まとめ
    • 鳥インフルエンザの原因ウイルスはもともと野生の水鳥が保菌していて越冬のために飛来する水鳥によって冬に増える
    • 鳥インフルエンザは法的に①鳥インフルエンザ②高病原性鳥インフルエンザ③低病原性鳥インフルエンザに分類される
    • 鳥インフルエンザが話題になるのは「養鶏産業への打撃」と「人の健康への影響」が懸念されるため
    • 鳥インフルエンザに特に注意が必要なのは鶏類、水鳥類、猛禽類
    • ペットの鳥を守るためには野鳥との接触を断つことが重要

冬になるとよく鳥インフルエンザのニュースを見聞きしますね。なぜこれほどまでに話題になるのでしょう?高病原性鳥インフルエンザという言葉もよく目にしますが、ふつうの鳥インフルエンザとの違いは知っていますか?このコラムでは、鳥インフルエンザについての解説や、ペットの鳥を鳥インフルエンザから守る方法などを紹介します。

冬に増える鳥インフルエンザとは?

鳥インフルエンザは、鳥に感染するA型インフルエンザウイルスが原因のインフルエンザのことです。はじめに、鳥インフルエンザの鳥同士での感染経路やなぜ冬になると増えるのかを解説します。高病原性/低病原性鳥インフルエンザについて、鳥インフルエンザがなぜ話題になるのか、人の健康への影響についても解説していきます。

鳥インフルエンザの鳥同士での感染経路とは?なぜ冬に増えるの?

鳥インフルエンザの原因であるA型インフルエンザウイルスは、もともと野生の水鳥が保有しています。野生の水鳥はほとんどの場合が無症状ですが、糞や唾液の中にウイルスを排出します。ウイルスで汚染された水や食べ物などを介して野鳥が感染し、感染した野鳥が養鶏場などに入り込むと鶏に感染します。日本の冬は越冬のため多くの水鳥が飛来します。飛来した水鳥たちが感染源となり、冬に鳥インフルエンザが増えるのです。

鳥インフルエンザ、高病原性/低病原性鳥インフルエンザの違いは?

鳥インフルエンザは、養鶏産業への打撃が大きい感染症のひとつです。

日本では「家畜伝染病予防法」という法律で下記のように

  1. 鳥インフルエンザ
  2. 高病原性鳥インフルエンザ
  3. 低病原性鳥インフルエンザ

この3つに分類し、防疫対策を取っています。②高病原性鳥インフルエンザと③低病原性鳥インフルエンザは「口蹄疫(こうていえき)」などと同様、殺処分などの厳しい措置が必要な「法定伝染病」に指定されています。

引用元:我が国における鳥インフルエンザの分類 (maff.go.jp)】

鳥インフルエンザはなぜ話題になるのか

鳥インフルエンザが話題にのぼる理由は主にふたつです。ひとつは上でもお伝えした通り、養鶏産業への被害が甚大な感染症だからです。ふたつめは人の健康に影響を与える可能性があるからです。鳥インフルエンザが鳥のあいだで蔓延すると、ウイルスが変異して人の健康を大きく脅かすことのある「新型インフルエンザ」が発生する可能性があります。このような理由から、鳥インフルエンザは人々に警戒され話題になるのです。

鳥インフルエンザは人にも感染するの?

高病原性インフルエンザを含む鳥インフルエンザはふつうの生活の中では人に感染しません。しかし、感染した鳥の排泄物などとの濃厚接触があった場合、ごく稀に人にも感染することがあります。鳥インフルエンザに感染した人から別の人への感染は極めて稀です。過去の感染事例は患者の介護のために長期間患者と接触していた家族等に限られています。人が鶏肉や、卵などを食べることで鳥インフルエンザに感染したという事例はありません

外で死んでいる鳥を見つけたら?

鳥が死んでいるからと言って、すぐに鳥インフルエンザを疑う必要はありません。ご自宅の敷地内などで鳥が死んでいる場合は、素手で死体に触らないよう注意し、死体をビニール袋に入れ一般廃棄物(可燃ごみ)とします。複数の鳥が見渡せる範囲内で死亡していたり、連日のように近い場所で鳥の死亡が続く場合は、市区町村などの役所をはじめとした自治体に連絡しましょう。

鳥インフルエンザはペットの鳥にも感染する?

ペットで鳥を飼っている方は、自宅の鳥も鳥インフルエンザにかかるのかどうか気になりますね。結論から言えば、鳥類であればどんな鳥でも鳥インフルエンザに感染する可能性はあります。ここでは鳥インフルエンザに特に注意が必要な鳥の種類や、ペットの鳥を鳥インフルエンザから守る方法を中心に紹介します。

鳥インフルエンザに特に注意が必要な鳥の種類

鳥インフルエンザに特に注意が必要な鳥は鶏類・水鳥類・猛禽類です。チャボやコールダック、ハリスホークなどこれらの鳥をペットにしている方はより警戒が必要です。インコや文鳥など「飼い鳥」も感染の可能性はあります。

鳥インフルエンザにかかった鳥の症状とは?

鶏では、鳥インフルエンザに感染すると、トサカが紫色になったりトサカから出血するなどの症状が出ます。顔が腫れたり足の皮下出血がおきたり神経症状が出るなどの症状もでます。その他の鳥の症状は、はっきりわかっていません。

飼っている鳥を鳥インフルエンザから守るためにできること

上でお伝えした通り、鳥インフルエンザの鳥同士での感染経路は、野生の水鳥が持っている原因ウイルスを野鳥が媒介することです。ペットの鳥を鳥インフルエンザから守るために大切なのは野鳥と接触させない」ことです。直接の接触はもちろん、野鳥の排泄物などとの接触も避けるようにしましょう。ふだんから餌皿や水入れなどを清潔に保つことも大切です。ペットで鳥を飼っている方の中には、庭に野鳥用の餌台や水飲み場を作り、野鳥観察を楽しむ方も多いですね。残念ですが、冬季のあいだはこれらを撤去しペットの鳥に野鳥を近づけないようにしましょう。

住んでいる地域で鳥インフルエンザが発生したら

住んでいる地域で鳥インフルエンザが発生した場合、ペットの鳥は室内のみで飼育することが望ましいです。鳥の種類や数によって、室内飼いが難しい場合は、鳥小屋ごとビニールシートで覆うなどの対策で野鳥との接触を徹底的に防止する工夫が必要です。公園や河川などの屋外にペットの鳥を連れて行くのも控えましょう

地域の情報に気をつけペットの鳥を守ろう

鳥インフルエンザは人社会への影響が大きな感染症なので、毎年冬に話題になります。一般の家庭で生活する飼い鳥を鳥インフルエンザから守る方法は「野鳥との接触を断つ」ことです。野鳥に触れたり、むやみに近づくことは控えましょう。屋外で鳥と接触した場合には、帰宅後すぐにシャワーを浴びるなどしてからペットの鳥に触れましょう。地域の鳥インフルエンザ発生状況を把握しておくことも大切です。

 

◆この記事を解説してくださった獣医師プロフィール

ttm 医師

岩手大学で動物の病態診断学を学び、獣医師として7年の実績があり、動物園獣医師として活躍中。動物の病態に精通し、対応可能動物は多岐にわたる。