仕事から疲れて帰ってきたときに、アクアリウムの中でユラユラと泳ぐ魚を見ると癒されますよね。魚を含めた淡水生物は、比較的初期費用を押さえて飼育を始めやすいことが特徴です。散歩もいらず、忙しい人でも飼いやすいことから注目を集めています

とはいえ初めてアクアリウムを始めるには、準備するべきものや飼育方法のイメージがつかめませんよね。今回は、おうちアクアリウムを始める方法やおすすめの淡水の生き物をご紹介します。アクアリウムの基礎知識を身に付け、家の中に癒しの空間を作りましょう

アクアリウムってなに?初心者にもおすすめの3つの魅力

アクアリウムとは、水生生物の飼育設備を指します。アクアリウムと聞くとまるで芸術品のような水槽をイメージする人もいるかもしれませんが、生物が生きられる環境さえ整えればどれも立派なアクアリウムです。

ここではアクアリウム初心者さんのために、アクアリウムの魅力についてご紹介します。アクアリウムは魚を飼育するために必要な設備であるだけはなく、さまざまな魅力や機能を持つ素敵なインテリアなのです。

1.ライフスタイルに合わせて手軽にペットを飼育できる

アクアリウムは、巨大な水槽を置くスペースがなくても始められます。ライフスタイルや住宅環境に合わせて規模を調整でき、生物によっては金魚鉢や同様のサイズの水槽でも飼育可能です。

水生生物は、犬や猫などの他の一般的なペットと比べると、生体価格や初期投資が押さえやすいことも魅力です。「ペットを飼いたいけれど、散歩に行く時間が取りづらいし仕事で疲れて体力がもたない……」という人にこそ、おすすめのペットだといえるでしょう。

2.自由な発想で癒しの空間を作れる

アクアリウムは、自分ならではの発想で癒しの空間を作れます。流れる水のせせらぎや水中に揺れる水草、ユラユラと泳ぐ優雅な魚の姿……。ただ見つめているだけで心が癒されるような水景を自由に作れるのは、アクアリウムならではの魅力です。

アクアリウムには「こうしなければいけない」というルールはありません。和風な庭園風でも、トロピカルな南国風でも、緑豊かなジャングル風でも、どれもが素晴らしいアクアリウムです。想像力を発揮してオリジナリティあふれる空間を作れることが醍醐味だといえます。

3.インテリアになる

アクアリウムは水生生物を飼育するだけの設備としてだけではなく、視覚的に私たちを癒してくれるインテリアアイテムとしても機能します。部屋のイメージに合わせてアクアリウム内のインテリアやライティングを変えることも可能です。

自室を彩るアイテムとしてはもちろん、オフィスやレストランなどのインテリアとして活躍することも。訪れる人の心を癒し、シーンに合わせて思い出を彩ってくれるのもアクアリウムの魅力です。

まずはここから!魚を飼うために必要なもの

ここでは、魚を飼育するために必要なものをご紹介します。アクアリウムは手軽に始められる趣味ではありますが、生き物を飼育する以上最低限必要な用品も多く存在しています。不安があれば店員さんにも相談しつつ、安全な環境を整えていきましょう。

魚を飼育するのに必須のアイテム

  • 水槽
  • ろ過器
  • ヒーター/サーモスタット
  • 照明
  • 塩素中和剤

 

アクアリウムの基盤となる水槽はもちろん、ろ過機はほとんどの水生生物の飼育に必要になります。ろ過器は魚の糞や不要な栄養素などを取り除き、綺麗な水にする役割があります。

水生生物は生存に適切な水温が定められており、温度を保持するためにヒーターやサーモスタット(設定された水温になったときに自動的にヒーターの電源を落とす道具)が必要です。

 

照明はアクアリウムを美しく見せるために役立ちますが、魚のバイオリズムを整えたり水草を育成したりするためにも活用します。特に熱帯魚を飼育する際は、薄暗いと餌を上手に発見できずに食べ残してしまうこともあります。

