ペットはある日突然、前触れもなく迷子になってしまうときがあります。たとえば散歩中の首輪のすり抜けやドアからの脱走、地震によって開いた窓の隙間など、ペットの失踪トラブルは後を絶ちません。

今回は、ペットが迷子になってしまったときの対処法を紹介します。大切なペットがいなくなり、パニックになってしまいそうなときこそ、冷静さを取り戻し効率的な行動をとることが大切です。今自分がやるべきことを整理し、一つひとつ実行していきましょう。

◆この記事を監修してくださった獣医師プロフィール

ttm 医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。

ペットが迷子になった時の探し方

ここでは、ペットが迷子になってしまったときの探し方を紹介します。迷子のペットへの対処は初動が大切です。まだ近くにいる可能性が高いうちにできることを進めておきましょう。

ペットが迷子になったらまずこれをやっておこう

  • 各都道府県の保健所への連絡
  • 警察への連絡・届出
  • SNSを活用した情報の拡散
  • 都道府県の迷子掲示板の利用
  • マイクロチップの情報確認
  • 迷子ポスターの作成

ペットが迷子になってまずやるべきことは各都道府県の保健所と交番への連絡です。ペットを代わりに拾った人・見つけた人がいる場合、地域の自治体(動物愛護センター・動物保護センター)に情報が伝えられます。

保健所に連絡した後は警察に向かい、遺失物の届け出の手続きを行いましょう。万が一車に轢かれたり亡くなってしまったりした場合も、自治体に連絡が入ります。

迷子ペットの問合せ先はどこ?

迷子になったペットの問合せは、各都道府県の保健所もしくは交番です。保健所で保護されたペットは事故や事件に巻き込まれるリスクは減りますが、自治体によっては1週間以内に迎えに行かないと殺処分になってしまう可能性があります。

住んでいる場所の自治体だけではなく、ペットが行動できる範囲内の近隣自治体にも連絡しておきましょう。またネット上には、地域ごとの迷子掲示板も展開されています。各所への連絡を行いつつ、新しい情報が更新されていないかチェックしましょう。

ポスターを作るなら必ず書いておく必要のあること

迷子用のポスターを作成する際は、以下の情報を記載します。

  • ペットの写真(顔と体の特徴がわかるもの)
  • 名前・毛色・性別・年齢・体格
  • 首輪や洋服の有無や色
  • 迷子になった日・場所
  • 飼主の連絡先(電話番号・メール・SNSアカウントなど)

迷子になったペットは、家の近くで発見されやすい傾向があります。ペットの行動可能範囲を想定し、動物病院・町内の掲示板・コンビニなどを中心に貼らせてもらいましょう。

ポスターの掲示では、建物のオーナーや地主・権利者の許可が必要です。「見つかったら必ず剥がしに来る」と伝えながらお願いしましょう。ただし貼りすぎは嫌悪感を招く原因になるため、見える場所に2枚以上貼らないように心がけてください。

ちなみに、電柱に迷子ポスターが貼ってあるのを見かけた人も多いのでは?ですが実際には電柱に無断でポスターを貼るのは、違法になる可能性が高いといということを覚えておきましょう。

電柱にポスターを貼りたい地域の自治体または電力会社が権利を持っているケースもあるので、問合せてみるとOKが出る可能性もあるようです。

参考:大分市HP

マイクロチップの扱い方を確認しよう

ここでは、ペットの固有情報にかかわるマイクロチップについて紹介します。

動物愛護管理法では、令和4年6月1日以降ペットショップやブリーダーなどで販売される犬や猫へのマイクロチップの装着・登録が義務づけられています。マイクロチップの役割や情報の調べ方を学び、ペットの安全につなげていきましょう。

参考:

環境省「犬と猫のマイクロチップ情報登録」

環境省「マイクロチップとは」

公益社団法人日本獣医師会 マイクロチップデータ登録窓口

マイクロチップに入っている情報とは?

マイクロチップは直径2mm・長さ8~12mmの電子標識器具で、チップごとに15桁の固有の番号が登録されています。番号からは、飼主が「動物ID普及推進会議(AIPO)」のデータベースに事前に登録した個人情報が読み取れます。

個人情報とは、飼主の名前・住所・連絡先などです。このマイクロチップによって、迷子になったペットでも身元が判明できます。一度体内に埋め込めば、脱落したり消失したりすることはないため、確実な身元証明になります。

マイクロチップは動物の安全で確実な個体識別方法として、日本のみならず世界中で広く使用されている器具です。

マイクロチップの情報はどこに問合せる?

