まとめ
  • 愛媛県にある県立長浜高校の「水族館部」所属の高校生が運営
  • 飼育や展示は150種2000点。あの「さかなクン」からの寄贈も
  • 水槽前での解説や手作りのポップで親しみやすい工夫がされている
  • 開館から25年、保健センターへの移転準備中

高校生が運営している水族館があるのを知っていますか?それは愛媛県大洲市にある「長高水族館」。

150種2000点が展示され、地域の人に愛される長高水族館は、長浜高校の水族館部によって運営されています。

そんな水族館部は、日本唯一の「水族館部」で、長浜高校の分校化の危機も救ったのだとか。

今回はそんな水族館部の唯一無二の活動、運営する「長高水族館」が愛される秘密について、水族館部の副部長である石丸さん、田中さんに語ってもらいました。

また、今年で開館25周年を迎える長高水族館のこれからの話も必見です。

◆今回インタビューに答えてくれたのは

石丸夏実さん/長浜高校 水族館部 副部長

タコが大好き。マダコ、イイダコ、テナガダコの水槽を担当している。水族館部でタコの研究がしたくて、愛媛県宇和島市から入学し、単身生活中。

田中日菜さん/長浜高校 水族館部 副部長

好きな生き物はサメ。水族館の飼育員を目指して、千葉県から家族と引っ越し。現在長浜高校2年生。

日本で唯一!長浜高等学校水族館部とは?

長浜高等学校水族館部は、国内初の高校内水族館を運営している部活です。

過去には、生徒数が減少し分校化の危機にもなった長浜高校。そんな高校を救ったのが、日本で唯一の「水族館部」の存在でした。

水族館を高校生自身が運営する水族館部のおかげで、部への入部を希望して全国から入学希望者が集まり、生徒数が年々増加しているそう。

まずは、そんな水族館部の活動について、水族館部の副部長である、石丸さんと田中さんに紹介してもらいました。

自分に合った活動ができる4つの班

水族館部は大きく分けて「繁殖班」「イベント班」「研究班」「デザイン班」の4つの班で構成されています。

水族館部は班ごとで取り組んでいる内容が異なるそう。それぞれの班の活動について解説してもらいました。

生物の保護に繋げる「繁殖班」

繁殖班は、主にクマノミとクラゲ、サンゴのチームに分かれて繁殖を行っているそう。

繁殖技術を公開することで、生物の保護につなげています。

水族館を楽しんでもらうための「イベント班」

イベント班は、公開日のショーやクイズの担当です。以前はハマチの輪くぐりショーしかありませんでしたが、2023年からは新たに「カメレース」や「イシダイのサッカー」も始めました。

また、子ども向けに魚に関するクイズもつくっています。

田中さん
田中さん

長浜高校はすぐ近くに海があるため、釣り好きの部員が学校の近くで釣ったものの情報をまとめてモニターに映し、釣りの参考にしてもらうような活動もしています!

好きな題材で研究する「研究班」

研究班は、クマノミやクラゲに限らず、それぞれが好きな題材で研究しています。

石丸さん
石丸さん

私はタコを研究していて、田中はサメを研究。私は、論文を読みながら、タコの鏡像自己認知に関する研究をしています。

田中さん
田中さん

研究のテーマは、先生から勧めてもらったり、先輩の研究を引き継いだりもします。先輩の研究の記録が残っているので、そこから新たな研究を始める人もいました。

2023年から追加された「デザイン班」

デザイン班は2023年にできたばかりの新しい班です。

長高水族館の一般公開日(毎月第3土曜日)に向けてアンケート集計や配布物確認などの事務作業をしているそう。

石丸さん
石丸さん

さらにデザイン班のなかには、破損した道具を修理してくれるチームと公開日の装飾やBGMを作成するチームもあります。幅広く活動できるのがデザイン班の特徴です。

水族館部は入部してすぐにすべての班を体験する期間があり、自分に合った班での活動ができます。

部員が70人近くまで増え、いろんな個性をもった生徒が入部してきたため「各部員のやりたいことが実現できるように」と先輩が考え、新たな班編成になったといいます。

高校生が運営する「長高水族館」

現在は、高校生が部活動で運営している長高(ながこう)水族館ですが、もともとは「長浜水族館」という施設があったそうです。

長浜高校で水族館を開館した経緯を話してもらいました。

始まりは数人の部員から

なぜ高校の部活で水族館を運営するようになったのでしょうか?

Tierコラム編集部
Tierコラム編集部
石丸さん
石丸さん

もともとは1935年に開館した「長浜水族館」がありました。老朽化のため、1985年に閉館したと聞いています。

町の人たちにとっては思い入れのある施設だったため、なんとか復活させたいとの思いから当時の長浜高校の数人で「自然科学部」として立ち上げたそうです。

当時は数人の部員で始まった部活が、今では水族館部として約70人の部員で構成される大きな部活に成長したんですね。

飼育展示は150種2000点!?

