まとめ
  • ペット用の食品以外を与える際は必ず獣医師に相談する
  • ネギやチョコレート、ぶどうには要注意
  • 犬が誤食・誤飲しやすいおもちゃやネジなどにも注意

愛犬に可愛い顔でせがまれると、ついつい人間の食べ物をあげてしまいたくなりますよね。しかし私たちの食べ物の多くは、犬にとって危険な成分を含んでいることが多いものです。

今回は、犬が食べると危険な食べ物についてご紹介します。万が一食べてしまったときの対処法も記載していますので、犬の飼い主さんはぜひ参考にしてください。犬にとって危険な食べ物を学び、愛犬の健康を守りましょう。

◆監修:獣医師プロフィール

ttm 医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。

絶対にあげちゃダメ!犬に危険な食べ物

ここでは、愛犬に与えてはいけない食べ物をご紹介します。種類や量によっては命に関わる場合も多く、少量でも与えないように注意しましょう。記載した食べ物に当てはまらなくても、ペット用の食品以外を与える際は必ず獣医師に相談してください。

1.ネギ類(長ネギ、玉ねぎ等)

犬に与えてはいけない食べ物の代表格が、ネギ類の食品です。ネギ類を食べるとネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物の影響で赤血球が溶血します。その結果、貧血・赤い尿(ヘモグロビン尿)・下痢・嘔吐・腹痛・頻脈などの症状が現れ、最悪の場合は命を落としてしまいます。

特に気をつけたいのが、タマネギは料理の中によく使われる食材だということ。シチューや牛丼といった料理にはほぼ必ず使われており、煮込まれて形が認識できない状態でも成分は溶け込んでいるという場合があります。

一緒に調理されているお肉につられて犬が食べたがることはよくありますが、そういった場合でも絶対にあげてはいけない食材だということを覚えておいてください。ネギ類の場合、犬の体格にかかわらず、遺伝や体質で耐性が変わってくることがわかっています。体の大きい犬でも、少しの量で中毒を起こす可能性があることを認識しておきましょう。

また長ネギや玉ねぎだけではなく、ニラやにんにく食品も同様です。この毒性は加熱しても危険性は変わりません

2.チョコレート・カフェイン

チョコレートに含まれているテオブロミンという成分は、人間にはリラックス効果がありますが、犬は分解するのに人間の何倍もの時間がかかるため、体内に蓄積され中毒症状を起こします。

テオブロミン中毒の症状は、嘔吐、下痢、パンティング、尿量増加や排尿障害、筋肉の震えなどです。テオブロミンはカカオに含まれるため、カカオ濃度が高いチョコレートのほうがより中毒症状は重くなります。

また、カフェインも犬には有害です。カフェイン中毒になると、下痢や嘔吐をしたりなど、重篤な中毒症状が表れます。

3.香辛料(コショウ、わさび、唐辛子など)

コショウやわさび、唐辛子などの香辛料は、犬に与えてはいけません。腹痛を起こしたり胃腸炎になってしまったり、下痢や嘔吐の症状が表れます。基本的に人間用に加工された食品は、ほとんどが犬にとって悪影響だと覚えておきましょう。

4.ぶどう・レーズン

犬がぶどうを食べると、ぶどう中毒になってしまいます。嘔吐や食欲不振、重症時は意識低下や急性腎不全により尿が出なくなる場合も。ぶどうを乾燥させることによって成分を凝縮したレーズンにも、同様の毒性があります。

5.キシリトール

ガムや歯磨き粉などに含まれているキシリトールは、犬に急激な低血糖をひきおこします。その結果、嘔吐や無気力・脱力感などの症状が現れます。

摂取後、数時間から2日以内に急性肝不全を引き起こすことも。適切な処置を行わなければ命にかかわるケースもあります。

6.その他の危険な食材

他にも犬が食べると危険な食品は多く存在しています。例えばマカダミアナッツは後肢麻痺などの運動失調の症状が。アボカドは嘔吐・下痢・呼吸困難などの症状が表れることが。獣医師から許可をもらっていない限りは、決して人間の食べ物を与えてはいけません。

犬が食べるときに注意すべき食材

ここでは、犬が食べるときに注意すべき食材についてご紹介します。飼い主さんの中には、愛犬に手作りごはんを与えている人もいるでしょう。知らず知らずのうちに愛犬の健康を阻害してしまわぬよう、食材への見識を深めていくことが大切です。

