まとめ
  • 猫のアゴにできる黒いブツブツの正体は痤瘡(ざそう)
  • アレルギーやストレスなどの原因が考えられる
  • 原因を調べたり、治療をするなら病院へ
  • 放置すると悪化して痛みや潰瘍の原因になる

猫を飼っていると、アゴの下に黒いブツブツができているのを見たことはありませんか?気になっている人も多いのではないでしょうか?

今回は猫にできる猫ニキビとも呼ばれる痤瘡(ざそう)について、獣医師の藤原先生に聞いてみました。

原因や対策についても教えてもらったので、猫を飼っている人はぜひ参考にしてください。

◆今回インタビューに答えてくれたのは

藤原 光宏 獣医師

藤原動物病院院長。西洋医学による治療はもちろん、動物の体にやさしい治療を目指したホモトキシコロジーや漢方などの東洋医学・オゾン療法などを取り入れた、いいとこどりの統合医療を軸にした診療に定評がある。

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あご下の黒いブツブツ…実は「猫ニキビ」!

猫びアゴの下に黒いブツブツが出来ているのを見て「なんだろう?」と思った人も多いのでは?

その正体は「猫ニキビ」です。猫ニキビは痤瘡(ざそう)・アクネなどとも呼ばれている、皮膚病の一種です。

それ自体はよくある症状ですが、二次感染を起こすと重症化してしまうこともある病気です。

猫ニキビの原因とは?

では、猫ニキビの原因にはどんなものがあるのでしょうか?藤原先生に聞きました。

藤原先生
藤原先生

原因はまだよくわかっていないのが現状です。
今、原因ではないかといわれているものについて下記にまとめました。

ニキビの理由 原因 対策
アレルギー反応 ・食器がアゴに接触することによってできる接触アレルギー

・食事が反応してできる食物アレルギー、アトピー性皮膚炎がアゴにできる

食器を変える

素材に問題がある場合が多く、プラスチックはアレルギーが出やすいため、陶器・ステンレスがおすすめ

・フードがアレルギーを引き起こすケースもあるため、フードを変えることも対策になる

ストレス ストレスにより免疫力が低下して、細菌やカビが感染する 引越しや新しい猫の参入などでストレスを抱えていないか、環境を見直す
毛づくろい不足 毛づくろいが不足することで、細菌やカビが繁殖する 飼主によるサポートが必要
皮脂の過剰分泌 アゴの皮脂腺から過剰に脂が分泌されることによって感染しやすくなる ・アゴを洗う

・赤ちゃん用のアルコールを含まないおしりふきなどでこまめに拭く

ホルモンバランスの乱れ 不妊手術やホルモン性の病気になることでホルモンのバランスが崩れて感染しやすくなる 病院に相談して対策を考える
不衛生な食器・水 食器が汚れていたり、水が交換されていないことによって感染が起こる 食器や水の器をこまめに洗う
ニキビダニ ニキビダニが感染することによってニキビができる ・上記を試して改善するか様子を見る

・改善が見られない場合は、病院で薬を処方してもらう

藤原先生
藤原先生

痤瘡は特に猫種によってできやすいとか、性別によってできやすいと言うのはありません。
またできやすい環境と言うのはないですが、不衛生だとできやすくなる可能性はあります。

黒い粒が気になって取ろうとする飼主もいるようですが、無理に取るのは止めてください。ゴシゴシこすることによって皮膚に負荷をかけるのもよくありません。皮膚を傷つける心配があり、皮膚炎の原因にもなってしまいます。

【治し方】猫ニキビの治療法とは?

実際に猫ニキビができてしまった場合、治療法や薬はあるのでしょうか?

対策についてはどうでしょう?

藤原先生
藤原先生

対策とかぶりますが、

  • 食器を変える
  • 食事を変える
  • ストレス対策する
  • 食器をこまめに洗う
  • 水を新鮮にする

これで様子を見て、それでも改善しない場合は病院で診断を受けることをおすすめします。検査を受けて、根本的な原因を特定することでより詳細な対応が可能になります。

どのような検査がありますか?