また多くの人が水道水を利用してアクアリウムを作成するかと思いますが、必ず必要になるのが塩素中和剤です。水道水には塩素(カルキ)が含まれており、水生生物にとって有害になってしまいます。塩素中和剤によりカルキを抜くことで、水道水でも水生生物が住みやすい環境になるのです。

魚の住環境を整えるアイテム

魚の種類や性質によって、住環境を整えるアイテムを準備します。以下に代表的なものを挙げますので参考にしてくださいね。

  • 魚用ネット:水を替える際に魚を掬ったり、水槽内のゴミを取り除いたりするために使用します。
  • 水槽用の蓋:魚が水槽から飛び出さないために使用します。
  • バケツ:水を替えたり、水槽内を掃除したり、水合わせを行ったりする際に使用します。
  • 底砂:水槽内のインテリアとして機能するだけではなく、水質調整機能を持っているものもあります。
  • 水温系:水温が適切かを一目で確認できます。
  • エアポンプ:水中の酸素量を増やし、魚の呼吸に役立ちます。

 

その他にも、コケ除去用品や水替えポンプなどのメンテナンスグッズや、冷却用ファンなども展開されています。購入する水生生物やイメージする水景に応じて、店員さんに相談しながら購入していきましょう

より幻想的なアクアリウムに!レイアウトグッズ

金魚鉢にメダカを入れるだけでも、立派なアクアリウムです。しかしより独創的で美しいアクアリウムを作るためには、さまざまなレイアウトグッズを揃えるとよいでしょう。

以下に、代表的なアイテムをご紹介します。

  • 流木:水槽に臨場感を与えます。
  • 石・珊瑚礁:流木と同様に自然らしさを演出します。
  • 水草:演出の他、水質改善にも役立ちます。
  • バックスクリーン:水槽の背面に張って使用します。
  • タコつぼ:魚の隠れ家としても役立ちます。

 

アクアリウムに正解はありません。想像力を存分に発揮し、世界に一つの水景を描いていきましょう。

魚の飼育環境を作ろう!水槽の作り方

ここでは、魚の飼育環境を作るための水槽のセッティング方法についてご紹介します。水生生物を末長く健康に飼育するためにも、順序を守って環境を整えていきましょう。

1.水槽のセッティング

まずは水槽を洗い、水平に保てる場所に置きます。底面にかかる負担を均等に保つため、水槽用マットを敷くことをおすすめします。砂を水洗いして底に2~3cmの厚さで敷き、ヒーターやサーモスタットなどの保温器具を設置しましょう。

水槽や砂を洗う際は洗剤を使わないように注意してください。また人間と同じように、魚も空間的余裕があることで快適に過ごせます。魚の大きさや頭数に合わせて水槽の大きさを調整しましょう。

2.水草の準備

水道水を24~26℃に調整し、静かに水槽に入れます。後から中和剤を入れカルキを抜き、水草をセットしていきます。流木や石などもこのタイミングで置き、水草とのバランスや位置を調整しましょう。

水草を含めたアクセサリーの配置が終わったら、水槽の枠の下に水面が見える程度の高さまで水を足します。その後、フィルターや照明、エアーポンプなどの必要器具を設置していきましょう。

3.魚の導入

すべての器具が正常に作動するかを1週間程度テストしたら、水槽の準備は万端です。用意した魚はすぐに入れずに、水槽の水温に慣らすために袋のまましばらく浮かべます

この作業を「水合わせ」と呼び、水合わせをせずに導入された魚は弱りやすくなってしまいます。30分程度を目安に、静かに水槽へ移してあげましょう。この際も一度に移さず、袋の中に5~10分程度の間隔で水槽内の水を混ぜてあげると安心です。

セット後に1~2週間経過したら水槽の水を1/3~1/4程度入れ替えます。以後は、1~2ヵ月を目途に水を替えてください

初心者でも飼いやすい!おすすめの魚の種類6選

ここでは、初心者でも飼いやすいおすすめの魚や水生生物をご紹介します。飼いやすいポイントは「安価・体が強い・お世話の手間が少ない」という点です。魅力あふれる水生生物の特徴を知り、ライフスタイルにぴったりなペットを見つけてくださいね。

