絶滅する危険性が極めて高い
  • アオウミガメ:(EN)近い将来に野生で絶滅する危険性が高い
  • アカウミガメ・オリーブヒメウミガメ・オサガメ:(VU)絶滅の危険性が増大している
  • ヒラタウミガメ:(DD)データ不足

ウミガメは、なぜ絶滅危惧種になってしまったのでしょうか?その理由は、ウミガメを取りまく環境にあります。

主な原因は、生息地や産卵地の減少・海洋汚染・乱獲などがあげられます。

そのなかでもタイマイは、まだら模様の美しさから、鼈甲(ベッコウ)の材料として昔から乱獲されてきました。装飾品や民芸品の材料として乱獲され続けてきた結果、絶滅の危機にさらされてしまったのです。

 

以下の記事では日本の絶滅危惧種一覧を解説しています。【あわせて読む】

【2024年最新】日本の絶滅危惧種(レッドリスト)一覧|絶滅種と絶滅危惧種を解説

ウミガメの不思議な生態

ウミガメは、世界中の熱帯から温帯の海に生息しています。日本の海で暮らしているのは、アオウミガメ・アカウミガメ・ケンプヒメウミガメ・タイマイ・オサガメです。

推定寿命は、アオウミガメ・アカウミガメが70〜80年ほど、タイマイは30〜50年ほどだと考えられています。

ウミガメが産卵するときに、涙を流すイメージがある人もいるのではないでしょうか?実は涙を流しているように見えるのは、過剰に取った塩分を塩類腺から排出しているためです。

そしてウミガメの性別は、卵でいる間の気温や砂の温度で決まるのです。29度より高い環境ではメス、それよりも低い環境ではオスが生まれやすい傾向にあります。詳しい生態がまだ解明されていないウミガメですが、命がけで海を目指す赤ちゃんウミガメを応援せずにはいられませんよね。

ウミガメに会えるおすすめ水族館6選

ここからは、ウミガメに会えるおすすめの水族館を紹介します。

ウミガメに餌をあげたり、さわったり、ウミガメを近くでゆっくり観察できる水族館を集めました。ウミガメのことをもっと知るために、実際に会いに行ってみましょう。

越前松島水族館【福井県】

越前松島水族館では、アオウミガメとクロウミガメが暮らしています。ウミガメ専用の屋内施設は、国内2番目の規模をほこります。ウミガメたちが泳ぐ姿を上からも横からも観察できる大きな施設です。

アオウミガメやクロウミガメが好きな海藻類のかわりに、小松菜をあげる餌やり体験が大人気。ウミガメたちに手が届くくらいの距離で、ゆっくり観察してみましょう。

住所 福井県坂井市三国町崎74−2−3
アクセス ・北陸自動車道「金津IC」より東尋坊方面に車で約20分

・北陸新幹線「芦原温泉駅」より、京福バス東尋坊行きに乗り、「越前松島水族館前」で下車

営業時間 通常時:9:00〜17:30

夏季:9:00〜18:00

GWなどの特定日:9:00〜20:00

冬季:9:00〜16:30

休館日 年中無休
入場料金 大人:2,200円

小中学生:1,200円

幼児(3歳以上):600円

幼児(3歳未満):無料

60歳以上:1,980円

※障がい者手帳・療育手帳をお持ちの方用の料金あり

駐車場台数 450台(無料)

新江ノ島水族館【神奈川県】

アカウミガメの産卵巣保全活動や、えのすいビーチクリーン・ビーチコーミングなどの環境を考える活動をしている新江ノ島水族館。ウミガメの浜辺で「ウミガメタッチ」や、ごはんを食べさせながらお話をする「たべタイム〜ウミガメ〜」などのふれあいプログラムが人気の水族館です。

ウミガメは雑食ですが、アカウミガメはエビやカニ類・アオウミガメは海藻類・タイマイは海綿類・オサガメはクラゲ類を食べるといわれています。ごはんを食べるところを見ながら、もっとウミガメに詳しくなってみましょう。

住所 神奈川県藤沢市片瀬海岸2−19−1
アクセス ・小田急江ノ島線「片瀬江ノ島駅」より徒歩約3分

・湘南モノレール「湘南江の島駅」より

徒歩約10分

営業時間 9:00〜17:00(時期により変動があるため、詳細は公式サイトを確認)
休館日 年中無休(施設点検時、臨時休館あり)
入場料金 大人:2,800円

高校生:1,800円

小中学生:1,300円

幼児(3歳以上):900円

駐車場台数 専用駐車場なし

鴨川シーワールド【千葉県】

鴨川シーワールドは、鴨川市周辺の海岸で保護されたウミガメが暮らす人工ビーチ「ウミガメの浜」がある水族館です。保護されたアカウミガメの卵は、ウミガメの浜でふ化し、海へと旅立っていきます。