1.レバー

鶏や豚などのレバーは犬も食べることができますが、大量に食べさせるとビタミンAの過剰摂取になってしまいます。また細菌や寄生虫がいる可能性もあるため、しっかり中まで火を通して与えましょう。

2.生卵

生卵の卵白を与えすぎると、ビタミンBの一種であるビオチンという栄養素が不足してしまいます。結果、皮膚炎や成長不良を引き起こす可能性が。卵白を与える際は加熱すれば大きな問題はありません。

3.ほうれん草

ほうれん草は少量であれば問題あれませんが、過剰な量を与えると尿結石の原因になる場合があります。ほうれん草に含まれるシュウ酸が、尿路疾患のひとつであるシュウ酸カルシウム結石を悪化させてしまうのです。

犬が誤食・誤飲しやすいものにも注意!

犬は遊んでいるうちに、誤っておもちゃや人間のものを飲み込んでしまうこともあります。ここでは犬がよく誤食しやすいものを紹介します。

誤食しやすいものは出かけるときに片付けたり、犬が勝手に遊べないようにしまっておいたりする習慣をつけましょう。

犬用おもちゃ・子どものおもちゃ

わんちゃんが大好きな小さなボールやスポンジなどは、噛んで飲み込んでしまうケースもあります。また、小さな子どもがいる場合は子どものおもちゃにも注意。

誤って飲み込んでしまった場合、喉につまっての窒息や腸閉塞で死亡する危険もあります。

特に大きさの違う犬を多頭飼いしている場合、小型犬には飲み込めないサイズでも、大型犬は楽々飲み込めてしまうなんてことも珍しくありません。それぞれのおもちゃを、いつでも自由に遊べるようにしているような場合は、特に注意が必要です。

ヘアゴムやボタンなどの小さなもの

ビニールやゴム、ペットボトルキャップなどのプラスチックは消化できないため、病院で処置してもらう必要があります。小さなものはとくに床に落としやすかったり、机に置きっぱなしにしたりして目を離した隙に誤食してしまう場合もあるので気をつけましょう。

骨や串、ネジなどの尖ったもの

尖っているものを飲み込んでしまうと、消化器や臓器を傷つけてしまう可能性があります。竹串や爪楊枝などの木製のもの、クギや画びょうなどの金属製のもの、動物の骨など日常で使うものも多いので、犬が触れない場所にしまっておきましょう。

食べてはいけないものを犬が食べてしまったら?誤食時の対応を解説

もしも愛犬が危険な食べ物を食べてしまったら、楽観視せずにすぐに動物病院に連絡します。誤飲や誤食の際に最もしてはいけないことは「自己判断」です。

「少しくらいなら大丈夫だろう」「しばらく様子を見ていたけれど、変化がないから大丈夫だろう」と思ってはいけません。犬にとって危険な食べ物の中には、少量でも危険なものや、数時間~数日後に症状が現れるものもあります。

 

動物病院を探している間や移動中の愛犬の様子をメモに取っておくと、診察がスムーズになります。誤食した食べ物の成分表やパッケージなどがあれば、受診時に持参しましょう。下記に、メモを取るべきリストを記載します。

  • 何をどのくらいの量食べたか
  • いつ食べたか
  • 食べてからどのくらい時間が経過したか
  • 食べた後に嘔吐や下痢をしたか
  • 食欲不振や震え・痙攣・痛がる様子など異常はあるか
  • 尿はしたか
  • 誤食後に水を飲んだか など

 

嘔吐物や排泄物の持参が難しければ、スマホで写真を撮影しておきましょう。万が一のときに慌てないように、家の中の目立つ場所に最寄りの動物病院や緊急時の連絡先などを控えておくと安心です。

基本は「与えない」が鉄則。獣医師に必ず相談しよう

今回は、犬に与えてはいけない人間の食べ物についてご紹介しました。人間の食べ物は、基本的には一切与えてはいけません。自然由来の食べ物にも犬にとっては毒になる可能性があり、知識がなければ愛犬の命を危険に晒す事態になってしまいます。

しかし、中には与え方を守れば問題ない食材もあります。決して自己判断はせず、獣医師に調理法や量を相談した上で食べさせるよう心がけましょう。特に果物や野菜など、人間にとって栄養価が高い食べ物は油断しやすいため要注意です。

 

以下の記事では、猫が食べると危険な食べ物をまとめています。合わせてチェックしてみてください。

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