まとめ
  • ほとんどのサメはダイバーやシュノーケラーに対して危険がない存在
  • サメを正しく理解することが、人間とサメとの共存の第一歩
  • ただの魚ではなく、個性豊かで不思議な力を持っているサメは魅力がいっぱい!

熱帯のサンゴ礁から冷たい深海まであらゆる海洋環境に存在するサメ。映画「ジョーズ」を代表するサメ映画の影響で「サメ=怖い」というイメージを持たれている人も多いのではないでしょうか。

しかし実際、サメによる海難事故の割合は落雷や花火の事故よりもはるかに死亡リスクは少なく、ほとんどのサメはダイバーやシュノーケラーに対して危険がない存在なのです。

本記事では、サメの誤解されがちな面にふれつつ、彼らの不思議な魅力に迫ります。

サメってホントに怖いの?もっとサメのことを知ってみよう!

人間だれでも、自分より体が大きな動物に対して「もしも、襲われたら…」「食べられてしまったら…」という恐怖を感じますよね。一方で「怖い」という感情の根底には「よく知らない」ことが要因の場合が多いのです。

この記事では、サメの生態を知りながら、怖くないサメもたくさんいることを紹介します。

サメは何を食べるの?ごはん事情をのぞいてみよう!

 自然界のサメは種類によって食べるものが異なります。例えば、ジンベイザメはプランクトンや小魚を主食としています。

また、メジロザメなどの肉食系のサメは魚やイカなどの軟らかい魚介類を食べていたり、ネコザメのようにサザエやウニなどの甲殻類を食べるサメなど、さまざまなごはん事情があります。

サメと人間が仲良く共存するためには?

サメは世界に500種類以上生息しています。しかし、世界の海に生息するサメの個体数は、人間による乱獲が原因でこの50年間で70%以上減少していると言われています。IUCN(国際自然保護連合)によると、世界の約37%のサメ類が絶滅危惧に指定されているのです。

映画「ジョーズ」のモデルになっている「ホホジロザメ」も、世界での目撃例は何千匹程度であり、一生に1度出会えたらラッキーと言われるくらい、会えないことのほうが多いのです。

サメを正しく理解することが、人間とサメとの共存の第一歩となります。

サメってみんな違うんだよ!かわいいサメ図鑑

一口にサメと言っても多種多様な生態系の生き物であることを知ってもらえたのではないでしょうか。

どんなサメも個性があり、海の中でそれぞれの役割を果たしています。ここからは、さまざまなサメの種類と不思議な特徴をのぞいてみましょう!

つぶらな瞳でキュートな顔…だけど、鋭利な歯を持つ危険なサメ

ホホジロザメ

ホホジロザメは頭の横、側頭部が白いことから日本独自の名前として呼ばれています(英名:Great White Shark)。

真っ黒なつぶらな瞳を持つ、キュートな顔に騙されてはいけません。彼らはノコギリのようにギザギザした鋭利な歯でアシカやオットセイ、アザラシなどの大型哺乳類を主食としています。また、欠けた歯は何回でも生え変わるのも特徴です。

ホホジロザメは泳ぎ続けなければ呼吸ができないため、飼育が難しいサメとして知られています。そのため、日本のみならず世界でもホホジロザメを飼育している水族館はありません。

イタチザメ

イタチザメはホホジロザメに次いで人を襲う例が多いサメと言われています。成長すると6mにもなる巨大なサメであり、背中の美しいまだら縞模が特徴です。日本ではイタチザメと呼ばれますが、背中の特徴から英名は「Tiger Shark」。イタチではなく虎と呼ばれています。

イタチザメの飼育も難しいとされていますが、沖縄美ら海水族館葛西臨海水族園で飼育されていたことも。常設展示はなく見られる機会はめったにありませんが、期間限定で展示を行う水族館もありますので、気になる人は最新情報をぜひチェックしてみてください!