Tierコラム編集部
Tierコラム編集部
藤原先生
藤原先生

  • 感染症の検査
  • 皮膚の検査
  • アレルギーの検査
  • 細菌の検査

正しい原因を突き止めるためには何回か検査をする必要があるかもしれませんが、原因を知ることでできる治療は変わってくるため、治したい場合は検査は有効な方法です。

【治し方】猫ニキビに効く薬はある?

原因が特定できた場合、有効な薬などはあるのでしょうか?

藤原先生
藤原先生

外用薬や消毒薬を使うことがあります。

病院で診てもらって、検査を受けて原因を特定してから、対処してもらうのがいいと思います。

自宅のケアでよくならない時は、動物病院で診てもらいましょう。

猫ニキビ、放置するとどうなる…?

たかがニキビだからと、そのままにしている人もいると思いますが、猫ニキビを放置した場合、どうなってしまうのでしょうか。

藤原先生に解説してもらいました。

たかがニキビ、されど皮膚病

猫ニキビは皮膚病です。最初のうちはアゴに黒い粒がついている程度ですが、だんだん痒みを伴うようになり、猫自身が掻いてしまうようになるそうです。

家具などにアゴをこすりつけるような仕草が見られたら受診のサインと考えましょう。皮膚が赤みを増してきたり、毛が抜けてきたりという症状が見られるようになります。

重症化すると細菌感染を起こし、ただれたり出血をするようにもなると先生は話します。

藤原先生
藤原先生

放置していると重症化します。細菌感染を起こし、痒みや痛みが出たり潰瘍が出来たり、感染が広がったりしますのでできるだけ早めに治療しましょう。

猫ニキビができている場合、猫自身はどのように感じているのでしょうか?

Tierコラム編集部
Tierコラム編集部
藤原先生
藤原先生

痒みが出たり、痛みがあったりして、不快な思いをすることもあります。

猫につらい思いをさせない!繰り返す猫ニキビ対策

猫ニキビを家で対策することによって軽減させることは可能です。しかし一度軽減した症状がまたぶり返すという状態を何度も繰り返した経験のある人も多いのではないでしょうか。

そんな時はどうすればいいのか、藤原先生に聞きました。

藤原先生
藤原先生

繰り返すなら繰り返す原因があるので、食器を変更しているなら、食事を変えてみるとか、ストレスケアをしてみるとか、自宅で治らない場合は病院に相談することをおすすめします。

血液検査してホルモンの病気になっていないか確認する、感染症になっていないか検査するなどして、原因を確かめ治療しましょう。

アゴ以外にはニキビはできない?

アゴのニキビは見た目にも気づきやすいですが、他の場所に猫ニキビができることはないのでしょうか?

藤原先生
藤原先生

脂腺はアゴの他に尻尾の付け根にもあります。

男の子の場合、去勢すると分泌されなくなりますが、去勢していない場合は尻尾の付け根にも痤瘡ができることがあります。

去勢することで痤瘡ができなくなることが多いですが、まれに去勢しても治らないことも。

去勢した時期が遅い場合は、脂腺が発達してしまっているので、痤瘡が治るまでに時間がかかります。

たかがニキビとあなどらず、繰り返すなら病院に相談を

猫のアゴにできる黒いブツブツについて、藤原先生にいろいろ話してもらいました。

初期はただ黒いブツブツだけですが、だんだん症状が悪化すると痛みや痒みが伴い、細菌感染や出血・潰瘍などにもなる皮膚病であることがわかりました。

自分の家での対策も大切ですが、それでも治らなかったり、軽減した症状がぶり返したりした場合は病院に相談することが大切だということも藤原先生は教えてくれました。

愛猫の症状に合わせて受診を考慮に入れ、対策をするようにしましょう。

 

以下の記事では、藤原先生に猫の避妊去勢について伺いました。猫を飼育している人はぜひ参考にしてください。

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