この記事は2024年7月時点の内容です。
- 保護動物の譲渡には条件がある。団体に確認しよう
- つらい過去を持つ保護動物も多い。譲渡では覚悟を持ち、終生飼育の徹底を
- SNSや保護サイトでのやり取りでは、個人間トラブルに注意
ペットを飼育する方法はさまざまです。ペットショップで購入する人もいれば、ブリーダーさんから購入する人もいますよね。ペットの飼育を検討している人にぜひ選択肢に入れてほしい方法が「保護動物」です。
保護犬や保護猫は一般的になってきましたが、実はハムスターやモルモット、中には爬虫類など、保護動物として迎えられる動物は多くいます。
今回は、動物を保護したうえで飼育を行っている飼主のエピソードを紹介します。失われていたかもしれない命がつながることで、人と動物の共存の形はさらに確かなものに。
保護動物ならではのエピソードを通し、飼育の選択肢について考えてみましょう。
目次
エピソード1.雨の日に拾われたハムスター。ご友人の協力でつながった小さな命
ある9月の雨の日、@sola_and_sunさんは道端をてくてくと歩くキンクマハムスターと出会いました。同行していたご友人が「あれは確実に人に飼育されているハムスターだ!」と気づき保護。
ご友人はSNSで飼主を探しましたが、なかなか見つからずに時が過ぎていきました。
「これは飼育放棄の可能性もある」と判断した@sola_and_sunさんは、飼主が現れるまで代理保護を決断。
@sola_and_sunさんはすでにジャンガリアンハムスターを飼育しており、ハムスター飼育のノウハウを熟知していたことも、保護につながった要因といえるでしょう。
飼主様が現れればすぐにお返しするつもりで飼育していますが、現れなければ我が家で最後まで面倒を見たいと思っています。
保護したハムスターなので年齢がわからず、いつまで一緒にいられるかもわかりませんが、愛情をこめて長く一緒に過ごしていくつもりです。
▲実はグルメな大地くん。頬袋には大好物がギッシリ!
先住のジャンガリアンハムスターが「ソラ」と「太陽」という名前であることから、保護されたキンクマハムスターは「大地」くんと命名。初対面時に雨の大地をてくてくと歩いていた姿からも、ピッタリの名前ですよね!
エピソード2.多頭崩壊でレスキューされたモルモットが、今では写真集の主役に!
@saho_puiさんは、保護されたモルモットの「ぷいぷい」ちゃんと暮らしています。ぷいぷいちゃんとは保護活動家のSNSで偶然出会い、あまりの可愛さに譲渡を決断。現在は、@saho_puiさんが手作りした広いおうちで暮らしています。
ぷいぷいちゃんは、多頭崩壊した家からレスキューされたモルモットです。保護当時は、冬の寒いなか何十匹ものモルモットが外に出されて放置されていたとのことです。
そのときに受けた傷なのか、ぷいぷいちゃんは片足の骨が折れて麻痺しており、背中の骨も曲がっています。
譲渡時は、自分に何かあったときのために、事前に数家族の預け先を確保しました。ぷいぷいは保護モルモットのせいなのか、とても大人しく要求がわかりにくいこともあります。
そのため、常に注意して様子を見ながら愛情を注いでいます。
▲過酷な環境で過ごしたぷいぷいちゃん。今は幸せな人生を送っています。
そんなつらい過去を持つぷいぷいちゃんですが、なんと今では写真集の主役に!実は、@saho_puiさんの職業はカメラマン。ぷいぷいちゃんの写真をSNSにアップしていたところ、出版社から声がかかったのだとか。
失われていたかもしれない命がつながり、アイドルとして活躍するぷいぷいちゃん。まるでシンデレラストーリーのようなエピソードですよね。
エピソード3.飼育放棄・手術・強制給餌…苦労の果てに幸せをつかんだカメレオン
ある日、お知り合いから「飼育放棄されているカメレオンがいる」と聞いた@snake_chameleonさん。
いても経ってもいられず保護した2匹のカメレオンには、「ずっと長生きしてもらえるように」という願いを込め、「永遠子」「千代子」という名前をつけました。
永遠子ちゃんと千代子ちゃんは、保護当時しばらくごはんを食べておらず、健康状態が非常に悪かったとのこと。カメレオンを診てくれる病院がなかなか見つからず、やっと見つけた病院では永遠子ちゃんに大きな疾患が発覚しました。
永遠子には「卵胞閉塞」という病気が見つかり、千代子はまったくごはんを食べてくれず。不安が多い毎日でしたが、強制給餌を続けながら色々なごはんを試しました。
▲安心した表情で過ごす、永遠子ちゃんと千代子ちゃん。
丁寧なお世話の結果、今では2匹の手術や看病も終わり、モリモリとご飯を食べてくれるように!@snake_chameleonさんのお陰で命の危機を乗り越えた2匹は、穏やかで優しい表情をしていますね。
ハムスターやうさぎ・鳥…保護動物を家族に迎えるには?