人に危害を加えることはない極めておとなしいサメ

イヌザメ

幼魚は黒と白の縞模様ですが、成魚になるにつれ灰色へと色が変化します。イヌザメは水中を泳ぎまわるタイプではなく、岩陰でジッとしていることが多いです。おとなしいため自宅でも飼育可能なサメの一種です。

なぜ、サメなのにイヌと言われるのか…?それは、水底を這うように泳ぐ姿が地面を嗅ぐ犬に似ていることから、この名がつけられたと言われています。

自然界のイヌザメはサンゴ礁などで生活し、夜になると小魚などの獲物をさがして泳ぎ出します。

トラフザメ

国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されているトラフザメ。

幼魚は黒地に白色の縞模様をしており、そのシマウマのような見た目から英名ではZebra sharkと呼ばれています。成魚になると縞模様は薄れ、小さな斑点模様に変化するのも特徴です。

最大で3m以上に成長するトラフザメの丸い頭に小さな目をもつ姿は、サメに持たれている凶暴な印象とは程遠く、おとなしいサメだと言われています。

日本でも美ら海水族館、海遊館などの水族館で見ることができるので、愛らしい姿が気になる人はぜひ見に行ってみてください!

名前にサメはつかないけど、ちゃんとサメ!

ツマグロ

ツマグロは水深30m程度の非常に浅い海に主に生息しているサメで、体長は1.6mほど。サメの中では小型に分類されます。

性格は非常に臆病なので、基本的には人を襲うようなサメではありませんが、海水浴場で見かけても不必要に近づかないほうが良いでしょう。

背びれ、尾びれ、尻びれの先端が黒色になっているのが特徴です。

シロワニ

全長3m以上にもなる大柄な体格と、鋭利な歯が強面で一見怖そうに見えるシロワニ。しかし、性格は非常に温厚で、基本的には人を襲う可能性は限りなく低いサメです。

たくさんの細長い歯はどんどん新しい歯が生えてくるため、水族館で飼育されているシロワニの水槽の底には抜け落ちた古い歯が落ちていることが多いです。水族館に行った際はぜひ探してみてください。

サメなのにワニと呼ばれているのは、昔はサメの事をワニと呼んでいた名残とのこと。日本では小笠原諸島などに生息しています。

参考:シロワニと会える水族館

サメじゃないのに名前に「サメ」がつくサメ

ゾウギンザメ

引用:海遊館サイト

特徴的な口先がゾウの長い鼻のように見えることからゾウギンザメと呼ばれています。見た目もサメっぽくはないですが実は、サメではなくエイに近い「ギンザメ」の仲間なんです。

コバンザメ

小判が乗っているような頭が特徴的なコバンザメ。頭部の背中側の小判は吸盤になっており、これを使って大型のサメやウミガメ・カジキ・クジラなどに吸いつきます。

そんなコバンザメは実はスズキの仲間。サメのような形をしているからという理由でコバンザメと呼ばれているなんともひょうきんな魚です。

チョウザメ

世界三大珍味の1つとして有名な「キャビア」はチョウザメの卵の塩漬けです。

「サメ」と名前についていますが、軟骨魚類のサメ類ではなくイワシ・サケ・アナゴなどの硬骨魚類の仲間なのです。外見がサメに似ており、背中の鱗が蝶に似ていることから「蝶鮫」と呼ばれるようになりました。

「サメ=怖い生き物」ではない!魅力的なサメたちに会いに行こう

まだ知られていない生態も多く、謎に包まれているサメの世界。彼らはただの魚ではなく、個性豊かで不思議な力を持っているのです。

サメの新しい知識を得ることで、水族館で出会うサメの印象も変わるのではないでしょうか。彼らの魅力にふれることで、サメの世界への新たな理解が広げてください!

 

沖縄美ら海水族館のジンベエザメの飼育スタッフにお話を聞きました。ぜひ合わせてチェックしてみてください!

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