この記事は2024年6月時点の内容です。

まとめ
    • 乗馬を始めるために必要な道具は多くない
    • 馬に乗ってゆっくり歩けるようになるのにはそんなに時間はかからない
    • 初心者は馬に遠慮しすぎて指示が伝わらないことがよくある
    • 乗馬に必要な筋肉は下半身と腹筋・背筋

乗馬ってやってみたいけど、なんだか大変そうって思っていませんか?実際にんな練習をするのか、どんなトレーニングが必要なのか、なかなか知る機会もないですよね。

今回は芦峅(あしくら)ホースヴィレッジの中村さんに、初心者でも理解できるように、乗馬について教えてもらいました。乗馬に興味のある人はぜひ参考にしてください。

◆取材・監修:乗馬インストラクター

中村 舞乃さん

・全国乗馬俱楽部振興協会 初級指導者
・日本馬術連盟 A級騎乗者
乗馬歴は15年以上で、学生時代から馬術競技の障害をメインに取組んでいる。馬術競技は馬と人が一体となって取組む競技。日頃の馬との信頼関係が大切な馬術競技の魅力や、馬そのものの魅力に惹かれて今に至ると話す。

中村 塁さん

・全国乗馬俱楽部振興協会 初級指導者
・日本馬術連盟 馬場B級騎乗者
芦峅ホースヴィレッジ代表。学生時代から馬術競技に取組み、現在も馬術競技に取組む人をサポートしながら芦峅ホースヴィレッジを運営している。

乗馬を始めよう!最初にやることと必要な道具

乗馬を始めようと考えたとき、どのくらい練習したら馬に乗って走れるようになるのでしょうか?乗馬に必要な道具などについても聞いてみました。

乗馬に必要な道具って何があるの?

乗馬を始めよう!と思ったときに必要な道具にはどのようなものがあるのでしょうか?なんとなく道具が高そうなイメージがありますが…。

「1番最初はヘルメットとブーツくらいでしょうか」

意外にもそれだけでいいのでしょうか?鞍とか馬具とか、いろいろありそうな気がしていましたが…。

「自分の馬を持つようになったら鞍も必要かもしれませんが、基本的にはそういった馬具関係のものはクラブで用意してくれますね。

あとは落馬はつきものなので、自分の体を保護するベストなどもあります。

細かくそろえるとなると鞍の下に敷いて馬の背中を保護するパットとか、脚を保護するためのプロテクターとか、馬の口にくわえさせるはみとか、いろいろありますが、そういったものはクラブにそろっています」

そう言われると、思っているよりも気軽に始められそうです!

乗馬で走れるようになるまでのファーストステップ

乗馬を初めてする場合、どのようなところから始めるのでしょうか?

「最初は手綱を引いて歩くところから始めますが、馬の動きに慣れてきたら一人で乗る感じです。最初はゆっくり歩く常歩(なみあし)から始めます。

上達の速度はかなり個人差があるのでなんとも言えませんが、10回くらいの練習で速足(はやあし・小走りくらいの速度)を一人でできるようになります。

週に1〜2回くらいの頻度で練習する人が多いので、そのくらいだと想定して、1年くらいで駈歩(かけあし・時速20kmくらいの速度)ができるくらいの感じです。

ただ駈歩ができるようになるまでは本当に個人差が大きいので、その通りにできなくても心配する必要はないです」

思っていたよりもハードルが低いようなので、ちょっと安心しました。

乗馬に関する勘違いと体の使い方とは?

乗馬について、いろいろな先入観やうわさ話のように人から聞く話について、本当のところはどうなのかを中村さんに聞いてみました。

初心者がやりがちな乗馬の間違い

始めたばかりのころは、どんなスポーツも勝手がわからず、上手くいかないことが多いと思います。乗馬の場合、初心者が間違いやすいポイントについて聞いてみました。

「初めのうちにやりがちなのが、馬が可哀想だと思って指示を優しく出し過ぎて馬に伝わらないケースですね。

しっかり指示を出してあげないと、馬が混乱してしまって動いてくれない原因になります。お腹をポンポンってキックするんですが、最初のうち加減がわからないのは仕方ないですけれど。

馬を力でコントロールしているわけではないので、その辺はだんだん覚えてもらうほかないですね」

それは確かにやってしまいそう……。馬のお腹をキックって、聞くだけでとても申し訳ない気がしてしまいます……。

乗馬の練習をすると太ももの皮がむけるって本当?

よく人の話で「乗馬の練習をすると内腿の皮がむける」なんて話を聞きますが、それは本当なのでしょうか?中村さんに実際のところを聞いてみました。

「んー、正直私はむけなかったので絶対むけるわけではないと思います。でも確かに私も内腿の皮がむけるという話は聞くので、そういう人も多いんでしょう。

鞍(くら)との相性もあると思いますし、最初は脚のどこに力を入れたらいいのかわからず、むやみに力を入れすぎると皮がむけてしまうのかもしれません」

全員がむけるわけではないのですね。

中村さんは10歳の頃から乗馬を始めて、学生時代に障害競技に取り組んでいたそうですが、今までに内腿の皮がむけたことはないそうです。

乗り方によっては皮がむけてしまうことなく、乗れるようになると聞くと、安心して始められる気がしませんか?

乗馬に必要な筋肉ってどこの筋肉?