おすすめのふれあい体験は、海の仲間たちともっと仲良くなれる「ディスカバリーガイダンス」。アシカと記念写真を撮ったり、ベルーガにタッチしたり、ウミガメの浜でウミガメとコミュニケーションがとれるプログラムです。動物たちとのふれあいをたっぷり楽しめます。

住所 千葉県鴨川市東町1464−18
アクセス ・東京湾アクアライン「海ほたるPA」より車で約1時間10分

・JR「東京駅」より、JR「安房鴨川駅」で下車。無料送迎バスに乗り換えて、約2時間で到着

営業時間 9:00〜(営業終了時間に変動があるため、詳細は公式サイトを確認)
休館日 不定休
入場料金 大人(高校生以上):3,300円

小人(小中学生):2,000円

幼児(4歳以上):1,300円

60歳以上:2,700円

※障がい者手帳をお持ちの方用の料金あり

駐車場台数 1200台(普通自動車1日:1,200円)

串本海中公園 水族館【和歌山県】

串本海中公園には、串本の海に住む生きものだけで構成された水族館があります。水族館で人気の体験プログラムは、大きなウミガメたちが暮らす屋外ウミガメプールで開催される「餌やり体験」です。

屋外ウミガメプールでは、毎年繁殖が行われ、2020年には人工繁殖のウミガメも誕生しています。水族館で生まれた1歳までの赤ちゃんガメとの「タッチング体験」も大人気です。赤ちゃんウミガメの甲羅やウロコをやさしくさわってみましょう。

抱っこ・キャリーカー・キャリーバックがある場合は、水族館エリアのペット同伴も可能です。

住所 和歌山県東牟婁郡串本町有田1157
アクセス ・紀勢自動車道「すさみ南IC」より車で約20分

・JR「串本駅」から定時運行のシャトルバスで約12分

営業時間 9:00〜16:30
休館日 年中無休
入場料金 水族館のみ利用

大人:1,600円

小中学生:800円

幼児(3歳以上):400円

・歳未満:無料

駐車場台数 200台(無料)

沖縄美ら海水族館【沖縄県】

沖縄美ら海水族館では、タイマイ・アカウミガメ・アオウミガメ、日本では珍しいヒメウミガメとクロウミガメも暮らしています。ウミガメの生態についての調査結果も、パネルで詳しく展示されています。

ウミガメ館の屋外メインプールでは、ウミガメの給餌体験ができるプログラムが大人気。さまざまな種類のウミガメが一度に見られる施設で、ウミガメたちの違いを探してみよう。

住所 沖縄県国頭郡本部町石川424
アクセス ・那覇空港から、やんばる空港バスまたは高速道路バス系統「117」で約2時間20分

・那覇空港より、沖縄バス高速リムジンバスで約2時間15分

営業時間 8:30〜18:30

(延長営業期間やナイト営業期間あり)

休館日 12月第1水曜日とその翌日
入場料金 大人:2,180円

中人(高校生):1,440円

小人(小中学生):710円

6歳未満:無料

障がい者手帳・療育手帳をお持ちの方:無料

駐車場台数 普通自動車1880台(無料)

 

沖縄美ら海水族館のマンタの飼育スタッフにお話を聞いています。【あわせて読む】

世界初づくし!沖縄美ら海水族館の飼育員がマンタを解説

美ら島自然学校【沖縄県】

美ら海自然学校は、小学校の跡地を使用した「海や山などの自然を題材にした学習」をする施設です。

ウミガメの産卵期間中に、ウミガメの産卵調査体験ができる「ウミガメ産卵しちょんどー!」に参加できます。2024年は、6/1の事前学習を含め、6/8・6/22に開催予定。参加したい人は、事前予約が必要です。親子で特別な体験をしてみませんか?

住所 沖縄県名護市嘉陽41
アクセス 那覇空港より、沖縄自動車道を車で約100分
営業時間 10:00〜17:30
休館日 毎週月曜日・年末年始
入場料金 原則無料
駐車場台数 駐車場あり(台数不明)

世界ウミガメの日をきっかけにして、海の環境を守ろう

今回は、世界ウミガメの日が制定された理由や、ウミガメが絶滅危惧種になってしまった経緯を、ウミガメに会えるおすすめの水族館とともに紹介しました。

ウミガメの住む海は、現在でもビニールやプラスチック、漁具などに汚染され続けています。海洋ごみによってウミガメが死んでしまうことも少なくありません。

海に遊びに行ったときはごみを持ち帰り、ごみを見つけたときは拾って正しい場所に捨てましょう。まずは海を汚さないことが大切です。ウミガメが暮らし続けられるように、身近なところから海の環境を守っていきましょう。