マイクロチップは外から番号がわからず、専用のリーダーによって読み取られる仕組みです。GPS機能はついていないため、マイクロチップを装着しているからといって、居場所がわかるというものではありません

マイクロチップを装着している愛犬・愛猫が迷子になった場合、その子を保護してくれた自治体や、動物病院で保護された場合は日本獣医師会からマイクロチップに登録された連絡先に連絡が入ります。

基本的には迷子になった子が見つかるのを待つスタンスになりますが、愛犬・愛猫の固有番号を知っている場合は、近隣の自治体や動物病院に連絡をしておくと、見つかった際のやりとりがスムーズに進むことがあります。

マイクロチップはどこで読み取ることができるの?

マイクロチップを読み取るリーダーが備えられているのは、全国の動物保護センター・保健所・動物病院などです。マイクロチップ装着済の個体を販売しているショップにも用意されています。

昨今では、個人向けのマイクロチップリーダーも販売中です。迷子を保護した場合にも、自治体・動物病院・警察に問合せた際に伝えることで、飼主への連絡がスムーズになる可能性があります。

▼おすすめのマイクロチップリーダー

Y miko充電式動物チップIDスキャナー|Amazon

ペットを迷子にしないために

ここでは、ペットを迷子にしないために飼主が心がけたいポインを紹介します。生き物である限り、脱走の可能性をゼロにはできません。

しかし生活に工夫を取り入れることで、リスクを最小限にすることは可能です。ペットの安全を守るために、今からできることを考えてみましょう。

散歩中の脱走をふせぐには

散歩中の脱走を防ぐために、必ずリードを装着しましょう。時折「うちの子は良い子だから」とノーリードで散歩させている飼主もいますが、脱走のリスクを下げるためにも、大切な家族を事故に遭わせないためにも厳禁です。

首輪よりも胴輪のほうが抜け出しにくくなるため、安全度を高めるには体全体を覆えるアイテムを装着しましょう。首輪と胴輪の両方を活用すれば、さらに安心です。

また購入時はジャストサイズなアイテムでも、成長や加齢とともにサイズが変化している可能性があります。定期的に緩くなっていないかをチェックし、必要があれば買い替えましょう。

家からの脱走を防ぐために

家からの脱走を防ぐためには、外とつながる場所への対策が求められます。玄関や廊下など、脱走の危険性が高いエリアにはペット用のゲート・柵を設置しましょう。購入時は、ペットが飛び越えられない高さであるかをしっかり確認してください。

家事の最中や来客中など、ペットから目を離すときは必ずハウスの中に入ってもらいましょう。ハウスに入れるのが難しい場合は、窓の鍵やドアを閉めきった部屋を活用してください。

また地震大国である日本では、地震の揺れによって開いた窓からペットが脱走してしまう場合があります。被害に備え、在宅中であっても窓の鍵はしっかりと閉めるよう心がけましょう。

迷子札の利用

ペットが迷子になった時に備え、迷子札を用意しておくことをおすすめします。迷子札とはおもに首輪に装着する装飾品であり、飼主の連絡先や住所が記載されています。

実名や電話番号などの個人情報が記載されているためリスクはありますが、ペットの安全や健康を守るための重要な手段になるでしょう。

 

以下の記事では、動物の迷子札について詳しくまとめています。今回の記事とあわせて、ぜひ参考にしてください。

動物に迷子札って必要?犬の鑑札とは違う用途を解説

必要なしつけをしておく

あらかじめ必要なしつけをしておくことで、脱走の危険性を下げられます。たとえばペットが開いたドアの近くにいるときに「待て」や「止まれ」が通じると、外に出ていくことを防止できるでしょう。

とくに犬の場合は、日頃から上下関係をしつけることで安全を担保できます。しつけの徹底は、散歩中の急な飛び出しや首輪の抜け出しからも犬を守ってくれるのです。

万が一の迷子に備えて、やるべきタスクを整理しておこう

今回は、ペットが迷子になったときの対処法を紹介しました。

大切なペットがいなくなると、夜も眠れないほど不安になってしまいますよね。1日でも早くペットと再会するためには、できることを一つひとつ確認し、確実に対処していく姿勢が求められます。

いざというときにパニックになってしまわないために、平時から迷子時の対応を確認しておきましょう。