パラダイスフィッシュ

パラダイスフィッシュはタイワンキンギョとも呼ばれる温帯魚で、室内飼育の場合はヒーターがなくても飼育可能です。水質にうるさくなく、水面から空気を吸える器官を持っているため酸欠にもなりづらいことが魅力です。

パラダイスブナは同種族に攻撃的になりやすいため、同じ水槽には一匹までにしておくことをおすすめします。体が丈夫で飼育機材も最小限で済むため、アクアリウム初心者におすすめです。

メダカ

飼いやすい魚の代名詞ともいえるメダカは、水質の悪化や酸欠に強いだけではなく小型水槽で飼育できるのも人気のポイントです。昨今は品種改良が進み、色や模様にバリエーションが生まれています。

冬の寒さにも強く、なんと屋外飼育で越冬できるほどのタフさを持ちます。初心者から上級者まで好まれ、アクアリウムを嗜む人であれば一度は飼育したい魚です。アクアリウムを始めたばかりの人が、最初の一匹として選ぶことも多い傾向にあります。

エビ

アクアリウムで飼育する生き物=魚というイメージがありますが、実はエビも初心者におすすめの水生生物です。特に「水槽のコケ取り職人」とも呼ばれるミナミヌマエビは、熱帯魚と共存することも可能です。

まるで金魚のように鮮やかな紅白カラーが特長のレッドビーシュリンプも人気で、脚をツンツンさせながら餌を食べる姿は見ていて飽きません。エビはコケを食べてくれるため水草を入れた水槽との相性もよく、アクアリウムの衛生環境を保つためにもぜひ導入を検討したい生き物だといえるでしょう。

ネオンテトラ

アクアリウムの熱帯魚といえば思い浮かぶのが、値段もリーズナブルで見た目も美しいネオンテトラです。まるでネオンのようにブルーに煌めく体は、どのようなコンセプトのアクアリウムでも水景の魅力を引き出してくれます。

「安い・水質変化に強い・性格も温和」という、初心者が求める要素がギュッと詰まったネオンテトラ。一匹でも美しいですが、群れを組んで混泳する姿が特徴的であるため、複数匹導入することでさらなる魅力を見せてくれます。

グッピー

性格が温和で人気の熱帯魚といえば、グッピーも外せません。非常に増えやすい魚であるため、繁殖をさせるつもりがない場合はオスとメスを別水槽で飼うのがよいでしょう。繁殖や品種改良が容易であることもグッピーの人気の秘訣です。

水質変化に強く温厚で、争うことを好みません。そのため、活発な魚に餌を食べられてしまうことがあります。飼育する際はしっかり給餌できているか確認してあげましょう。

金魚

日本のアクアリウムの歴史は江戸時代の金魚から始まったといわれているほど、歴史が古く日本人に親しみ深い魚です。水質の悪化に強く、小型水槽で飼育できることからペットとして高い人気を誇ります。

体が大きくなりづらいことも魅力で、複数匹を導入する場合でも60cm程度の水槽で終生飼育が可能です。食欲が旺盛な個体が多く、餌を食べてくれなくて悩むことが少ない点でも初心者向きだといえます。

アクアリウムの幻想的な世界を楽しもう

今回は、アクアリウムを始めるために必要な準備やおすすめの水生生物などをご紹介しました。長時間家を空けることが多い人や、散歩をする余裕がない人でも楽しめるのが水生生物の魅力です。

アクアリウムは比較的容易にペットを飼育できる点がメリットですが、インテリアの配置や水槽のコンセプトを考え始めると想像に終わりがありません!水景には無限の可能性があるからこそ、多くの人々の心をつかんで離さないのです。

ぜひこの機会に、アクアリウムの世界に足を踏み入れてはいかがでしょうか?初心者の人は、まずは金魚鉢サイズの小さなアクアリウムから始めるのもよいでしょう。世界でたった一つの水景づくりを楽しんでくださいね!

以下の記事では、おうちアクアリウムを作成するメリットや飼育初心者におすすめの熱帯魚などを紹介しています!ぜひ参考にしてください。

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