まとめ
  • 犬の保護には時間もお金も人手もかかる
  • 犬を飼うことはできなくても、できる支援はある
  • 支援は、今できることを無理せず少しずつでOK

動物保護には興味があるものの、何をしているのかよくわからない。何かしたいけれど、何をしたらいいのかわからないという人は多いのではないでしょうか。

 

ここでは犬の保護活動とはどんなことをしているのか、協力できることはあるのか、実際に犬の保護活動を行なっている、那須ハイランドパークと那須高原りんどう湖ファミリー牧場の保護犬活動SOS活動の担当者大島さんにお話を聞いて来ました。

保護犬活動の内容ってどんなことをしてるの?

近年認知度が上がってきた、保護犬という言葉。実際には犬を保護する活動とはどんなことをしているのでしょうか?

 

犬は猫とは違い、各自治体への登録義務があったり、散歩が必要であったり、予防接種の義務があったりと、手間も時間もお金もかかります。そんな犬の保護現場の生の声を聞いてみました。

犬の保護活動とは?

保護団体によっては直接犬の捕獲作業を行う団体もありますが、那須ハイランドパークのSOS活動では、直接の捕獲をすることはないそうです。

 

他の保護団体が保護して、収容しきれなくなった犬や、自治体の愛護センターに捕獲された犬を引き取って里親を探すというのがメインの活動になっています。そのため、大島さんは日々行政の愛護センターの運営する公式HPの閲覧は欠かさないそうです。

 

現在那須ハイランドパークにはおよそ30頭、りんどう湖ファミリー牧場にはおよそ10頭の保護犬がいて、それぞれ里親を待っています。里親と出会えて卒業していく子が出ると、また新しく犬を迎えるというように、活動は続いていきます。

実際に保護犬に行うお世話・必要な医療行為とは?

2023年1月現在、那須ハイランドパークのシェルター(犬の保護施設)には6名のスタッフがいて、およそ30頭の犬の世話をしています。りんどう湖ファミリー牧場のシェルターでは3名のスタッフがおよそ10頭の犬の世話をしています。

 

シェルタースタッフの仕事内容は多岐にわたります。まず引き取る子のフィラリア検査や血液検査を行ない、病気などがないか、先天性の異常がないかを調べます。異常や病気のない犬はメインの犬舎に移動し、病気の見つかった犬は隔離用の犬舎で2週間治療を行います。それぞれの犬舎の犬に毎日エサや水をコンスタントに与えることはもちろん、散歩も重要な仕事です。

 

散歩はSOS活動の担当スタッフ以外にも、那須ハイランドパーク・りんどう湖ファミリー牧場に在籍している一般社員から役員まで、みんなで担当するそうです。決まった人以外の人とふれあう、人慣れのチャンスなんだと大島さんは話してくれました。

 

病気を持った犬には毎日必要な投薬があったり、病院の受診や手術に予防接種、お見合い希望の対応と、スタッフの仕事は尽きることがありません。

保護活動に参加資格はあるの?

保護活動に参加するための特別な資格はありません。しかし那須ハイランドパークの保護活動は基本的に企業が行なっているため、直接の保護活動に参加するためには、企業の従業員になることになります。ただし、保護活動に賛同してその活動を支援するなら、従業員にならなくても方法はあります。

今日からできる保護活動

那須ハイランドパークやりんどう湖ファミリー牧場の場合は、企業の行う保護犬活動なので、直接保護活動に参加するのは難しいですが、活動を支援する方法はいろいろあります。ここからは保護活動になんらかの形で役に立ちたいと考える人にも、参考にできるような方法を紹介します。

初めは小さなことから始めよう!

大島さんにどんなお手伝いができるか聞いたところ、SNSやブログの拡散をしてもらえるとありがたいと話してくれました。より多くの人が保護犬に興味を持ってくれたり、保護犬の存在を知ってくれるとうれしい、と大島さんは言います。保護犬を家族に迎えるという選択肢があるということを、より多くの人に知って欲しいのだそうです。

 

SOS活動の公式HPはとても丁寧に更新されています。いつ新しい犬が保護されたのか、いつどの犬がお見合いをしたのか、いつどの犬がトライアルに出ていつ里親さんの元に巣立って行ったのか。その1つ1つの出来事が、愛情が滲み出る画像と文字で紹介されています。その記事に「いいね」をするだけでも、スタッフには励みになるのだと、大島さんは話してくれました。

たったこれだけの支援なら、誰でもすぐに始められると思いませんか?

 

また自分の家で使わなくなった毛布などを寄付してもらえると助かるそうです。フードやおやつなどの消耗品も常に使うためありがたいと、話してくれました。

そのほかにも、Amazonから支援物資を送ることができます。興味がわいたら、ちょっとのぞいてみてください。

犬が好きだからこそできること・できないこと

自分は犬が大好きでも、家族にはアレルギーがあったり、住んでいる環境が犬を迎えることに適していなかったりと、犬が好きというだけではどうしようもないこともあります。無理をして犬を家族に迎えても、やっぱり飼えなくなってしまった、では何もなりません。犬が好き。動物が好き。無理をせずにその気持ちを形にする方法はいくらでもあります。

 

まだ日本の国内には人間のエゴで殺されていく動物がいます。その命を少しでも救う手助けは、動物が好きだというほんの少しの動機があれば可能です。できることを、できる範囲で、できるときにやりましょう。

厳しい現実と向き合い、前に進むために

SOS活動は、殺処分ゼロを目標に掲げています。そのためにスタッフは日々努力し、2022年末までに130頭の犬を里親の元に送りました

 

以前に比べればこの2〜3年で殺処分になる動物の数は減ってきているといいます。それでもまだ、日本の国内では殺処分にされる動物は依然として存在します。これをどう減らしていくのか、それはどこの保護団体も知恵を絞り、今まさに立ち向かっている問題です。

 

現在那須ハイランドパークでは、月に5〜6頭の犬が新しい家族を見つけて巣立っていくそうです。この冬は特に問合せが多かったそうで、今は月に10頭の犬をコンスタントに里親の元に送ることを目標に、日々活動しているのだと大島さんは話してくれました。

無理をせず、今できることから少しずつ

必ずしも保護犬を家に迎えることだけではなく、保護犬活動を支援する方法はある、ということを紹介してきました。自分の家では犬は飼えないから……。

 

自分には犬を飼う金銭的・時間的な余裕がないから……。そんな理由で保護活動から目をそらしてしまうのではなく、今の自分にできることを少しずつ。一人ひとりがほんの少し何かをすることで、今の動物保護活動は変わってくるのかもしれません。

 

この記事を参考に、ほんの少し、SNSの拡散でも、いいねでもいいのです。ほんの少しの「何か」をしてみませんか?

 

◆今回インタビューに答えてくれたのは

那須ハイランドパークSOS担当 大島さん

当初はりんどう湖ファミリー牧場に勤務。2021年にりんどう湖ファミリー牧場でもSOS活動を開始するにあたりSOS担当に就任。日々都や県の動物愛護センターの情報を調べ、犬の保護活動に邁進している。

SOS公式HP

那須ハイランドパーク

所在地:栃木県那須郡那須町高久乙3375

 

以下の記事では、那須ハイランドパークで動物保護を始めた理由や活動内容についてまとめています。ぜひ参考にしてみてください。

【あわせて読む】

【動物保護の最前線】那須ハイランドパークで犬の保護活動を始めた理由と活動内容