この記事は2024年8月時点の内容です。
- オカピはコンゴのイトゥリの森熱帯雨林にしか生息していない
- オカピはオスよりもメスの方が体が大きい
- オカピには胃が4つあり、食べた物を反芻しながら消化していく
- オカピの赤ちゃんは生まれて30分で歩き始める
提供:よこはま動物園ズーラシア
一見するとシマウマの親戚⁉️と思いがちですが、実はキリンの仲間なのだとか。その姿と意外性から世界三大珍獣にも数えられるオカピ。
見た目だけではわからないオカピの魅力を、実際にオカピのお世話をしている飼育スタッフの藤澤さんに解説してもらいました。
◆取材・監修:飼育スタッフ
富士サファリパークでアカカンガルー・ディクディク等を担当、その後野毛山動物園を経てよこはま動物園ズーラシアへ。インドゾウ・マレーバク・ニホンザル担当後、オカピ担当となる。現在まで草食獣を多く担当してきたベテラン飼育スタッフ。
目次
シマウマの仲間?いえいえ現存する唯一のキリンの仲間です!
提供:よこはま動物園ズーラシア
シマシマのお尻と後ろ脚が特徴のオカピ。現在はコンゴ民主共和国のみに生息する動物であり、キリン科に属するキリン以外の唯一の動物でもあります。
一見すると馬に似た姿のオカピですが、分類上はキリンの仲間。世界三大珍獣ともいわれるオカピの生態について、藤澤さんに聞きました。
大きな耳としましまの脚を持つオカピは生きた化石⁉️
オカピの見た目は馬にも鹿にも見えるような筋肉質でスレンダーな外見で、大きな耳とお尻から後ろ脚にかけてはっきりとしたシマがあるのが特徴です。この模様が、オカピの住むコンゴ民主主義共和国にあるイトゥリの森では保護色の役割をしてくれるそうです。
オカピは1000万年以上前からこの姿をしているといわれているため、生きた化石とも呼ばれます。
まだあまり研究が進んでいないこともあり、不思議な点の多い動物です。その分調べると面白そうだなと思いますね。
平均寿命は20年くらいですが、動物園では33歳が最高齢です。
オスよりもメスの方が大きいって本当?
※提供:よこはま動物園ズーラシア 2014年12月10日誕生個体
オカピはオスよりもメスの方が大きいという特徴があるのだそうです。その理由について聞きました。
諸説あるのですが、野生では単独で行動する事の多いオカピは、捕食される側の生き物のため、子どもは大きく産んだ方が生き残るために有利だからではないかといわれています。
大きな赤ちゃんを産むためには、母親の体が大きい方がより大きな赤ちゃんを産めるからではないかと。
群れで生活する事のないオカピは、母親が子どもを守り、育てます。それが理由かどうかはわからないですが、赤ちゃんは1〜2年母親と一緒に行動するため、母親は大きい方が子どもを守りやすいのではないかという説もあります。
絶滅危惧種(レッドリスト)に選定されている?
オカピは現在、国際自然保護連合(IUCN)に絶滅危惧種として選定されています。そんなオカピを取り巻く環境とはどのようなものなのでしょうか。
現在オカピが生息しているのは、コンゴのイトゥリの森という熱帯雨林のみです。
オカピの天敵はヒョウだといわれていますが、そのほかにも大きな脅威があり、それが人間です。
密猟者の数が増えていて、ブッシュミートの対象として狩られたり、毛皮を目的とした密猟も後を断ちません。保護活動は行われていますが、国内での紛争もあり、現在の生息数は5,000〜10,000頭ほどだといわれています。
オカピの食事は木の芽・葉・実・枝
提供:よこはま動物園ズーラシア
オカピは木の葉を好んで食べるそうですが、野生ではシダやキノコも食べるのだとか。そんなオカピの食事について藤澤さんに聞いてみました。
グルメなオカピの主食は実のなる木の葉
オカピはズーラシアではどんな食事をしているのでしょうか。
シラカシなどのブナ科や、トウネズミモチの葉をあげています。どんぐりのなる木の葉は好きみたいですね。枝にどんぐりがついていたら一緒に食べることはありますが、どんぐりは好きではないようです。
匂いには敏感で、おいしそうな葉かどうか匂いで判別しているようです。葉の種類にはこだわりがあり、好きな味がはっきりしていて、けっこうグルメなんですよ(笑)。新鮮な新芽は大好きですし、びわの葉も大好きみたいです。
ですがびわの葉は好きでも、びわの実は食べません。野生では食べることもあるようです。海外の動物園ではリンゴ・にんじん・小松菜・セロリなどをあげたりもしているようなので、実も食べることはできるようですね。
オカピには胃が4つあるって本当?