自分の体をコントロールするというと、乗馬をするために必要な筋肉があると思うのですが、どこを鍛えるといい、というような筋肉はあるのでしょうか?

下半身の筋肉は馬を安定させるために必要になります。あとは姿勢を維持するために、腹筋と背筋は必要です」

手綱を握る腕にも筋肉が必要そうに思いますが、腕の筋肉は必要ないのでしょうか?

「腕に関しては力で馬をコントロールするわけではないので、さほど必要ないと思います」

体を安定させるために下半身の筋肉と、姿勢を維持するための腹筋と背筋。姿勢という意味では体幹も大切ということですよね。なんだかダイエットにも良さそうですね。

乗馬にも資格がある!

乗馬にも資格が2種類存在するのだと中村さんは話してくれました。そこでそのライセンス2種類の違いや必要性についても聞いてみました。

乗馬の資格・日本馬術連盟発行A〜C級

中村さんも実際に日本馬術連盟のA級騎乗者資格の取得をされていますが、それはどういうものなのでしょうか?

「乗馬には2種類の資格があります。

日本馬術連盟の発行するA〜C級資格は、公認の馬術競技に出場するために必要になる資格で、ローカルの競技に出場する際には必要ありません。

A級資格は、国際大会などに出る際にも必要です。逆に競技に出る目的がない場合には取得できない資格でもあります。

C級資格は技量を見るための資格です。公認競技に出場するためには、B級以上の資格を取らないと出場できません。そしてA級には受験するためにも資格があり、全日本大会の出場経験がないと受験ができません

日本馬術連盟の資格は、大会に出場したいと思ったら、頑張って取得する必要が出てくるようです。

乗馬の資格・全国乗馬倶楽部進行協会1〜5級

もう1つの資格はどのような資格なのでしょうか?

全国乗馬倶楽部振興協会の発行する1級〜5級資格は純粋に乗馬の技量を示すもので、5級〜3級は基本の馬の動きを学びます。5級は比較的始めてすぐでも受験可能な内容です。

2級〜1級は種目によって専門的な内容になります。

この2種類の資格には互換性もあり、全国乗馬倶楽部振興協会の1級は日本馬術連盟のB級に移行が可能です」

全国乗馬倶楽部振興協会の資格の方が、最初の級のハードルが低そうに感じます。

どちらの資格も乗馬が上手くなりたい気持ちを形にするために、目指してみるのはいいかもしれません。

どのくらい乗馬の練習をすると取得できる?

資格の難易度や必要な練習量はどのくらいなのでしょうか?

「んー……本当に上達速度は個人差があるので、一概には言えないですが、全国乗馬倶楽部振興協会の5級資格は比較的始めたばかりでも取れる資格だと思います。それでも全国乗馬倶楽部振興協会の資格も、1〜2級はかなりちゃんと練習しないと難しいですね。

日本馬術連盟の資格は難しいと思います。B級からは特に試験の基準も高く、学校に通って2年程度、毎日馬に乗って取れるくらいの高い基準になります。このB級を取って、全日本の大会に出場すると、A級の受験資格が得られます。A級の取得はB級よりもハイレベルになります」

2年学校に通ってやっと取れるくらいというと、かなりハードルが高そうですね。

でも、初心者でも狙える資格があるというのはちょっと励みになりそうです。

エキスパートが奨める乗馬のココを楽しんで!

最後に、中村さんが考える乗馬の楽しみ方についてお話を聞きました。

どんな時も馬と一緒のスポーツです。1頭1頭違う個性を楽しんでほしいです。

この子だと上手くいくことが別の子だとできないとか、同じ子でも昨日はできたけど今日はできないとか、その日によって馬のやる気も違ったりしますので、その日その日の違いを楽しみながら上達していけるものだと思います。

できないことで落ち込まないで、今日できなくても明日はできるって思ってることが大切かなと思っています。走れるようになったら、爽快感も楽しんでほしいですね」

人によっては最初からある程度乗れる人もいるそうです。

体幹を鍛えて、乗馬にチャレンジしてみるのもいい目標かもしれません。

馬と一緒に楽しめる乗馬にチャレンジしてみよう!

普段の生活ではあまりふれあうことのない馬ですが、穏やかで優しい性格の動物です。

少しずつ馬と意思を通わせながら、お散歩ができるようになるって、なかなか夢がありますよね。

思っていたよりも乗馬の最初のハードルは低いことがわかりました。

乗馬クラブを見つけたら、この記事を参考にして乗馬体験にチャレンジしてはどうでしょうか。

 

◆施設情報

乗馬レッスンのほか、ホースレンタルやウエディングフォトなどを扱う乗馬クラブ。経営している中村さんご夫妻は馬術競技の経験も豊富で、乗馬レッスンのほかに、障害レッスンなども可能。馬に乗ってのウエディングフォトにも対応してくれる。
芦峅(あしくら)ホースヴィレッジ
所在地:富山県富山市婦中町友坂318 スターライトステーブルス内
料金:引き馬(1周) 1,000円(中学生以下500円)
常歩コース(20分)3300円
体験レッスン(20分)3300円 ※1回限り
通常レッスン(40分)6,600円(中学生以下5,500円)
障害レッスン(40分)8,800円

 

中村さんに、馬の生態と脚に隠された秘密も聞いてみました!
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