保護動物を迎える方法は、おもに以下の4つに分けられます。
- 保健所
- 譲渡会
- 里親募集サイト
- SNS
昨今ではSNSの大衆化により、X(旧Twitter)やInstagramで保護情報を見つけることも可能です。保健所や譲渡会などは各市町村の自治体によって運営されていることが多く、厳しい条件をクリアした人だけが動物を譲渡してもらえます。
里親募集サイトは、NPO法人やボランティア団体などが運営しています。個人とのやり取りもあるため、保護動物の性格や注意点などを詳しく聞ける点がメリットですが、高額な費用を要求されるケースもあり、サイト・団体選びには注意が必要です。
犬猫以外の里親募集をしているサイトや自治体▼
SNSは、サイトよりもさらに個人との距離感が近い方法です。該当アカウントが信頼できるものであるかを確認のうえ、慎重なやり取りを心がけてください。
保護動物を飼うときに注意したい3つのこと
ここでは、保護動物の飼育で注意したいポイントを3つ紹介します。保護動物は、生まれたときから愛情を注がれてきた動物とは限りません。譲渡の際は、動物の体や心に寄り添い覚悟を持って飼育できるよう、環境を整えていきましょう。
1.人間に不信感を抱いている可能性がある
保護動物は、人間に不信感を抱いている可能性があります。保護動物のなかには、人間から虐待されていたり、ケージに閉じ込められたまま生活していたりなどの過去を持つ子もいます。
そのため、生涯を通して飼主に心を開かない場合があることを覚えておきましょう。
保護動物の飼育は「動物とたくさんスキンシップをとりたい」「たくさん甘えてもらいたい」と思っている人にはあまり向いていません。結果的に懐いてくれる場合があっても、ショップやブリーダーから迎えたの子と比べると確率は下がります。
2.見えない病気・疾患の可能性がある
見えない病気や疾患の可能性があることも、保護動物の注意点です。ショップやブリーダー産の子は、幼い頃から健康診断やワクチンを受けているため、比較的安心度が高い状態で飼育を始められます。
しかし保護動物は、野生の環境で生きていたり、不衛生な環境で飼育されていたり、健康診断やワクチンを受けていなかったりします。
譲渡前からすでに健康状態が悪い可能性はもちろん、譲渡後に重い疾患が見つかるリスクが高いことも認識しておきましょう。
3.譲渡には一定の条件がある
各種保護団体では、譲渡に一定の条件を設けています。条件は団体によってさまざまですが、代表的なものが「一人暮らしや学生はNG」です。理由は、万が一の場合に面倒を見られなくなるリスクや、経済的な不安が考えられるからです。
また転勤や緊急時対応が多い職種、段差や階段が多い環境での飼育も、NG対象に入るケースがあります。
譲渡を検討しているペットがいる場合は、まず団体ごとに定められたレギュレーションを確認し、条件に当てはまっているかどうかを確認しましょう。
ショップ以外の選択も活用しながら、ペットの命をつないでいこう
今回は、ペット飼育における保護動物の選択肢について紹介しました。
保護動物は、虐待・行動制限・不適切な環境による飼育など、つらい過去を持っている子が多い傾向にあります。ショップやブリーダー産の子よりも飼育難易度は高く、健康上のリスクも存在しています。
だからこそ、心ある飼主の助けが必要なのです。保護動物の飼育は「動物を飼いたい」と思っているすべての人たちが実行できるわけではないからこそ、一人ひとりの勇気や実行力に大きな価値が生まれます。
今も多くの生き物たちが、新しい人生の始まりを待っています。ペットの飼育を考えている人は、ぜひこの機会に保護動物という選択肢を検討してみてください。
画像提供:@sola_and_sun、@saho_pui、@snake_chameleon
また下記の記事では、生き物のなかでも「野鳥」を保護した場合の行動フローを紹介しています。本記事と合わせて参考にしてください。