現在はどのぐらいの数の生物を飼育・展示しているのでしょうか。聞いてみたところ……

石丸さん
石丸さん

150種2000点です!

校内でそんなにたくさん展示を?

Tierコラム編集部
Tierコラム編集部
石丸さん
石丸さん

長浜高校の本館の1階に生物室が3つあって、すべて水族館になっていますね。

中庭や正面玄関にも水槽を置いているのと、化学室は常設ではなく公開日のみの展示です。繁殖班の成果発表の場所として使っています。

ほかにも新館に大きな水槽があり、校長室や応接室、さらには学校の外のふれあい会館にも水槽を置いているそうです。

さかなクンから寄贈の魚も

日本の魚類学者で、タレントでもある「さかなクン」から魚の寄贈を受けている長高水族館。

さかなクンとはテレビ番組の取材で長高水族館と交流がはじまり、現在もサプライズで魚を寄贈してくれることがあるそうです。

石丸さん
石丸さん

長高水族館にはハリセンボンの「キョロリンちゃん」、サビウツボの「サビーちゃん」、イシガキフグの「キョロンちゃん」などがさかなクンから寄贈されてやってきました。

長高水族館では、さかなクン寄贈の展示がみられるのも魅力ですね。

長高水族館の見どころは?

長高水族館は、毎月第3土曜日を一般公開日としてお客さんが観覧できるようにしています。

完全予約制で、お客さんと水族館部の生徒たちが交流できるのも特徴です。

長高水族館のならではの魅力や注目ポイントを聞いてみました。

水槽の前で解説してくれる

長高水族館は高校生たちが運営しています。高校生が手がける水族館ならではの魅力を教えてもらいました。

石丸さん
石丸さん

それぞれの水槽の前に詳しく解説してくれる生徒がいるのが魅力です。水族館部の全員が水槽前に立って解説しています。

水族館部に入部して人と話すのが好きになった部員もいるので、とてもいい場だと思っています。

田中さん
田中さん

公開日にはお客さんにシールを1枚ずつ配っているんです。

そのシールは、お客さんが解説を聞いてすごいと思った生徒や話して楽しかったと思った生徒に渡します。

生徒たちは、このシールの枚数を年間で競い合っています(笑)。

田中さんは昨年度の優勝者!大好きなサメの解説が得意だそうです。優勝者の解説をぜひ聞いてみたいですね。

個性が光る!部員が作成したポップやレイアウトこんなところも見てほしい

部活動で手作りの水族館だからこそ、注目してほしいポイントについて教えてもらいました。

石丸さん
石丸さん

部員はそれぞれ担当の水槽があるので、ポップを作ったり、レイアウトを変更したり、お客さんにみてもらうために工夫しています。

何度も通うことで変化や成長を感じてもらえると嬉しいです!

注目ポイントは、部員が作成したポップやレイアウトの変化だそうです。ほかの水族館では味わえない親しみやすさも魅力ですね。

長高水族館のこれから

2024年で、開館から25年が経った長高水族館。水族館設備の老朽化や部員の増加にともない、長浜保健センターへ移転します。

移転先は、1986年まで長浜水族館があった場所。移転に向けてどのような思いで準備を進めているのかを聞いてみました。

保健センターでの初代水族館部員

部員が実際に保健センターに行って間取りをみながら、水槽の設置場所やどの魚を展示するかなどの構想を練っているそうです。

石丸さん
石丸さん

最初から完璧な状態ではなく、小さな規模でしか始められません。

それでも、自分たちができることを探しながら進めていきたいと考えています。

今、私たちが活動ができているのは、代々の先輩方が残してくださった環境のおかげ

今度は、私たちが保健センターでの水族館部の初代になるので、後輩たちにこの環境を引き継いでいきたいと思います。

保健センターへの移転に向けて部員の意見が反映されるように、先生と企業・行政の方が動いてくれているといいます。移転後の水族館も楽しみです!

長高水族館は親しみやすく、魅力あふれる水族館!

長浜高校の水族館部が運営する、地域に愛される長高水族館。多くの人に親しまれる理由は、部員たちの熱意と工夫がゆえでした。

校舎内に点在する水槽、部員から詳しい解説が聞けるのも長高水族館ならではの特徴です

現在は、保健センターへの移転に向けて準備の真っ最中。これからも全国から熱量の高い生徒たちが水族館部に入部してくるそうです。

副部長おふたりの話を聞いて、これからの長高水族館の成長が楽しみになりました。

愛媛県大洲市に立ち寄った際は、ぜひ長高水族館に足を運んでみてください。

長高水族館
所在地愛媛県大洲市長浜甲576番地(長浜保健センター内)電話:0893-52-1251(愛媛県立長浜高等学校内 長高水族館)公開日:毎月第3土曜日のみ開館(事前予約制)
営業時間:11:00~15:00
入館料:無料
アクセス:JR伊予長浜駅より徒歩15分
駐車場:あり(長浜港湾緑地50台)※高校内には駐車できません※詳細や最新情報はInstagramをご覧ください