動物を祀る神社・仏閣
  • オオカミを祀る武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)
  • オオカミを祀る三峯神社
  • ヘビを祀る大神神社(おおみわじんじゃ)
  • トラを祀る朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)
  • キツネを祀る源九郎稲荷神社

人間と動物たちは古来より生活をともにしてきました。日本神話や古事記などの神話にも動物は度々登場し、生活のパートナーとしてだけではなく、神聖な存在としても人々の側に寄り添ってきたのです。

新年にふさわしい御神体をはじめとする言葉の意味や、動物を祀る神社仏閣を紹介します。美しく神々しい動物たちの姿に触れ、神話や文化を学んでいきましょう!

御神体・神使・眷属ってなに?

神社や仏閣の文化を調べると、普段の生活では耳馴染みのない言葉を多く目にしますよね。ここでは、御神体(ごしんたい)・神使(しんし)・眷属(けんぞく)の意味について紹介します。古くから続く文化への理解を深めると、日常生活や人生がより豊かなものになっていきますよ!

御神体はその神社の神様が宿るもののこと

御神体(ごしんたい)とは、神社において神様が宿るとされている物体を指します。その形状はさまざまで、石や木などのような自然物の場合もあれば、銅像や彫刻などの人工物である場合もあります。

日本の場合、皇大神宮で奉られている「八咫鏡(三種の神器の一つ)」が有名です。人工物の場合は神様の姿を模したものや、動物の形状をしているものなどが代表的です。神社で最も尊ばれている対象のため、一般に公開されることは稀とされています。

神使・眷属とは神様の意思を代行するもの

神使(しんし)とは、使者として神様の意志を代行する存在です。神様の世界から現世にやってくる際には、主に動物の姿をしていると考えられています。一般的に、該当の神社の神様と縁故がある動物である場合が多い傾向にあります。

眷属(けんぞく)も神使と同様に、神の使者を指します。神使や眷属は、時に神様そのものとして考えられることもあり、大衆から信仰を集める対象となるのです。日本の神道においては、竜のような空想上の生物も神使や眷属として登場しています。

動物を祀る神社仏閣5選

ここでは、動物を祀る神社仏閣を5つご紹介します。普段は愛玩や保護の対象として人間と共存共栄している動物たち。しかし神様の使いとして慕われる動物たちは、私たちとは違う世界に生きている神聖な存在といえるでしょう。動物と神話の関係性にも注目しながら、その神々しくも愛らしい姿に触れてみましょう。

武蔵御嶽神社(むさしみたけじんじゃ)【オオカミ】

武蔵御嶽神社は古くから霊山として信仰されており、多くの神様を祀っています。その中でも大口真神(おおくちのまがみ)様は「おいぬ様」として親しまれており、正しさや真(まこと)の心を司る神様として信仰を集めています。

大口真神はニホンオオカミが神格化された神様です。猪や鹿から作物の被害を守ってくれるという言い伝えがあります。厄除け・火難除け・盗難除けのご利益があるとされ、人間の本質を見定めて悪人を罰する力があるといわれています。

所在地 東京都青梅市御岳山176
参拝時間 9:00~16:00
動物同伴参拝の可否

三峯神社【オオカミ】

三峯神社はる日本武尊(やまとたけるのみこと)が創建し、伊弉諾尊(いざなぎのみこと)と伊弉册尊(いざなみのみこと)を主祭神としている神社です。家内安全・五穀豊穣・火難除け・盗難除けのご利益があるとされています。

祀られているオオカミは、創建者である日本武尊の道案内を務めたという言い伝えがあります。オオカミは野性的でクールなイメージがあるかもしれませんが、三峯神社に祀られているオオカミの表情は非常に優しげで、見ているだけで心が暖まるような愛らしさです。

所在地 埼玉県秩父市三峰298-1
参拝時間 9:00~17:00
動物同伴参拝の可否 不可

大神神社(おおみわじんじゃ)【ヘビ】

大神神社は日本最古の神社の一つで、三輪山そのものをご神体としています。大神神社で祀られている動物はヘビで、これは主祭神である大物主大神(おおものぬしのおおかみ)の化身だという言い伝えがあります。

拝殿の前に鎮座する杉の木は、姿を変えた大物主大神であるシロヘビの住み家です。拝所には、ヘビが好むとされている卵が備えられています。産業・治病・交通・造酒・製薬などにご利益があるとされ、人間の生活を総合的に見守ってくれる神様として親しまれています。

所在地 奈良県桜井市三輪1422
参拝時間 24時間
動物同伴参拝の可否 場所により可

朝護孫子寺(ちょうごそんしじ)【トラ】

朝護孫子寺はトラを祀っているお寺です。約1,400年前、朝護孫子寺がある信貴山で聖徳太子が毘沙門天(七福神の一柱)を感得(真理などを悟り知ること)しました。その瞬間が寅の年・寅の日・寅の刻であったことから、トラが縁の深い動物として信仰されています。

境内のいたる場所でトラの人工物を見ることができ、聖徳太子にあやかってご利益を授かれるといわれています。特に毎年3日間訪れる「寅の日」には、多くの参拝客が集まります。

所在地 奈良県生駒郡平群町信貴山2280-1
参拝時間 9:00~17:00:
動物同伴参拝の可否 本堂前以外可(犬のみ)

源九郎稲荷神社【キツネ】

動物を祀る神社と聞いて、稲荷神社を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。京都の伏見に位置する総本宮を筆頭に、稲荷神社は全国各地に主祭神として2,970社、分祀社として32,000社もの数が構えられています。

その中でも源九郎稲荷神社の祭神であるキツネは、源平合戦で有名な源頼経に名乗りを許された「源九郎狐」です。村人を苦しめる大蛇を大事したり、近くに住む小狐を助けたりなどで信仰を集めました。金運・商売繁盛・五穀豊穣などのご利益があるとされています。

所在地 奈良県大和郡山市洞泉寺町15
参拝時間 10:00~17:00
動物同伴参拝の可否 要確認

人間と動物の神話を学び、各国の文化や宗教も学んでみよう!

今回は、動物を祀っている神社仏閣についてご紹介しました。

日本国内だけでも、神話に基づいたさまざまな動物が信仰されていることがわかります。さらに世界に視点を広げてみると、非常に幅広い動物たちが信仰の対象となっているので面白いですよ。

動物との関係性の築き方には、文化や宗教など多くの要素が複合的に合わさっています。ぜひこれを機に、人間と動物の信仰的な関係性を調べてみてはいかがでしょうか?