オカピには胃が4つあると聞きますが、それは本当なのでしょうか?藤澤さんに解説してもらいました。
繊維質の多いものを主食としている動物なので、消化するために胃が4つあります。大量に繊維質の多い葉を食べても消化できるのはそのためです。
また胃が4つあるだけでなく、飲み込んだ後に何度も胃の中身を口に戻して咀嚼して飲み込むという動きを繰り返します。
これは「反芻(はんすう)」といわれる行動で、食べた植物を細かく砕きながら唾液と混ぜ合わせることによって、食べた物を消化・吸収しやすくしています。
オカピは単独行動の好きな動物?
提供:よこはま動物園ズーラシア
キリンは群れで生活しますが、オカピは基本単独行動の動物なのだそうです。オカピの生態について話してもらいました。
オカピは1頭1頭がそれぞれのテリトリーで生活している
群れにはならないオカピですが、どのようにして生活しているのでしょうか。
オスもメスも1頭ずつそれぞれがなわばりを持っていて、おしっこでそのなわばりを主張します。匂いに敏感な動物なので、おしっこの匂いから情報を得ています。
発情期になるとおしっこの匂いが変わります。発情期は2週間に1回来ますが、強かったり弱かったりがあり、メスはいいタイミングで強いオスに会えるかどうかが繁殖のポイントになります。
オカピの妊娠期間は15ヶ月!赤ちゃんは生後30分で歩き始める
※提供:よこはま動物園ズーラシア 2014年12月10日誕生個体
捕食される側の動物であるオカピの赤ちゃんは生まれてすぐに立ち上がるのだそうです。そんなオカピの繁殖について教えてもらいました。
大きくなってから産まれた方が有利だということもあり、オカピの妊娠期間は15ヶ月と長めです。メスの方がオスよりも体が大きいのも、大きい赤ちゃんを産むためだともいわれています。赤ちゃんは生まれて30分で歩き始め、母親と一緒に行動します。1〜2年母親と一緒に生活をしてから独り立ちしていきます。
飼育スタッフに聞く「オカピを観るならここ!」
提供:よこはま動物園ズーラシア
オカピの飼育スタッフだからこそ知っている、オカピの見どころについて、藤澤さんに話してもらいました。
オカピの意外な一面とは?
オカピはキリンの仲間なんだなと思う部分があるのだと藤澤さんは言います。
オカピの舌って長いんですよ。食べてるところを見てもらえるとよくわかると思うんですが、舌の使い方が器用なんです。
キリンも舌の長いことで知られていますよね。やはり祖先は一緒ということなんでしょうか。
オカピの一番かわいいところを教えて!
藤澤さんの思うオカピのイチオシかわいいところはどこなのか、話してもらいました。
やっぱり一番かわいいのはごはんを食べてるときですね!
すごくいい顔して食べるんです。うれしそうに、おいしそうに、幸せそうに食べてる姿は本当にかわいいです。
毎日14時半から「飼育員のとっておきタイム」(ガイド)があります。ガイドの時間に合わせてオカピの好きな葉をあげるので、目の前で食べている様子を見ていただけます。
ぜひオカピのすてきな表情を見にきてください!
※「飼育員のとっておきタイム」は3ヶ月ごとに内容が変わります。来園の際には公式HPを確認してください
コンゴのイトゥリの森に住む不思議な動物オカピ
提供:よこはま動物園ズーラシア
世界三大珍獣に数えられるオカピについて、ズーラシアで実際にオカピの飼育にたずさわっている藤澤さんにお話を聞きました。
まだまだ研究されていない動物のため、謎の多い動物だということもわかりました。
メスの方がオスよりも体が大きかったり、赤ちゃんは生まれて30分で歩き始めたり、とても長い舌をもっていたりと、特徴的な点がいくつもあることも教えてもらいました。
生きた化石ともいわれるオカピのいる動物園は、国内にはよこはま動物園ズーラシアと、横浜市立金沢動物園の2園しかありません。
オカピを観る機会があったら、ぜひこの記事を思い出して、オカピの生態をじっくり観察してください。
◆施設情報
よこはま動物園ズーラシア
所在地:神奈川県横浜市旭区上白根町1175-1
入館料:一般800円・中人、高校生300円・小中学生200円・小学生以下無料 ※毎週土曜日は、小・中・高校生は無料(要学生証等)
営業時間:9:30〜16:30 ※入園は16:00まで
駐車場:普通車1回1,000円
よこはま動物園ズーラシアのリカオンの飼育員さんにもお話を伺いました!あわせてチェックしてみてください!